皆さんは日本の神話において、どのように国が作られたか?ということについてご存知でしょうか。
イザナギやイザナミ、アマテラスなど、日本神話には数多くの神様が国造りに関わってくるのですが、その過程で、オオクニヌシとアマテラス陣営による『国譲り』という逸話が残っています。
オオクニヌシはアマテラスの弟であるスサノオから認められて地上の国を支配するようになるのですが、そこに『天津神(あまつかみ)こそが地上を支配するべきである』と言いだしたのが、他でもない日本における最高神と呼ばれる『アマテラス』だったのです。
タケミカヅチは、アマテラスの命令によってオオクニヌシに国譲りを認めさせるために派遣された神であり、武神、雷の神、剣の神など『武力』に関わるものを司っていたとされています。
タケミカヅチの生まれ方が衝撃的すぎる!!
タケミカヅチが生まれた時のエピソードは、なかなか血なまぐさいものがあります。
日本の最初の神となったイザナミの死因となったのは火の神である『カグツチ』を生んだことが原因でした。
この火の神のカグツチはイザナミの夫であるイザナギに処刑されてしまうのですが、この首を落とした時に飛び散った血が岩に付着し、そこから生まれたのがタケミカヅチだと言われています。
ちなみに、カグツチの首を落とした剣は、後に神武天皇東征のときにも使われたというトツカノツルギだったそうです。
つまり、神の武器によって神を殺した影響によって生まれたのが『タケミカヅチ』という存在であり、これらに起因して武や剣といった武神を司るようになったとも。
アマテラスの使者としてオオクニヌシに国譲りを認めさせた神
画像引用元:タケミカヅチ
さて、なかなか衝撃的な生まれ方をしたタケミカヅチですが、彼が地上へと降りるのは、オオクニヌシが数々の困難を乗り越えてスサノオに認められ、ようやく国の統治を始めていた頃です。
当時の地上は『葦原中津国』と呼ばれていたのですが、この国を作ったのはオオクニヌシでした。
しかし、ある日、思い出したかのようにアマテラスは考えます。
『地上の国は天津神が支配すべし』
これは読みやすい日本書紀や古事記などをぜひとも読んで欲しいのですが、ぶっちゃけかなり唐突なお話です…。
たしかにアマテラスは日本の最高神ではあるのですが、オオクニヌシはオオクニヌシで凄く頑張ってたんですよ。それがいきなり『国を渡せ』と。
もちろん、オオクニヌシも簡単には従いません。
逆に、アマテラスから送られた神の中には、オオクニヌシの味方をする神様などもあらわれており、一触即発の危機でした。
そこへ、満を持して送られたのが『タケミカヅチ』です。
タケミカヅチは自らが生まれたキッカケとなったトカノツルギを海原に立てて、その切っ先であぐらをかくという、これまた奇抜な威嚇を見せます。
しかし、これを見たオオクニヌシはすぐに意気消沈(なぜだ)
国譲りの判断を息子の2人に任せることにします。
1人の息子はすぐに降伏するものの、タケミナカタという息子はタケミカヅチと力比べをしたそうです。
しかし、一方的に敗走。あまりの強さに最後は諏訪湖まで逃走してから降伏したのだとか。
タケミカヅチが力を見せつけたことによって、これが後の『天孫降臨』に繋がったとも言われているのです。
天孫降臨は史実を描いている?
ここからは個人的な考察にですが、このタケミカヅチによるオオクニヌシからの国譲りには、古代日本の勢力争いが元になっている可能性もあるのではないか?と考えています。
オオクニヌシやタケミカヅチ、アマテラスなどの神様はもともと古い神様ではあるのですが、地上に降りたアマテラスの子孫である初代天皇はいわゆる『天津神側』の人物で間違いありません。
つまり、先に地上を国として支配していた『オオクニヌシ』の一族に国を譲るように迫った一族が実在したかもしれない、ということ。
この辺りの謎、実は正式には認められていない『竹内文献』などでは天孫降臨がある種の侵略であったことなども書かれているんですよね。
ただし、オオクニヌシ自身もスサノオの子孫であったことが伝えられていることから、外敵などによる争いというよりは、内輪揉めの方が可能性が高そうな気はしてしまいます。
皆さんはこの一連の出来事について、どう思われるでしょう?