2010年10月29日に警視庁公安部の内部資料がインターネットに流出したことが発覚しました。
この事件は「警視庁国際テロ捜査情報流出事件」と呼ばれたり「テロ捜査資料流出事件」とも呼ばれています。
この事件の概要
2010年10月28日、ファイル共有ソフト「Winny」を介して、「国際テロ組織」に関する公文書114点が流出しました。
翌日10月29日に民間会社から神奈川県警を通して警視庁に通報されたことで発覚しました。
・国際テロリズムの捜査に関する内容(半分以上を占める)
・テロ捜査の協力者(国籍・氏名・生年月日・パスポート番号・職業・出生地・住所・電話番号・家族・出入国歴など)個人情報流出は延600人以上に及んでいる。
・北海道洞爺湖サミットの警備体制
・捜査協力者に育成するまでの心得
・在日米軍の爆発物処理研修
・空軍特別捜査局の機密情報
などの日本警察やアメリカ軍の手の内にある情報も流出したのです。
流出した114点のデータの108点がコンピューターの機種を問わず閲覧するこのできる「PDFファイル形式」で残り6点が「HTMLファイル形式」となっていました。
古いもので2004年のデータ、新しいもので2009年のデータでした。
外事第三課のパソコンのうち、町内ネットワークに接続されていない独立系の機器は文書を抜き出しても痕跡は残らないため、データの出処はここ(外事第三課のパソコン)だと言われています。
情報を入手した人たち
11月27日、21か国の1万286人が入手したと報告されています。
過去の機密情報漏洩事件と異なる点が一つあり、それはパソコン利用者の個人情報が漏洩しなかったことです。
警視庁関係者からは、「内部の権力闘争で意図的に流出させられた可能性もある」と指摘していました。
この流出により、外事警察が日本国内のイスラム教とをテロリスト予備軍、イスラム原理主義者と接触の可能性あり、イスラムコミュニティをテロのインフラ視していたことも明らかになりました。
捜査
当初は流出資料を本物と認めていませんでした。
1ヶ月にもおよぶ内部職員の事情聴取を専念していましたが、容疑者による流出事件が警察の業務を妨害したとして「偽計業務妨害」の容疑で強制捜査を開始します。
国内プロバイダー2社から契約者情報や接続記録などを押収します。
しかし、流出した情報を出版社が本にして出版すると動きが出てきたところで、警察が内部資料の流出の事実を認めたのです。(本物かどうかについてはコメントを差し控えた)
1月に警察当局が「winny」を通じて公開した人物の情報を照会する目的でサーバーが置かれている各国に協力を要請。
すると、1人の男性が浮かび上がりますが、有力情報を得ることはできませんでした。
発信元に至るまでの中継記録を辿ることができなかったのでした。
流出に関しては匿名化技術「Tor(The onion router)」が用いられていたため、流出ルートを特定することができませんでした。
次に警視庁はパソコン内の記録装置から直接外部記録媒体へデータを移したと疑い、捜査に従事した警察官400人の私有パソコンと携帯電話、口座記録などを調査しました。
しかし、そこからも有力情報を得ることはできませんでした。
2013年10月29日、公訴時効が成立します。事実上未解決事件へと発展しました。
警視庁は公訴時効成立の数日前に被疑者不詳で書類送検をしたのです。
まとめ
この事件の被害者(個人情報が流出した者)が110してきた場合「本人や親族の生命、身体、財産」などに危機が及ぶ恐れがある場合、迅速的で組織的な対応を行うようにと通達しました。
確かに、国際テロ組織の情報に自分たちの名前が記載されていたとすれば、自分たちにどのような被害が及ぶかわかりませんし怖いですよね。
この事件について執筆された本がありますので興味のある方は是非読んでみてください。