最近アメリカを中心に支持されている都市伝説、「フラットアース説(地球平面説)」って聞いたことありますか?

地球は平面で、宇宙は存在しない。上空にはドーム状の天井がある……そんなバカな、と思うでしょう。地球は丸い。これは常識です。

興味深いのは、こんな奇想天外な説が大真面目に論じられていて、支持者が600万人にものぼり、アメリカでは有名人も多くフラットアース説を唱えていることです。

しかし確かに我々は、地球が丸いことを自分の目で確かめたわけではありません。自分で計算して導きだした結論でもありません。では、すべてはNASAの陰謀なのでしょうか? 

フラットアース説は、単なる都市伝説や陰謀論と片付けてしまうことはできません。荒唐無稽だと割り切るには、支持者が多すぎるからです

なぜフラットアース(地球平面説)が現在支持されているのか、その謎に迫ります。フラットアースに興味がある方はもちろん、フラットアースなんて馬鹿らしいと思っている人もぜひご覧下さい。

【都市伝説?】フラットアース(地球平面説)とは

フラットアース(地球平面説)の姿

出典:Amino

フラットアース(地球平面説)論者によれば、地球の実態は次のような姿だといいます。

  • 地球は平面(円盤状)
  • 北極を中心に、端(外側)は氷の壁で囲まれていて、それが南極である
  • ドーム状の天井があり、宇宙は存在しない
  • 太陽は同じ大きさで、直径が51km
  • 太陽と月は地球の上空4,800kmの高さにあり、24時間かけて周回する
  • 重力は存在しない

シミュレーション仮説イメージ

そもそもフラットアース(地球平面説)は、最近唱えられた都市伝説ではありません。

古代の人々の多くは、地球を平面だと考えていました。世界中の神話では、大地は平面のように描かれています。しかしこれは当然です。

私たちも教えられなければ、地球が丸いという認識すら持たなかったでしょう。私たちの視点では、普通に生きている限り、どう考えても地球は平面に見えるからです。

しかしマゼランによって地球一周がなされ、ニュートン重力を発見し、宇宙ロケットによって地球の姿が確認され……地球は球体で、宇宙の中で公転自転を繰り返していることが証明されました。

今では疑うことなき常識として、地球は丸いと我々は幼いころから教えられています。

しかし、1950年代に地球平面協会(Flat Earth Society)が結成され、現在フェイスブックのフォロワー数は20万人を超えています。

2019年11月にアメリカのテキサス州で開かれた「第3回地球平面国際会議」の参加者は600人にものぼり、その後ブラジルイギリスイタリアでも会議が開催されました。

調査会社ユーガブがアメリカで8000人以上の成人を対象に実施した調査では、「地球が丸い」という確信を持てない人は6人に1人もいました。ブラジルで2000人以上の成人を対象に行った調査では、地球が丸いという考え方について7%が否定していといいます。

フラットアース説は現在アメリカでは600万人もの人たちに信じられているとされ、NBAプロバスケットボール選手のカイリー・アービング氏や、ラッパーのB.o.B氏、テレビタレントのティラ・テキーラ氏など、有名人の支持者も続々と増えています

これだけの人が信じているのですから、フラットアース(地球平面説)には信用に足る根拠や証拠があるのでしょう。

フラットアース(地球平面説)の根拠・証拠

アメリカではエリック・デュベイ氏の有名な本があり、そこに200のフラットアース(地球平面説)の根拠・証拠が載っています。

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例を挙げると……

  • 地球の自転速度は時速1700km。これはマッハ1.4。公転速度は時速10万8000km。これはマッハ90。我々はこんな速度を体感していないし、そもそもこんな速度で回転していたら私たちはたちまち死んでしまう
  • ミシガン湖上から写真を撮ると、約96km離れたシカゴ都心のビル群が写っていた。地球が丸いなら、ビルは水平線の向こうに隠れて見えないはず(球体なら、計算上は約72km離れると水平線に隠れる)。
  • 国際条約では、南極の上空を飛行機で飛ぶことが禁止されている。これは各国上層部が地球平面説の確固たる証拠を隠したいからである。
飛行機上空から撮影した地球
  • 飛行機の上空から写真を撮っても、地平線は曲がっておらず、平面である。
  • 聖書をはじめ、世界各地の神話には地球が平面であるように描かれている。

