日本の領海には海底火山がたくさんあります。
その海底火山のひとつ”福徳岡ノ場”という火山が大噴火を起こしています。あまりニュースなどでは取り上げられない話題ですが、噴火の規模がすさまじく噴煙が衛星画像にくっきりと写っています。そして島までできてしまったそうです。
福徳岡ノ場ってどこにある?
福徳岡ノ場と言われて、ぱっと場所が想像出来る人は相当な火山好きの人かもしくは海に携わる仕事をしている人でしょう。
福徳岡ノ場は、日本列島の遙か南の海に沈む海底火山です。
めちゃくちゃ遠い!小笠原諸島の南硫黄島付近にあり、近くに上陸できない貴重な島として有名な南硫黄島があります。
福徳岡ノ場から父島までの距離は 319キロ。福徳岡ノ場は東京から南に約1300キロで南硫黄島から北北東約5キロという場所。簡単に言うと、めちゃくちゃ遠い海に沈んでいます。
標高はマイナス14メートルで、噴火前は島は存在せずギヨーと呼ばれる地形になっています。ギヨーというのは、山頂が平坦な地形をしている海底にある山のことです。この服徳岡ノ場は、頂上も海水に浸かっている状態の火山で、2007年、2008年、2010年、2013年に周辺の海水の水色の変化がありました。
過去に何度も噴火している火山で、2005年には7月2日の海底噴火で高さ1,000メートル・直径が50 ~100 mという巨大な水蒸気の柱ができました。とても活動が活発な火山なんですね。そして、2020年2月4日には、海上保安庁が周辺の海の色が黄緑色に変色していることを確認していました。
そして、とうとう、福徳岡ノ場が2021年8月13日に大噴火したのです。
福徳岡ノ場の噴火の規模がすんごいことに
大噴火した福徳岡ノ場ですが、噴火の規模が大きすぎて海上保安庁が接近できなかったそう。航空機などを使用して観測を試みたそうでずか、詳細なデータ収集はできなかったそうです。
海上保安庁は「噴火の規模が大きく、接近しての観測はできなかった」としていて、付近を航行する船舶や飛行する航空機に警戒を呼びかけています。
引用:硫黄島近海の海底火山「福徳岡ノ場」で11年ぶりに噴火 | NHKニュース
噴煙の高さは16000メートルに達した
大噴火した福徳岡ノ場ですが、噴火で上がった噴火が衛星画像に写っています。衛星画像に写るほどの噴煙というだけでもすごい噴火ですが、噴煙の高さが15000~16000メートルに達したそうです。
火山の噴煙の中で稲妻が走る現象の、火山雷も観測されました。
もちろん、日本列島の遙か南の海での噴火ですから、日本に直接的に噴火の影響が及ぶ心配はありませんのでそこはご安心していただいて大丈夫です。
そして噴火の種類ですが、日本では21世紀に入って初のプリニー式噴火だとされています。
福徳岡ノ場も西ノ島のように島になるの?
海底火山の噴火と聞くと、思い浮かべるのが西ノ島。
西ノ島は、あれよあれよという間に噴火で大きくなりとうとう島になってしまいました。「日本の領土が増える」とにわかに注目を集めた西ノ島のように、福徳岡ノ場も島になるのでしょうか・・・。
実は、福徳岡ノ場は過去に何度か島になっては浸食で消えてしまったという場所。どうやら地質的な特徴で浸食されやすい成分が多く「島になりにくい」んだとか。
今回、島が出現していることは確認されていますが、すぐに消滅してしまうような地質でしかも太平洋のど真ん中の荒波にもまれる場所…。ですから、余程大きな島が形成されない限りまたすぐに浸食されてしまうのではないかと考えられています。
ちょっと残念な気もしますが、自然のことですから仕方のないこと。周辺の海は深くそして、台風などであれやすい場所ですから浸食されやすい地質だと島として固定するのは難しそうです。
実際に、1986年の噴火で直径600mサイズの島が出来たんですが、やはり、海に浸食されてなくなってしまいました。地質が変わっていない限り、西ノ島のような島に成長することなさそうです。
参考資料:福徳岡ノ場で海底火山噴火か 衛星画像で西に広がる噴煙を捉える