第二次世界大戦・・・大東亜戦争と呼ばれる戦争のさなかにラジオDJとして活躍した女性がいたことをご存じでしょうか。
日本軍が連合艦隊向けのプロパガンダとして放送していたラジオ番組がありました。
そして、その番組を担当していた女性ナビゲーターにアメリカ軍の将校が”東京ローズ”という相性をつけました。プロパガンダ放送とはどんな放送だったのか、そして、東京ローズの呼ばれた女性ナビゲーターはどんな人だったのでしょうか。
東京ローズと呼ばれた女性ナビゲーター”アイバ・戸栗・ダキノ”とは
東京ローズと呼ばれた女性ナビゲーターの中でも最も有名なのは、アイバ・戸栗・ダキノさん、旧姓戸栗 郁子さんという日系アメリカ人の女性です。
出身はカリフォルニア州ロサンゼルスですが、両親は日本人・・・アメリカ風の教育を受けて育った方です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校に進学した彼女はお見舞いのために日本に来ていたのですが、日本の文化になじめずに「アメリカに帰りたい」と手紙を書いていたそうです。ですが、そんなときに第二次世界大戦が勃発し、帰国できなくなってしまいます。
仮に、このときアメリカでは日系人の収容が始まっており、母親は強制収容所連行される途中で亡くなっています。
アメリカに帰れなくなった彼女に、日本は帰化するように圧力をかけますが彼女はこれに応じませんでした。
英語が堪能だった彼女は、帰国できない中でなんとかして生きていこうと、外国の短波放送傍受してタイピングする仕事に就きます。
そして、プロパガンダ放送のスタッフの一員となり、ゼロ・アワーのナビゲーターとして原稿を読むようになりました。
東京ローズが担当していた”ゼロ・アワー”というプロパガンダ放送
ゼロ・アワーというプロパガンダ放送の内容・・・気になりますよね。
ゼロ・アワーは、イギリス軍やアメリカ軍などの連合国軍向けに、捕虜が家族に宛てた手紙を紹介していました。音楽を流しつつ捕虜が連合国軍の兵士に向けて呼びかけるという内容でした。
東京ローズと呼ばれたのはこの番組を担当してたすべての女性ナビゲーターのことでした。先ほどご紹介した”アイバ・戸栗・ダキノ”さんのその中のひとりです。
東京ローズはとても有名で、マッカーサーも回想録で東京ローズのことに触れていたそうです。
東京ローズが反逆罪に
戦後、アメリカ人の記者に”東京ローズだった女性”として発見されてしまった”アイバ・戸栗・ダキノ”さん・・・。
取材のカメラの前で自らが東京ローズだったこと認める発言をします。そしてとうとうGHQから呼び出しを受けて反逆罪容疑で巣鴨プリズンに11か月間もの間収監されてしまいます。そしてその後、反逆罪で逮捕され釈放後は反逆罪で逮捕され、アメリカ本国に強制送還・・・。当時、最も反日感情が強い場所だったカリフォルニア州の検事は、彼女を「対日協力者」起訴しました。この当時の反逆罪はアメリカで最も重い罪でした。
そして裁判は大変な注目を集め・・・結果は有罪、彼女は禁錮10年と罰金1万ドルそしてアメリカの市民剥奪を言い渡されました。史上初の女性の国家反逆罪の有罪・・・ラジオ番組をしていただけ・・・。
しかし彼女はこの判決にしたがって模範囚として服役し6年2ヶ月後に刑務所を後にしました。
その後、裁判での証言が偽証だったというスクープや恩赦があって市民権は回復し、2006年には「困難な時も米国籍を捨てようとしなかった“愛国的市民”」として表彰を受けました。
まとめ
東京ローズ・・・アメリカ軍の間でそう呼ばれていた女性ナビゲーターのひとりアイバ・戸栗・ダキノさんは、アメリカで日本人の両親の元に生まれた女性でアメリカ人としての教育を受けた人物でした。
大戦中に帰国が困難となり、ラジオ番組の仕事をしていた彼女は、戦後、反逆罪の罪に問われ服役しています。ラジオ番組をしていただけでスパイ行為をしたわけではありません。それでも彼女はやく6年ものあいだ服役しました。
東京ローズの有罪判決には様々な陰謀論があり、実際に証言が偽証だったというスクープもありました。
反逆者という汚名を着せられたのかなぜか・・・戦勝国アメリカが戦後に行った数々の不当な裁判のひとつといっていいのではないでしょうか。