もうすぐ七夕。
笹に願い事を書いた短冊をぶら下げて・・・なんとも風情のある日本の習慣です。
七夕は織姫と彦星が年に一度会えるというちょっとロマンティックな日として知られていますが、ここではロマンティックな話しではなく、実際に織姫と彦星はどのくらい離れているのかをご紹介します。
織姫と彦星のロマンティックなお話ではないので、夢を壊されたくない!現実的な話しはいらないっ!って方は要注意です(笑)
織姫と彦星はベガとアルタイル
織り姫と彦星にまつわる七夕の伝説は「織姫と彦星があまりにも中が良すぎて、働き者だった2人が働かなくなってしまったので引き離された」というロマンティックとはほど遠い物語です。
どれだけ2人でグータラしていたんだ!と突っ込みたい気持ちになりますが、まぁそういうわけで2人は1年に一度しか逢えなくなってしまったのです。
織姫と彦星の伝説は、実際に夜空に輝いている星に当てはめられています。
ベガとアルタイルの距離は15光年
七夕伝説の主人公のカップル、織姫と彦星・・・織姫はこと座のベガ、彦星はわし座のアルタイルという星です。
ベガとアルタイルは、ちょうど天の川の対岸に光る星。とても明るい恒星で肉眼で観測できます。この星の距離は・・・「15光年」つまり光の早さで15年かかるというわけです。距離にして約150兆km・・・宇宙の広さからすればすぐそこ・・・でも、年に一度会うにしてはこれは遠い。それも彦星は牛車に乗って会いに行くはず。
「いやいや彦星さん、こんな距離を牛車で行く気かい?」と言いたくなる距離です。
仮に彦星のスーパー牛車が光の速さを記録したとしてもです!織姫のベガまで15年はかかるのですから、はい、もう解ったと思います。
つまり「年に一度の逢瀬」はまず無理!
もちろん、七夕は伝説ですから、きっと彦星は年に一度のその日だけは光より早くワープできる・・・のでしょう。
天の川は太陽系が属している銀河
織姫と彦星の間にある天の川は、夏の夜空を横断している光の川のようにみえます。
実はこれ、私たちの太陽系が属している天の川銀河(銀河系)を横から見ているものなんです。つまり、天の川は銀河だったんですね。
天の川銀河は、大きな棒渦巻き銀河で直径10万光年!とんでもなく大きいです。
この川を挟んで対岸に光る星のベガとアルタイルが織姫と彦星になぞらえられたのですね。
織姫と彦星は1年1度会えるのか
距離は15光年・・・彦星は牛車で織姫に会いに行く・・・と考えれば、織姫と彦星が1年に一度逢瀬をするのはあんまり現実的ではありません。
もちろん、七夕は伝説・・・ですから、実際の恒星の距離を持ち出すのはちょっと風情に欠けるかもしれません。ですが、敢えて現実的にベガとアルタイルの距離を考えれば、年に一度の逢瀬はちょっと無理というのが結論になります。
光の速さで移動しても15年は年に一度の逢瀬をするにはちょっと距離が遠すぎるといわざるを得ません。
まとめ
今回は、日本の夏の風物詩でもある七夕についてもかなり現実的な話しをしてみました。
一年に一度、七夕の日だけ逢える織姫と彦星の伝説はとてもロマンティックですが、織姫と彦星に当てはめられているベガとアルタイルの距離は15光年・・・。彦星は、織姫のところまで牛車で会いに行くというのが七夕伝説ですから、光より早く移動できる牛車がないとかなり厳しいものがあります。ですから、年に一度の逢瀬をするにはちょっと距離が離れすぎているようです。
ロマンティックな七夕伝説をこんな風に現実的にしてしまうのは、あまりおしゃれなことではありませんが、ベガとアルタイルの距離を考えて見ると年に一度の逢瀬はちょっと難しいようです。
もちろん、七夕伝説を楽しむのは別。短冊に願いを書いて楽しみましょう。
参考資料:国立天文台 七夕について教えて