※これはかつて全米を震撼させた『ドッペルゲンガー殺人計画事件』に関する記事の【中編】です。本記事をお読みになる前に、ぜひとも【前編】 をお読みください。
【事件】ドッペルゲンガー(分身)を利用した殺人計画事件 -前編- 【実録シリーズ】
隣人女性殺害事件 (ロシア)
ビクトリアは一体どこへ逃げたのか―。
捜査官を誘惑し、ロシア国外へと逃亡したビクトリア。こうして国際指名手配犯となったビクトリアの潜伏先を突き止めたのは、警察ではなく1人の私立探偵でした。
ビクトリアの潜伏先、その手掛かりとなったのが、生前に母アラから聞かされていたビクトリアのFacebook。なんとビクトリアは逃亡中もFacebookを更新し続け、自身の日常を写した写真を投稿するなど、逃亡犯とは思えない大胆な行動を取っていたのです。驚くことにFacebookでは自身の姿を写した写真も投稿されており、それはさながらセレブリティのような派手な生活ぶりが窺えるものでした。
そして、ビクトリアが投稿した数々の写真の中から、ある1枚の写真がこの事件を大きく動かすことになったのです―。
ビクトリアの潜伏先特定の決め手となった写真(ビクトリアのFacebookより)
画像引用:東洋経済ONLINE
ビクトリアの姿を写した1枚の写真。これにはビクトリア自身によってその背景にモザイク処理が施され、それがどこで撮影されたのか特定できないようにされています。しかしこの写真には彼女の所在を示すヒントが隠されていました。それは彼女がかけたサングラスに映り込んだ景色。これはよく見ると車のダッシュボードであることが分かります。
とはいえ、これを手掛かりにビクトリアの潜伏先を特定するには、あまりにも些細な情報であるということは誰の目からみても明らかでした。
この頃、ナディアはニューヨーク市警に20年務めていたハーマン・ワイズバーグという腕利きの探偵にビクトリアの捜索を依頼しており、彼に事件解決のすべてを託していました。これを受け、ハーマンはビクトリアのサングラスに映り込んだ景色、そのわずかな手掛かりを手繰っていくことになります。
元ニューヨーク市警の私立探偵ハーマン・ワイズバーグ氏
画像引用:東洋経済ONLINE
それからハーマンは問題のダッシュボードを調べ上げ、ビクトリアが例の写真を撮影したのがアメリカ製の高級セダンの中であると特定。そこから彼女が所有している車を突き止めることに成功しました。
さらに、ハーマンはFacebookでのビクトリアの行動パターンを分析。そこで彼は、ビクトリアが「いいね!」する投稿(店舗によるもの)に注目します。すると彼女が「いいね!」する店がニューヨーク市ブルックリンのロシア人街に集中していることに気が付きます。そして周辺の捜索を開始。
やがて、ハーマンはあるアパートの前でビクトリアの車と同じものが止まっているのを発見します。そのアパートの前にある「電柱」「電線」「マンホール」、これらがビクトリアのサングラスに映り込んでいた同じ景色と一致したのです。
こうして、ハーマンはビクトリアがなんの気なしにFacebookに投稿した1枚の自撮り写真から、彼女の潜伏先を突き止めたのでした。
ここで驚愕するのは、ビクトリアの潜伏先。それはなんとナディアの住む家からわずか1kmしか離れていない地点だったのです。ナディアが長年探していた憎き殺人犯は、実は目と鼻の先に潜んでいたのです―。
以上、【中編】となる本記事では『ドッペルゲンガー殺人事件』の核となる「隣人女性殺害事件」の結末をお伝えしました。問題の『ドッペルゲンガー殺人事件』の概要、そして気になるビクトリアの行く末は【後編】にて。