【青森県】日本のキリストの墓が本物である1つの証拠【経緯】

日本の青森県にキリストの墓がある……「そんなバカな」と思う人も多いでしょうが、都市伝説やオカルト好きには有名な話。

実際に、青森県戸来村(現在は三戸郡新郷村)には「キリストの墓」と銘打たれた墓所があり、現在では観光地の1つとして保護されています。さらに戸来村にはキリストやユダヤとの関連を示す状況証拠がいくつも伝わっており、『竹内文書』というキリストの日本渡来を書いた怪しい古文書もあったりします。日ユ同祖論の根拠に用いられることも。

しかし、日本のキリストの墓が青森県で発見された経緯は、意外と知られていません。日本のキリストの墓は本物か偽物かどうかばかりが論じられているのです。

そりゃ普通に考えれば偽物に決まっているのですが……経緯を調べると、「偽物(捏造)だとそれはそれでおかしい」という点がいくつも見つかるのです。

今回は日本の青森県キリストの墓が本物である……とはいえなくても、偽物(捏造)ではないといえる最大の証拠である、キリストの墓が見つかった経緯についてお話しします。

【竹内文書】日本の青森県キリストの墓が見つかった経緯

日本のキリストの墓が青森県で発見されたきっかけは、竹内巨麿(たけのうちきよまろ)『竹内文書』です。

『竹内文書』とは竹内巨麿の家に代々伝わってきたという膨大な古文書で、竹内巨麿が昭和前期に開いた新興宗教「皇祖皇太神宮天津教」の聖典です。

聖典というと戒律を書いたようなものと思うかもしれませんが、神話という方が近く、日本神話には載っていない日本の本当の歴史を記した書物だとされています。

そんな『竹内文書』の内容を要約すると、日本人は伝説のムー大陸(ムー文明)の子孫で、ムー大陸沈没後も、日本は世界の中心だったといいます。そのため釈迦(ブッダ)やモーセ、キリストといった大宗教の教祖は皆日本に来て、天皇に仕え、英知を学んだ……と、あまりにも荒唐無稽な話のオンパレード。

そのため本物かどうかを論じる人すらほとんどおらず、今やその内容を信じているのは天津教の信者くらいです。おそらくは自分が興した宗教の権威付けのために架空の神話を創造したのでしょう。

ちなみに戦後にはちゃんと科学的な調査も行われ、近代の紙だとわかり、偽書と確定しました。

『竹内文書』についての詳しい紹介記事は追記する予定ですのでお楽しみください。

で、その竹内文書にキリストが日本の青森県戸来村(へらい-)にやって来たと書いてあるのです。 

竹内文書によれば、ゴルゴダの丘で処刑されたイエス・キリストは影武者(弟のイスキリ)で、本物のキリストはかつて神学を学んだ日本の青森県に逃げのび、戸来村でその一生を終えたという。そのためキリストの墓が青森県戸来村にある、といいます。

『竹内文書』が偽書なのですから、普通に考えれば日本の青森県キリストの墓も偽物です。しかし、実際にキリストの墓が発見された経緯を調べると、あながち偽物とは言い切れない、いやむしろ本物としか思えない点がいくつも見つかるのです。

日本の青森県キリストの墓が本物である証拠【ダビデの星と沢口家と十来塚】

昭和十年、竹内巨麿たちは竹内文書に従って、「この村にキリストの墓があるはずだ」と断言し、青森県の戸来村(へらい-)を訪れました。

当時戸来村には、キリストが渡来したという話はもちろん、キリシタンすらいない、キリストやユダヤに関する伝説や言い伝えは一つも残されていませんでした。ですから村人たちは皆、そんなものはない、と否定しました。

しかし竹内巨麿は戸来村のはずれにある沢口家が所有する「十来塚」という塚を発見し、これこそキリストの墓だと言ったのです。そしてキリストとの関係を示す証拠が続々と見つかりました。

まず十来塚を所有していた沢口家は戸来村最古の家柄で、「ミコのアト」と他の村人から呼ばれていました。これは「御子=キリストの末裔」と解釈できます。

そして沢口家では、「十来塚は偉い人の墓だから守るように」との伝承が昔から残されていました。さらに沢口家の家紋はユダヤの象徴である六亡星、いわゆるダビデの星と同じだったのです。

イスラエルの国旗に記された「ダビデの星(六芒星)」

つまり「十来塚」「(キリストの)渡来」の当て字だといったのですね。

日本の青森県キリストの墓が本物である証拠【戸来村と十字架とユダヤ】

その後、沢口家だけでなく戸来村からキリスト教やユダヤ教との関連を示す状況証拠が次々と見つかりました。

まず「戸来村(へらい-)」という村の名からして「ヘブライ」に似ています。

戸来村では赤ん坊をはじめて外に出すときに、額に墨で「十字」を書きます。他には棺桶にも十字を書く風習があります。これは魔除けらしいのですが、十字といえばキリスト

さらに戸来村の男性の作業着「ハラデ」ユダヤ(今のパレスチナ)で使われている作業着そっくりで、名前もヘブライ語の「ハラート」に由来するとされます。

子供のチャンチャンコの背中には必ず六芒星(ダビデの星)を縫いつけた、などなど……まさにキリストとの青森県渡来を示す状況証拠が次々と見つかったのです。

日本の青森県キリストの墓が本物である証拠【ヘブライ語とナニャドラヤ】

この時点でもすごいのですが、まだ竹内巨麿が1人騒いでいるだけで、青森県戸来村にユダヤ・キリストが関わっていることが確実視されるようになったのは、実はもう少し後の話。

