【未解決事件】『八王子スーパー強盗殺人事件』の真相 -7- 【考察シリーズ】

これはかつて、東京都西部のスーパー従業員3人が射殺された『八王子スーパー強盗殺人事件』に関する記事の【パート7】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~6】をお読みください。


パート1】【パート2】【パート3】【パート4】【パート5】【パート6

事件の容疑者

本事件には様々な容疑者が存在しているが、現在に至るまでいずれの人物においても犯人としての確証はない。(2020年7月現在)

元自衛官の男


この男の存在は「週刊文春 (2001年11月22日号)」が報じたことで明るみになった。
同誌は「ナンペイ事件の犯人の実名を挙げた暴力団関係者(以下:A)の手紙がある」と報じた。この手紙は、別件で拘留されていたAが別の拘置所の知人に宛てたもの。
この手紙によれば、Aがナンペイ事件(本事件)の一部に関与していたことを示唆、実行犯(被害者3人を殺害した犯人)は元自衛官の男であるとし、この男の実名を記しているという。しかしこの話の真相は定かではなく、その後の進展はなし。

銀行強盗未遂で逮捕された男


2003年、産経新聞や日本テレビの報道によって、本事件の容疑者として70代(2003年時点)の男が浮上した。この男は拳銃を用いて銀行強盗や現金輸送車の襲撃を繰り返していたとされている。そして男は2002年に愛知県で銀行強盗を企て、未遂で現行犯逮捕された。
この男が本事件容疑者として疑われた理由は以下のとおり。

  • この男は2002年以前にも同様の強盗未遂事件(大阪厚生信用金庫 深江支店 / 1997年)を起こしている。この事件で使用された銃弾の旋条痕が、本事件の現場に残された銃弾の旋条痕と酷似している。
  • 本事件の発生当時、男は八王子周辺(ナンペイと同地域)に住んでいた。

強盗団メンバー 中国人の男


これは中国で覚せい剤所持の罪で逮捕・起訴され、死刑判決を受けた日本人の男の証言によるもの。この男はかつて日本国内で資産家宅を狙った強盗事件を繰り返す「日中混成強盗団」のリーダー格であった。
男は中国で死刑囚となった後、「ナンペイ事件に関する情報を知っている」と中国公安当局に証言したことが明らかになり、2009年に日本の捜査当局がこの男に面会して事情を聴いた。その際に男は、「強盗団のメンバーであった中国人の男がナンペイ事件の実行犯を知っているかもしれない」と証言した。この中国人の男は当時、ナンペイ事件が組織内で話題に上がった際にその詳細を知っていたという。
尚、これを証言した日本人死刑囚はその後、収監先である中国・大連刑務所にて2010年4月9日午前9時(現地時間)、死刑執行により死亡。そのため、それ以降はこの中国人の男に繋がる手がかりは途絶えたかと思われた。ところが、日本の捜査当局はこの男の素性を突き止めることに成功。

強盗団メンバーであった中国人の男の名前は何 亮(カ・リョウ)。中国・福建省出身。逮捕当時43歳。
1994年、日本国内にて不法滞在で摘発され、本国に強制送還された。しかし、翌年に日本へ密入国(何が密入国した1995年はナンペイ事件発生と同年)。
何は日本国内で活動する中国人強盗グループ(先述の「日中混成強盗団」とは別の組織)のメンバーであり、ひとしきり犯行を行って金を得ると偽造パスポートで日本から不法に出国した。その後2006年10月、難民としてカナダに移住。後にカナダの永住権を取得し、トロントに居住。食料品店に勤務し、妻子と共に”普通の”生活を送っている。
ちなみに、日中混成強盗団の他のメンバーが逮捕された際、取り調べ時に「何が事件前にスーパーナンペイの内部情報(現金の保管状況など)を別の中国人に流した」と証言している。尚、この証言の”別の中国人”の素性は明らかになっていない。

元強盗団メンバー  何 亮のその後

捜査本部が何の素性を突き止めた後、日本政府はパスポートを不正使用した旅券法違反容疑で逮捕状を取り、カナダ政府に何の身柄引き渡しを要求した。しかし、日本とカナダは犯罪人引渡し条約を締結していないため、これが難航。日本政府は外交ルートを通じて根気強く交渉を続けた。これにより2012年9月、カナダの地元裁判所は何の身柄引き渡しに応じる決定を行うも、これに何の弁護人が控訴。2013年9月に出された控訴審判決においても、裁判所は何の身柄引き渡しを認めた。その後、2013年11月に何の身柄はカナダから日本へ移送され、逮捕された。

「犯罪人引渡し条約」
日本はこれをアメリカと韓国としか結んでいない(2020年7月現在)


何の逮捕・勾留中、日本の警察は何からナンペイ事件に関する供述は得られないまま、何に懲役2年執行猶予5年の有罪判決が下される。何はその翌日にカナダへ強制送還された。

日本警察による執拗な可の取り調べ
およそ1か月ほどの間に可の取り調べは約132時間にも及んでいた。これに対して裁判所が「逮捕・勾留中の取り調べの限界を逸脱している」と苦言を呈したほどであった。


本事件には、容疑者がまだまだいる。どの人物も非常に怪しい—。続きは【パート8】にて。

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