始皇帝の評価は死後、現在に至っても分かれるところですが、そもそも始皇帝自身が一体何を行ったことを評価の対象にされているのかをご存知でしょうか?

もちろん、史上初となった中国全土の統一という偉業は始皇帝の代表的な功績の1つに挙げられますが、始皇帝が評価される理由には統一後の政治と改革も含まれます。

しかし、秦の始皇帝は39歳の時に中国統一を成し遂げて、それから10年後、49歳でその生涯を終えるのです。

つまり、本格的に政治改革が出来た期間はたったの10年でした。

このわずか10年の間に始皇帝は、それまでの国の運営体制を統一すべく数々の改革を行なっています。

中国を統一した始皇帝の改革とは?

紀元前221年、数々の戦いの末に中国統一を果たした始皇帝は、統一後の政治統制を考えて数々の改革を行います。

まず、最も顕著なものは「皇帝」という位置づけを行なったことです。

秦国が中国統一をするまでは、誰一人として全中国を手中に収めた人物はいなかった為、この帝位についての答えを神話に求めました。

古代中国の神話には「三皇五帝」と呼ばれる伝説上の帝王が語られていたことから、これらと同格となる皇帝の位を作り出します。

これは、それまでの封建制であった国家運営から、完全な中央集権化をするための一番最初の改革であり始皇帝にとっては布石に過ぎませんでした。

郡県制度の導入

封建制の国家運営では、権力が各地に分散してしまうため、再び戦争、内乱、反乱が起こることを懸念した始皇帝は、中央集権化において郡県制度を導入します。

この制度の導入には、キングダムなどでも登場する李斯(りし)の助言もありました。

封建制では、小国が大国に臣下の礼を取ることによって成り立っていた国家体制であり、小国であっても独立国家であったのです。これをよしとせず、郡県制度を導入したことによって「中国人」という形の基礎を作っています。

この改革で最大の功績とされているのは、身分に囚われない人材の登用を行う前提であったことが挙げられます。

単位の統一

秦国が各国を統治していった時代は戦国時代であったため、各地の国による独特の通貨や計算方法などが用いられていました。

しかし秦が1国として統一を果たしたことから、始皇帝と前述した李斯によってこれらのインフラを整備する案を出します。

この統一改革によってもっとも重要になったのは、「文字」の統一だと言われています。

当時各国で使われていたのは漢字でしたが、その書式を統一することで、他の統一した項目をハッキリと識別出来るようになります。

廿六年 皇帝盡并兼天下 諸侯黔首大安 立號為皇帝 乃詔丞相狀綰 法度量則 不壹嫌疑者 皆明壹之
始皇26年、始皇帝は天下を統一し、諸侯から民衆までに平安をもたらしたため、号を立て皇帝となった。そして丞相の状(隗状)と綰(王綰)に度量衡の法を決めさせ、嫌疑が残らないよう統一させた。— 青銅詔版

引用元:始皇帝

大規模な工事

始皇帝の関わったもっとも有名なものは「万里の長城」の基礎建設でした。

中国を統一した始皇帝でしたが、北方からの侵略に対しては備えが薄かったため、400里に及ぶ万里の長城の工事を始めます。ちなみに、北方の防衛任務についていたのはキングダムで主人公の信とよく登場する蒙恬(もうてん)でした。

さらに、南北を繋ぐ交通網の整備として、「霊渠(れいきょ)」と呼ばれる大運河を開通させます。この運河は現在にも残っているものです。

そして、始皇帝を伝説にしたのが、始皇帝自身の墓となった始皇帝陵墓の建設です。

実は、秦国の王に即位した紀元前247年には既に着手していたという説が濃厚であり、これが1974年に農民によって「兵馬桶(ひょうばおけ)」が発見されました。

この事業は自身の為であったという見方の方が強いですが、8000体もの精巧な像が納められていたことによって現在の研究者に当時の文化を伝える役目を果たしています。

たった10年でおこなった偉業と秦の滅亡

後世の研究者の意見は様々ですが、中国という広大な土地を統一することにおいて始皇帝はわずか10年間で様々な改革を行いました。

しかし、これらの改革の裏側に、中央集権化、いわゆる権力の集中に囚われたとも言われており、晩年には不老不死の秘薬を探したり、様々なシャーマニズムに基づくような儀式も行なっています。

そして始皇帝の死後は、子の1人であった胡亥が皇帝になるものの、後に中国を2つに分けた大きな戦いとなる「項羽と劉邦」の話で有名な劉邦によって紀元前207年には事実上、秦国の統一国家は破綻しています。

これは始皇帝、政が中国を統一してから、たった15年後の出来事でした。

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