※これは人を操る話術『コールド・リーディング』に関する記事の【パート4】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~3】をお読みください。
【保存版】究極の話術『コールド・リーディング』を徹底解説 -1-
【保存版】究極の話術『コールド・リーディング』を徹底解説 -2-
【保存版】究極の話術『コールド・リーディング』を徹底解説 -3-
【実践パート】:『コールド・リーディング』の技法
前編【パート3】にて、『コールド・リーディング』における基本テクニックの「ステップ1」を解説しました。本編では「ステップ2」を解説していきます。
『コールド・リーディング』 基本テクニック
ステップ2 対象者に質問する
対象者に当てはまりそうなことを質問する。これは単純に的中する確率を高める目的だけでなく、”人間の心理を利用する“という重要な意味がある。
簡単にいえば、心理テストの結果に”当たってる!”と妙に納得してしまうあの現象のこと。
よくよく考えてみれば誰にでも当てはまるというようなことであっても、いかにも占いや霊能力によるものとして告げられると、それに自ら当てはまりにいくという心理が人間にはある。
占いなどはなんの根拠もないのだが、このバーナム効果を利用することでその信憑性を生み出している。まさに”バーナム効果さまさま”である。
【対象者に当てはまりそうなことを質問する】実用例 (解説付き)
-コールド・リーディングは網を使った漁である-
(本記事筆者 テンペ・ワゾウスキはこのように提唱します)
コールド・リーディングのイメージ
画像引用:【お魚ガイド関連情報】さまざま漁法の解説(WWF Webサイト)
対象者:60代の女性 ※これはシミュレーションです
男性でしょうか。手を振っている姿がみえます。しかしながら、どこか悲しげな印象を受けます。近ごろ、身近な人でどなたか亡くなりましたか?
POINT
まず注目していただきたいのは、対象者の60代という年齢である。
リーダーは対象者の外観(容姿や様子)から、リーディングをどのように展開していくかという方針を瞬時に決める。このケースの場合、対象者の「60代」と「女性」という2つの要素を使って、「身近な男性が近ごろ亡くなっていませんか?」という”高確率で対象者に当てはまる質問”を瞬時に作り出している。青色の部分では、「男性でしょうか」「手を振っている姿(=”親密”、”亡くなった人”)」「悲しげ(=”死”)」というキーワードから「亡くなった男性」を暗示している。このように、ぼんやりと間接的に表現することでリアル感を演出している。
ちなみに、単純に「亡くなった人」ではなく「亡くなった男性」としているのは、限定することで質問がヒットしたときの印象を強めるためである。これは対象者を信じ込ませやすくするための工夫であり、要するに説得力を高めている。
ここで「女性」ではなく「男性」と限定しているのは、対象者が女性であるからである。つまり対象者が結婚している場合に、夫が”身近な人”に加わる。「女性」で限定するより「男性」で限定した方が1人分お得になる。結果的に質問がヒットする確率が高まるというわけだ。青色の部分を組み立てて完成させた質問がピンク色の部分になる。完成形の質問、つまり”対象者に高確率で当てはまる質問”である。ではなぜ、これが対象者に当てはまりそうな質問なのか―。
- 対象者は60代ということで、その父親は高齢であることが想像できる。つまり近ごろ死亡した可能性が高い (1つ目の網)👈ヒットする可能性が最も高い
⇒ここで注目すべきは、「近ごろ」というそう遠くない過去を指す漠然としたフレーズ。具体的に”1年前”や”1年以内”などと明確にいわずに網を広げておく。「近ごろ」の解釈は人それぞれである。それは2年かもしれないし、5年かもしれない。
さらなるポイントは、漠然とした過去を示すのに「近ごろ」を使っていること。同じ意味を持つ単語に「最近」があるが、これだと本当に”つい最近”といったように近い過去を思い浮かべさせてしまう恐れがあるため、これを使うのを避けている。- 対象者の父親が存命であっても、まだ夫がいる (2つ目の網)
⇒60代である対象者の夫ということで、これもそこそこ高齢であることに期待ができる。つまり死亡の可能性は高まる。- 夫も存命である場合、対象者は親類や近しい友人の中から質問に当てはまる人物を頭の中で探す (3つ目の網)
⇒親類や近しい友人は立派な”身近な人”である。そしてお気付きだろうか、対象者は質問に当てはまる人物を頭の中で検索している。つまり、対象者は無意識のうちにリーダーに協力してしまっている。- 親類や近しい友人の中にも質問に当てはまる人がいない。👈質問がハズレてしまった。ピンチか?
さて、”高確率で対象者に当てはまる質問”がことごとく空振り。質問がハズレてしまった場合はどうすればよいのでしょうか―。【パート5】に続く。