星新一という小説家をご存知でしょうか。
彼は「ショートショートの王」と呼ばれ、あっと驚く意外な展開やファンタジーでどこかリアルな世界観が魅力です。
特に星新一の作品に描かれる未来像は現在の人々の暮らしを的確に予言しており、単なる小説家の空想とは呼べないようなものも…。
そんな星新一の作品の中で予言されていたことを紹介します。
予言その①スマートフォン/『万能スパイ用品』
1966年発表の『万能スパイ用品』には、現代では生活必需品となったあるものの存在を予言しています。
予言その②インフルエンサー/『宣伝の時代』
1969年発表の『宣伝の時代』は、個人が広告塔となる現代を見事の予言しています。
予言その③マイナンバー/『番号をどうぞ』
1968年、『番号をどうぞ』という作品では、今でいうマイナンバーのようなものが登場します。
国民一人ひとりには、固有の番号が与えられていました。
その番号さえあれば大抵のことは何でもできます。
エヌ氏は休暇を利用し湖でボートを漕いでいましたが、間もなくそのボートは転覆してしまいます。
なんとか溺れずに済み、新しく服を買おうと思いましたがクレジットカードの入った財布を湖の中に落としてしまったことに気が付きます。
番号によって自分が自分であることの証明をする現代。エヌ氏はその場に立ち尽くしたまま何もできなくなってしまいました。
何かの申請や預金の引き出しなど、あらゆるものの本人証明に「マイナンバー」が使われるようになりました。
それは本人証明や管理を簡単にできますが、それをもし失ってしまったら?
将来、マイナンバーが医療をはじめもっと色々なサービスに紐づけられるようになったとき、番号を失くしてしまうと人間として扱ってすらもらえなくなるかもしれません。
予言その④AIロボット/『ボッコちゃん』
1958年の『ボッコちゃん』は、星新一の代表作でもあります。
とある町の小さなバーには、マスターが開発したとても美しい女性型のロボットバーテンダー「ボッコちゃん」が働いていました。
ボッコちゃんは客から貰った酒を口に流しいれながら簡単な受け答えをすることしかできません。
もっとも、そんなそっけない態度も客から人気な理由でした。
近年のAI(人工知能)の発達は凄まじく、様々な場面で活躍しています。
会話に関しては『ボッコちゃん』のレベルをはるかに超え、人間として違和感のないレベルにまできています。
このようなAIを搭載したロボットもどんどん登場し、人間と共存する未来も遠くはないと感じます。
この作品では、ボッコちゃんに恋をした青年がつれないボッコちゃんに逆恨みして毒薬を飲ませます。
しかしロボットであるボッコちゃんは死なず、マスターはその酒を繋がれた管から回収し客に振る舞ってしまいました。
これもAIと人類が共存できるかが不安視される現代人の心情を予言しているといえます。
まとめ
星新一は今から60年以上前に活躍した小説家ですが、未来の暮らしを見事に的中しています。
それはスピリチュアルな意味での予言というよりは、時代の流れを読み、想像する能力に長けていたのだと思います。
だからこそファンタジーな世界観の中にどこかリアリティがあり、現代でも愛されているのでしょう。
「本や小説が苦手!」という人も、星新一の作品は短くて読みやすいので、ぜひ手に取って読んでみてくださいね。