などなど、他にもたくさんの証拠が挙げられているのですが……フラットアース説を信じるなら、当然NASAが提供する資料は信じられないことになります。そもそもフラットアース説の根は、NASAへの不信感や陰謀論にあるように思えます。

アポロの月面着陸は捏造で、フェイク映像である(映像に出てくる背景が使いまわされている、宇宙船の影の位置がおかしいなどなど)、2007年と2012年にNASAが撮影した地球の画像ではアメリカ大陸の大きさが違っている……などの話は都市伝説好きには有名だと思います。

つまり、NASAは我々に宇宙があると信じ込ませることで、莫大な研究費を徴収し、そして聖書の世界を否定することで神の存在を隠そうとしている……というのです。

なるほどたしかに、地球が平面であるような気も一瞬してきます。

フラットアース(地球平面説)への批判と地球が球体である証拠

しかし上に挙げたようなフラットアース説の根拠・証拠は、すべて科学的に否定することができます。

  • 慣性の法則により、近似的に等速直線運動と見なせるものは無視できるので、たとえ自転が音速だろうが、地球による重力加速度9.8[m/s^2]の1/300程度であり、無視できる=ほとんど影響がない
  • 光の屈折によって、水平線に隠れて見えないはずの物が見える「上位蜃気楼効果」という現象がある。
  • 南極には飛行場を作ることができないので、飛行は危険。
  • 飛行機の航行高度を10kmだとすると、地球の半径を6400kmとして、地平線を見下ろす角度θ=πーarcsin(6400/6410)=πー1.515[rad]=3.2[°]であり、目でわかるような歪みは現れない

仮にNASAの資料がすべて捏造だとしても、現行の物理学や気象学、生物学など――宇宙学を抜きにしても――地球が球体でないと、現在地球上で観測されているあらゆる現象は成り立ちません。地球が球体であるという結論は、計算上の必然なのです。

【都市伝説?】フラットアース説論者はバカにはできない【科学という宗教】

……とはいえ、「フラットアース(地球平面説)論者はバカで反知性主義だ」などと決めつけることはできません

なぜなら、地球は丸いと信じている人の大多数は、実際に地球が丸い証拠を自分で見たわけではありませんし、計算して導き出したわけでもないからです。教科書に書いてあるから、常識だから、という理由でなにも考えずに、地球平面説を否定する方が愚かだとさえいえるでしょう。

それは「聖書に書いてあるから」といって天動説を盲信し、きちんと疑問をもって自分の意見(地動説)を唱えたガリレオを弾圧した中世の人々と同じです。信じている宗教がキリスト教から科学教に変わっただけです。

科学や常識は絶対ではありません。常に批判されて改定して、真理に近づかんとするのが、科学という思考の営みです。

筆者は地球を宇宙から見たことはありませんし、物理学や宇宙学の専門家でもありません。ですが地球が球体であるという結論は、計算上の必然です。

もし本当に地球が平面であるなら、物理学で使われている計算は間違っていることになり、我々が生活するうえで運用している計算もすべて破綻します。地球が球体でないなら、私たちは現在のように生活できていないでしょう

そういった理由からフラットアース説を信じてはいませんが、現在、科学的真理や常識だと思われていることが100年後には真っ赤なウソだったと判明しても、なにもおかしくはないのです。

スマホで調べればたいていのことがわかってしまう情報社会において、思い込みや世間の常識を疑って、自分でものを考え、自説や意見を持つことは非常に大事な態度だと筆者は考えています。

今回はフラットアース(地球平面説)について紹介しました。あなたはどう思いますか?

現在アメリカで支持を集めている奇妙な都市伝説・陰謀論としては、Qアノンというものがあります。コチラの記事で詳しく紹介していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

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