青森県戸来村一帯で昔から歌い継がれてきた「ナニャドヤラ」という民謡があるのですが、「ナニャドヤラ。ナニャドナサレノ。ナニャドヤラー」という地元の人たちでさえ意味不明の歌詞

これをアメリカでヘブライ語の研究をしていた神学博士の川守田英二氏がヘブライ語に直してみたところ、なんと意味が通じる歌詞になったのです。

「お前の聖名をほめ讃えん。お前に毛人を掃討して、お前の聖名をほめ讃えん」

日本の青森県キリストの墓が本物である証拠【エデンの園と迷ヶ平】

こうなるともう、青森県のキリストの墓は竹内文書を離れて話題になります。

戸来村のすぐ近くに「迷ヶ平」という高原があるのですが、竹内文書には「迷ヶ平にはかつて華麗な都が栄えていた。年代は不明だがアメノニニギノミコト天皇が遷都した」と書いてあるのです。

そして迷ヶ平はその時は村人から「天国」と呼ばれていたのですが、山根キクという研究者は、青森県の迷ヶ平こそ『旧約聖書』に出てくる「エデンの園」だと断言しました。

そして『光は東方より』というキリスト渡来説の決定版ともいえる本を出版し、キリスト日本渡来説や、青森県のキリストの墓が日本で話題&ブームになったのです。

山根氏によれば、エデンの園の禁断の木の実がリンゴなのは、青森の名産であるリンゴだから、とちょっと冗談みたいな話なですが……実は「エデン=天国=日本説」もなかなかバカにできません。

ヨーロッパでは、エデンの園が日本にあるという伝説が広まっていたのです。コチラの記事でくわしく紹介していますので、ぜひご覧ください。

竹内文書の信憑性と日本の青森県キリストの墓が本物であるかは関係ない

日本の青森県からキリストの墓が発見されたきっかけは『竹内文書』ですが、その経緯をよく見ると、キリスト渡来説自体は『竹内文書』とは関係がないことがわかります。

「『竹内文書』が偽書だからキリストの墓も捏造である」というのなら、竹内家の祖先が戸来村の開拓者で、その村にわざわざキリストやユダヤの風習・民謡・地名を残したということになりますが、そうなると今度は竹内家の祖先は古代ヘブライ語に精通していなければなりません

それにもし本当に祖先の残した壮大な捏造なら、ナニャドラヤヘブライ語説も竹内巨麿本人が解析したはずでしょう。しかし実際、決定的な証拠であるナニャドラヤヘブライ語説を唱えたのは竹内巨麿と何の関係もない本物のキリスト教神学者です

竹内巨麿らが、今まで歴史学者も地元の人も知らなかった青森県戸来村のユダヤ・キリストにまつわる伝説を発見したのはまぎれもない事実なのです。

『竹内文書』が偽書だから、キリストの墓も偽物(捏造)だという理論は成り立ちません。しかしこの問題に気づいている人はあまりいません。

しかしそうなると、なぜ偽書である『竹内文書』に戸来村のキリストの墓のことが書いてあったのかが不思議ですよね。

この謎の真相は、筆者は次のように考えています。

竹内家の祖先は東北の歴史書に載っていない伝説や言い伝えを収集していた蒐集家で、実際に青森県へのキリスト渡来伝説が存在していました。しかし時代が下るにつれてその伝説は、地元ですら失われてしまったのです。

竹内巨麿は青森県のキリスト渡来伝説を利用して、キリストが日本の天皇に仕えた→日本は古代世界の中心だった→その神秘を受け継ぐ皇祖皇太神宮天津教こそ世界最高の宗教というロジックを組み立てるために『竹内文書』を作ったのではないでしょうか。

そう考えられる根拠は、たしかに『竹内文書』のハイライトである釈迦やモーセの日本来日、ムー大陸の超古代文明などは荒唐無稽なのですが、それ以外にも東北の細かい伝説がいくつか書かれており、その中には青森県のキリストの墓同様に、歴史学者すら見つけていなかった伝説を見つけた例がいくつもあるからです

つまり「『竹内文書』は100%創作ではない。本物の伝承も含まれている」というのが筆者の考えです。『竹内文書』の信憑性については後日追記する予定です。

実際に青森県のキリストの墓や戸来村のユダヤとの関係は、キリストの日本渡来ではなく、日本とユダヤ人が共通のルーツをもつという「日ユ同祖論」の証拠だとみなされることもあります。

日ユ同祖論についてはコチラでくわしく紹介しています。

本物のキリストの墓かどうかはわかりません(知識のあるキリシタンやユダヤ人が青森に流れついたのかもしれません)が、少なくとも戸来とユダヤの繋がりは偽物(捏造)ではない、「本物」だと、筆者は考えています。

また日本の青森県キリストの墓の近くには、日本のピラミッドとして名高い「十和利山ピラミッド」や「大石神ピラミッド」などもあり、古代の青森県に何かがあったことは確実です。十和利山ピラミッドと大石神ピラミッドについてコチラでくわしく紹介しています!

日本のキリストの墓は推理小説家やSF小説家などに大きな影響を与え、多くの壮大かつ面白い傑作を生みだしました。

筆者のオススメは、あの『戦国自衛隊』の原作者である半村良氏が書いた『黄金伝説』と、大河ドラマ『炎立つ』の原作者である高橋克彦氏が書いた『竜の柩』です。どちらも大傑作ですのでぜひご覧ください。

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