第1回は40年も被験者を騙し続けたタスキギー梅毒実験について紹介した。
非常に悪質な事件であり、アメリカで生活する黒人に対して大きな影響を与えることとなった。
しかし、危険な性病実験はそれだけでは終わらない。
実はタスキギー梅毒実験が行われている最中、別の国で梅毒に関する人体実験が行われていたのだ。
危険な梅毒実験シリーズの第2回は、意図的に梅毒患者を増やしたグアテマラ人体実験について紹介する。
グアテマラ人体実験の概要
2010年にアメリカの歴史学者が偶然見つけたことで明らかになったグアテマラ人体実験とは、1946年から1948年まで行われた梅毒に関する実験のことである。
実験の目的は1945年に開発されたペニシリンが梅毒に対して効果があるのか確かめるため。
この実験はグアテマラとアメリカが協力して行うものであったが、大きな問題をグアテマラが抱える結果となってしまった上に、実験内容が非倫理的であった。
被験者を意図的に感染させた結果…
グアテマラ人体実験が持つ最大の問題は、意図的に梅毒を感染させたことだ。
当時のアメリカでは性感染症が大きな問題になっていたことを踏まえて、アメリカの影響下であったグアテマラで実験を開始。
実験を行うためには梅毒患者を用意しなければならなかったため、グアテマラの受刑者や兵士、精神病院の患者などに対して、意図的に梅毒を感染させた。
中には梅毒の患者を相手に強制的に行為を強要して感染させるというケースもあった。
この結果により1300名ほどが感染し、そのうち83名が死亡した
何も知らなかった被験者たち
この実験も、第1回で紹介したタスキギー梅毒実験同様に被験者に対して実験の目的について真実を伝えずに、嘘の情報を伝えていた。
そのため、家族や恋人に梅毒が感染してしまうという恐れもあった。
また、ペニシリンの効果を確かめる実験であるにも関わらず、ペニシリンの接種による治療を行なったのは一部のみ。
結果として、医学的に有益な情報を得られずに梅毒患者だけ増やすという最悪の実験になってしまった。
グアテマラ人体実験発覚後の対応
実験発覚後、すぐに当時のアメリカ大統領であったバラク・オバマと国務長官、そして厚生長官がグアテマラの大統領に電話で謝罪。
そして、アメリカでは実験に対する調査が開始された。
しかし、アメリカが認定した「生存被害者」はごく少数であり、他の被害者からは認定を求める声が挙がっている。
闇が深い梅毒実験
梅毒の実験というのは闇が深いものであり、タスキギー梅毒実験やグアテマラ人体実験のような非倫理的なものも含まれている。
もちろん、長い研究によって梅毒の正体や治療法が分かったというのも事実だ。
しかし、もしかするとタスキギー梅毒実験やグアテマラ人体実験よりも恐ろしい実験が、まだ隠されているかもしれない。
もし見つかった場合には、人類は恐ろしい実験に再度衝撃を受けてしまうことだろう。
参考(アクセス日2019年12月29日)
https://ja.wikipedia.org/wiki/グアテマラ人体実験
https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-22936220110830
https://www.nikkei.com/article/DGXNASGM3002X_Q1A830C1FF1000/