これはかつて、京都府の山中で2人の主婦が凄惨な死を遂げた『長岡京ワラビ採り殺人事件』に関する記事の【パート4】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~3】をお読みください。
【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -1-
【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -2-
【未解決事件】『長岡京ワラビ採り殺人事件』を徹底解説 -3-
犯人が残したもの (証拠)
包丁
これは犯人が残した唯一の物的証拠である。しかしこの包丁に指紋は残されていなかったことから、犯人は手袋を装着していたことは間違いない。
探偵アニメやサスペンスドラマでお馴染みである「指紋」―。
本事件において、たとえ包丁に犯人の指紋が付着していたとしても、この犯人に犯罪歴がなければ意味がない(例えば身内の犯行など、ある程度犯人の検討がつく場合は例外)。
犯罪歴がなければ当然、警察の犯罪者データにその指紋が登録されていないので、仮にここで指紋が残されていたとしても特定のされようがない。
この事件では、犯人が遺留品に自身の指紋が付着しないように徹底する様が窺える。となれば、この事件の犯人は犯罪歴を持つ人間か。もしくは、これを裏返すと身内の犯行も考えられる。
日本では2015年、国民一人ひとりに個人番号が振り分けられ、マイナンバー制度が導入された。我が国日本でもいよいよ国民を番号で管理する時代が訪れた。
ちなみにお隣韓国では、このマイナンバーに加えて全国民の指紋登録が義務化されている。国民は16歳を迎えると両手すべての指紋をとられる。超管理社会である。
垂直方向に多数の傷が付いている。これは殺害時にできた傷ではない
犯人が残した包丁はいわゆる三徳包丁(文化包丁)であり、一般家庭でごく当たり前に使われるもの。全長約30cm、刃渡り18cm、柄は木製であった。
警察がこの包丁を調べたところ、以下のことが分かった(推察も含む)。
- 岐阜県関市で製造されたもの (約7万本の中の1本)
- 廃番モデルであった (事件の数年前に製造中止となっていた)
- アウトレット品か (製造会社の銘が入っていないことから)
言わずと知れた”刃物のまち”である。刃物の生産が盛んで、多くの刃物メーカーがここに拠点を置くほか、毎年10月には「刃物まつり」が開催される。
“関市の包丁”は料理人など、こだわりを持つ人たちに多く愛用されている。
犯人が残した包丁。その刃に付いた傷は、小石などが混じった土中に刺すような使い方をすると同様の傷が付くという。つまり、包丁を使ってタケノコ掘りをするとこうした傷がその刃に付く。
ちなみに、本事件の数年前から事件の舞台となった野山では、タケノコ狩りが横行していた。本来、これは良しとされないことであるが、地元の人間の間では黙認し合いながらこれが行われていたという。こうした人たちの多くはタケノコを掘り起こすのではなく、タケノコの土から出た部分のみを包丁でスパッと切って持ち帰っていた。そのため、事件現場付近の山中で手に包丁を持っていたとしても、その服装や挙動次第では不審に映らなかったことも考えられる。
足跡
遺体発見現場の付近で見つかったいくつかの足跡の中で、ひとつ不審なものがあった。それはレジャーシューズや登山靴のような深い溝のある足跡ではない、靴裏の溝や模様のない足跡があった。これは革靴の可能性が高いとみられている。
これが殺害された2人の足跡と一致しないことから、警察はこれを犯人のものと断定。
“革靴で入山する”
革靴を履くと人間といえば―。
そのほか犯人が残したもの
物的証拠として犯人が残したものは、先述したとおり凶器の包丁である。そのほか犯人が残したものとして挙げられるのはまだある。
決して忘れてはならない。明石さんの体内で検出された犯人の精液だ。さらに、実は水野さんのポロシャツには犯人のものと思われる体毛が付着していた。
警察がこれらを鑑定した結果、犯人の血液型はO型であると判明した。
気になる事件後の動きについては【パート5】にて。