※これはかつて、ひとりの女子高生が白昼に忽然と姿を消した『室蘭女子高生失踪事件』に関する記事の【後編】です。本記事をお読みになる前に、ぜひとも【前編】 / 【中編】をお読みください。

【未解決事件】『室蘭女子高生失踪事件』の真相に迫る -前編-【考察シリーズ】

【未解決事件】『室蘭女子高生失踪事件』の真相に迫る -中編-【考察シリーズ】

麻未さんの失踪後

コーヒーの淹れ方の講習を受けるために、自宅からアルバイト先であるパン屋(本店)へと向かった千田 麻未さん。そのまま行方不明となったことで、この日麻未さんと会うことになっていたパン屋のオーナーに疑いの目が向けられることになります。
警察は麻未さんの失踪に対し、"事件性あり"と判断。拉致事件(もしくは殺人事件)として捜査を開始。そこでかねてより"クロ"と睨んでいたパン屋のオーナーを徹底的にマーク。3日間にわたる任意の取り調べに加え、所有する車両を押収。さらには自宅と店舗を家宅捜索しました。
しかしながら、いかなる点においても事件との関係性が認められることはありませんでした―。

失踪の手掛かりとなり得る関係者の証言・事件に関する不可解な点

未だ未解決であるこの事件には、数々の不可解な点が存在します。それだけでなく、麻未さん失踪の手掛かりとなり得る関係者の証言もまた多くあります。
『室蘭女子高生失踪事件』についてここまでお伝えしましたが、これを踏まえた上でそれらを以下に列挙します。
※あくまで関係者の証言です。これらのすべてが正しい情報であるとは限りません。

麻未さん自身に関して

関係者の証言

  • ファンクラブをはじめ、多くの異性からのアプローチにストレスを感じていた
    ↳ところが麻未さんに交際相手がいることはほとんど知られていなかった。もしも自分に好意を寄せる男性が寄ってくることにうんざりしているのであれば、交際相手がいることを表立たせればよかったのではないか。
  • 麻未さんは自分がストーカー被害に遭っていることをパン屋のオーナーに告白していた
    ↳しかしながら、ストーカーに関する一切の情報がない。
  • 麻未さんは万引きを常習的に行っていた
    ↳室蘭サティの化粧品売り場で約22分間、何を買うでもなく滞在していた点はこの裏付けにならないでもない。とはいえ、その様子を収めた防犯カメラの様子からは、単純に時間を潰すために店内をぶらついていたようにもみえる。なにより、これは周囲の人たちによる麻未さんの評価からはあまりにもかけ離れている。
  • 麻未さんがアルバイトしていたのは失踪の資金作りのためだった
    ↳関係者の証言からは、麻未さんが自ら行方をくらます理由が見当たらない。さらに麻未さんがアルバイトをはじめたのは失踪から僅か4か月前であり、彼女がこのアルバイトでまとまったお金を作れるとは到底考えられない。
  • 麻未さんは将来、看護の道に進むことを志していた
    ↳麻未さんの通っていた室蘭栄高校は屈指の進学校であるが、彼女は看護学校への進学を希望していたようである。
    身近に身体の不自由な人がいたという話もある。進学校に通い、成績優秀の麻未さんであったが、ジレンマを抱えて自身の進路に悩んでいた可能性は十分にある。

客観的情報から窺えること

  • 麻未さんが自発的に失踪したとは考えにくい
    ↳室蘭サティの防犯カメラ映像に映る麻未さんは身軽である。大きな荷物を持っておらず、その様子からはこのとき彼女が計画的に失踪したとは思えない。

麻未さんの失踪に関して

不可解な点

  • 失踪直前に交際相手と交わした電話でのやりとりに違和感がある
    ↳室蘭サティからパン屋本店へ向かう麻未さん。このとき彼女が目的地最寄りの「東通」バス停で下車してすぐに、交際相手が麻未さんに電話を入れている。この通話が終わった数分後、交際相手は彼女に再度電話をかけているが、これは麻未さんの携帯電話が不通となる直前であった。これらは偶然にしては、少々出来過ぎであることは否めない。
  • 警察の捜査 1
    ↳警察は麻未さんの捜索において、初動で警察犬を導入しなかった。これが捜査を遅らせた決定的な要因となった。なぜ警察はすぐに警察犬を導入しなかったのか。
  • 警察の捜査 2
    ↳室蘭サティの防犯カメラによって撮影された映像は、事件から5年後に公開された。なぜこれほど後になって映像が公開されたのか。また、同店で麻未さんの姿をとらえた防犯カメラの映像は他にも存在しているといわれているが、これらは公になっていない。
  • 警察の捜査 3
    ↳警察の捜査が開始されたのは、事件から11日後の3月17日であった。この点でも捜査の初動が遅かったことは間違いなくいえる。

