世界各地のレイラインの中でも、最も有名かつ観光名所と知られているのが、イギリス南部を西から東へ横切る【セント・マイケルズ・レイライン】と呼ばれる直線です。
イギリス南部の先端に浮かぶ孤島「セント・マイケルズ・マウント」から始まり、ローチロックやグラストンベリーなど、聖杯伝説やアーサー王に関する謎の残る遺跡や、エイブベリーなどの巨石遺跡はパワースポットとしても人気のある観光地です。
イギリスでは有名なパワースポットのストーンヘンジが勘違いされやすいのですが、ストーンヘンジはストーンサークル遺跡の総称であり、いくつかのストーンサークルはセント・マイケルズ・レイラインの上にはありません。
しかし、エイブベリーのすぐ近くにストーンヘンジがあることから、ある種の関連性はあるでしょう。
ここではセント・マイケルズ・レイラインのついての考察をしていこうと思います。
セント・マイケルズ・マウントはケルト神話における聖地
イギリスの最南西に位置するセント・マイケルズ・マウントは対岸からでも見えるくらいの位置にあります。
古代からケルト神話などの伝説の多い潮間島ですが、頂上付近の修道院は12世紀頃に建てられたものです。
この風景から、フランスのモン・サン・ミッシェルを連想する方も多いですが、実はこの2つには深い繋がりが噂されており、セント・マイケルズ・レイラインからは外れますが、モン・サン・ミッシェルから真っ直ぐ北へ進んだ位置にあるのが、このセント・マイケルズ・マウントです。
これも1つのレイラインと考えられています。
森林の中の白い石
この場所はコーンウォール語という6世紀頃に使用されていた現地の言葉で「森林の中の白い石」と呼ばれており、海面上昇以前に周囲が森であった可能性がしばしば指摘されています。
イギリスの海辺には潮間島と呼ばれる海面の潮位によって、浮き沈みする島が40以上あります。
これらは時代の流れによる潮位の変動によって出来た島であると考えられるのですが、セント・マイケルズ・マウント近郊から見つかった木片を炭素年代測定したところ、紀元前1700年頃のものであるとの結果が出たそうです。
つまり、紀元前1700年前頃にはセント・マイケルズ・マウント周辺は森林があった可能性も充分にあります。
大天使ミカエルを祭る修道院
フランスの「モン・サン・ミッシェル」とイギリスの「セント・マイケルズ・マウント」は、それぞれを訳すと「聖ミカエルの山」を意味します。また、一説によるとモン・サン・ミッシェルの修道長がセント・マイケルズ・マウントに修道院を建てたと言われています。
修道院の建設は12世紀のものですが、セント・マイケルズ・マウントを選んだのには何か理由があるのかも知れません。
目的不明の巨石遺跡
イギリスやヨーロッパには複数のストーンヘンジと呼ばれる巨石遺跡群が存在しています。
セント・マイケルズ・レイラインに重なっているものは「エイブベリーストーン」と呼ばれているものであり、ストーンサークルとしては非常に古いものだとされています。
一説ではストーンヘンジはいくつかの年代に分かれており、一番古いものは紀元前8000年にも遡るそうです。
ストーンヘンジにはいくつかの研究があり、何に使われていたのか?どういった目的があったのか?は未だに判明していませんが、一定の規則性があることから人工物であることは確実だと言われており、ほとんどのストーンヘンジは世界遺産登録されています。
グラストンベリーの謎
前述のストーンヘンジと近くにあるグラストンベリーはセント・マイケルズ・レイラインに直線的に配置されている神秘的なスポットの1つです。
この街には遺跡も含めて聖杯伝説やアリタマヤのヨセフ、アーサー王伝説など、数多くの逸話が残されています。
吟遊詩人によって口伝されてきたこの多くの伝説は「歴史にそったものではない」という意見もありますが、それも発祥は4世紀前後と言われており、謎の多い土地です。
セント・マイケルズ・レイラインは人為的なもの?
セント・マイケルズ・マウントから繋がるこのレイライン上には他にも多くの遺跡の存在が確認されています。
古代ケルト人はローマ帝国に大きく影響を受けていたことから、史料などは非常に少ないですが、中世以降で考えれば、充分にレイラインとして機能している可能性は高いでしょう。
また、このレイライン上周辺に多くのストーンサークルが確認出来ることからも、まだまだ解明されていない古代の文明を感じさせてくれますね。
イギリス旅行では比較的、人気の観光地ですので機会があればこれらのパワースポットを見てみるのもオススメです。
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