キノコといえば、世界中の美食家たちに愛される食材のひとつです。私たちの食生活においても身近な存在であり、多くの料理に使われます。
秋のシーズンになると、山に入ってキノコ狩りを楽しむ人がたくさんいます。自分で採った秋の味覚をいただくことは、なんとも贅沢です。しかしながら、こうした陰で毎年のようにキノコ狩りによる食中毒事故の報道があることも見逃せません。
キノコ狩りは、専門知識を持った人と一緒に行うことが鉄則。
キノコに関する十分な知識を持たない素人だけで、安易にキノコを採って食べてしまうことは非常に危険です。中には食べずとも、触れただけでその身に危険を及ぼすキノコもありますから、自生しているキノコに対しては十分すぎるほどの注意が必要です。
そこで今回は注意喚起の意味も込めて、厳選した危険な毒キノコを3種類ご紹介します。
第3位 ベニテングタケ
危険度:★★★★★★☆☆☆☆
第3位は、ベニテングタケです。
“このキノコ、どこかで見たことがある”という人も多いのではないでしょうか。それもそのはずで、ニンテンドーの人気キャラクターであるマリオがパワーアップするキノコは、このベニテングタケがモデルになっています。また、ディズニー映画内でしばしば登場するキノコも同様です。
私たちに馴染み深い”白の水玉模様の赤いキノコ”は、このベニテングタケがモチーフとなっているのです。まさにアイコンともいえる”ポピュラーな”キノコです。
毒キノコながら毒性はさほど強くなく、致死量は生の状態で5kgといわれています。これほどの量は到底食べられる量ではないため、ベニテングタケによる死亡例は非常に稀です。
摂食すると、30分~1時間ほどで吐き気や眠気を催し、それから酩酊感(酒酔い状態)が現れます。食べ過ぎると腹痛や嘔吐、下痢を起こし、より重い中毒症状に陥ると、幻覚や昏睡状態に。症状は長いもので2日以上続く場合もありますが、たいていの場合は12~24時間程度で治まります。
ベニテングタケの毒成分は水溶性のため、薄く刻んで水で洗ったり、茹でることを数回繰り返すと無毒状態で食べることができます。とはいえ、あくまで毒キノコですから、食べることはおすすめしません。
第2位 ドクツルタケ
危険度:★★★★★★★★☆☆
第2位は、ドクツルタケです。
「ヤバい毒キノコ」と聞いて、”毒々しい”カラフルな配色のキノコを想像していた人もいるのではないでしょうか。しかし「ヤバい毒キノコ」の第2位に輝いたのは、なんとも可憐な純白のキノコでした。
このドクツルタケ、欧米では「破壊の天使」という異名を持っており、美と毒が同居した神秘的なキノコといえるでしょう。
このドクツルタケは、その見た目に反して毒性は極めて高く、”世界一危険なキノコ”ともいわれています。日本国内でも死亡率の高い毒キノコとして非常に恐れられています。
致死量は1本。摂食から6~24時間でコレラのような腹痛や嘔吐、下痢の症状が起きます。これらの症状はたいてい1日ほどで治まるため、摂食者は「単なる食あたり」と油断してしまいます。ところがその約1週間後には、肝臓や腎臓の組織が破壊され、やがて死に至ります。
ドクツルタケの恐ろしさは、強烈な毒性以上にその見た目にあります。
・素人目では、その見た目からは非常に危険な毒キノコとは想像できないこと
・またドクツルタケはシロツルタケといった白い食用キノコによく似ていること
誤ってドクツルタケを食べてしまうことを恐れて、白いキノコを食べない人がいるほど
食用のシロツルタケ
ドクツルタケは、その見た目とのギャップが激しい非常に危険なキノコなのです。
第1位 カエンタケ
危険度:★★★★★★★★★★
「ヤバい毒キノコ」堂々の第1位はカエンタケです。
“カエンタケ”という名の通り、燃え盛る火炎のようなその見た目が最大の特徴です。
色や形状から、ともすればキノコではなく”なにかの植物”と勘違いされがちです。これにより、軽い気持ちで触ってしまいそうですが、これが非常に危険なのです。というのも、このカエンタケは触れただけで皮膚がただれてしまうのです。数ある毒キノコの中でも、皮膚から毒素が吸収されるものはカエンタケのみといわれています。
致死量はわずか3g(1円玉3枚分)。恐ろしいことに、摂食から10分前後という超短時間で症状が現れます。初期には腹痛や嘔吐、下痢。その後、めまいや手足の痺れ、呼吸困難。それだけにとどまらず、言語障害や全身の皮膚のびらん、肝不全、腎不全、呼吸器不全など様々な重篤な症状が現れます。
致死率は非常に高く、よしんば回復しても脳の萎縮や言語障害、運動障害、脱毛などの後遺症が残る可能性があります。
このように、カエンタケこそ文句なしの「ヤバい毒キノコ」といえるでしょう。
おわりに
以上、本記事が厳選した「ヤバい毒キノコ」を3本ご紹介しました。今回ご紹介したどのキノコも危険なものばかりでしたが、世の中には美味しい食用のキノコもたくさんあることを忘れないでください。
本記事を読んだからといって、どうかキノコを嫌いにならないでくださいね。
テンペワゾウスキ