周囲による指摘

  • 他事件同一犯による犯行の可能性 1*
    ↳事件の様子が道内で起きた他の事件に類似している(北海道旭川少年行方不明事件/2012年)。しかしながら、これら2つの事件の発生時期があまりにも離れている(本事件は2001年)。
  • 他事件同一犯による犯行の可能性 2*
    事件の様子が他の事件に類似している(町田美大生失踪事件/1999年)。事件発生時期は近いが、北海道・東京と事件発生場所の距離がかなり離れている。
    *(本事件が第三者に巻き起こされたものであるという仮定の上)

アルバイト先(パン屋本店)に関して

関係者の証言

  • オーナーは麻未さんに好意を持っていた
    ↳オーナーには麻未さんに対するセクハラ紛いの言動があったといわれている。
  • そもそもコーヒー講習などそれまで行われていなかった
    ↳だとすれば、オーナーはなぜ麻未さんだけにコーヒー講習を受けさせようとしたのか。麻未さんに好意を寄せていたオーナーが、麻未さんと二人きりになるための口実のためにコーヒー講習を画策したとも考えられる。
  • 麻未さんが失踪まで勤務していた支店の店長が自殺
    ↳事件との関係があったために、その発覚を恐れて自殺に及んだ可能性もある。

店舗の状況

  • 店舗の造りに防犯上の瑕疵(かし)があった
    ↳店の裏口は屋根付きの広い駐車場になっており、ここで麻未さんが何者かに連れ去られた可能性も考えられる。
  • 失踪当時、店の正面ビルでは大規模な工事が行われていた
    ↳このとき店の周辺をトラックが頻繁に出入りしていた。悪意を持つ人間がトラックと店舗駐車場を利用すれば、麻未さんを連れ去ることは不可能ではない。
  • 店舗が入っていたビルはオーナー所有のものだった
    ↳そのため、オーナーが階上の空室を居住スペースとして使っていた可能性は十分にある。だとすると、そこは麻未さんを監禁する上でほかにない好都合な場所であるといえる。
  • 事件後、店舗が入っていたビルは競売にかけられた
    ↳事件後、パン屋の経営状況が悪化して店は閉店となった。オーナーは破産し、ビルは差し押さえられた。
  • 当時、店舗周辺の治安は悪かった

オーナーに関する不可解な点

  • アリバイがない
    ↳とはいうものの、重要参考人として警察による捜査の手が入ったにもかかわらず、決め手となる証拠は出なかった。
  • 麻未さんが店に現れなかったときの対応に疑問
    ↳麻未さんが約束の時間になっても店に姿をみせないため、彼女を探しに出かけたと証言。普通であれば、まずは電話をかけるものであるが、なぜそうしなかったのかは甚だ疑問である。

『室蘭女子高生失踪事件』:本記事による考察

以上、『室蘭女子高生失踪事件』についてここまでお伝えしましたが、本記事ではこの事件を以下のように考察します。


麻未さんの失踪は、間違いなく第三者によって起こされた事件である。これは拉致事件であり、彼女は何者かに連れ去られた。
この事件の黒幕として疑わしい人物―。これが麻未さんのアルバイト先であったパン屋のオーナーである線は依然として捨てきれない。とはいえ、警察があらゆる角度から彼を調べ上げた結果、事件に関係する決定的証拠が出てこなかったことを考えると、彼を"クロ"として疑うのは少々乱暴だろう。

こうした中で、この事件の真相として本記事が最終的に行き着いたのは、北朝鮮による拉致。実は麻未さんの失踪当時、彼女が訪ねていた各所からほど近いイタンキ浜において、麻未さんとよく似た女性の目撃情報がある。


麻未さんの目撃情報があるイタンキ浜

北朝鮮による拉致被害者として有名な横田 めぐみさん。彼女も麻未さん同様に白昼堂々、人通りの多い場所で拉致されている。また、めぐみさんは日本海に面した新潟県で拉致被害に遭っている。
麻未さんが失踪当時にいた可能性のあるイタンキ浜は日本海に面しているわけではないものの、比較的容易に日本海から進入できる。さらに、北朝鮮からの直線距離は、多くの北朝鮮工作員が秘密裏に上陸する新潟県と大差ない。


イタンキ浜と北朝鮮の位置関係


麻未さん失踪に関係のある各要所の位置関係

こうしたことから、本記事ではこの『室蘭女子高生失踪事件』の真相を「北朝鮮による拉致」であると結論付けました。


麻未さんが生存していれば、彼女は現在35歳である。(2020年5月現在)
2001年3月6日、忽然と姿を消した麻未さん。

端麗な女子高生であったその面影を残す女性は、今もどこかで暮らしているのだろうか―。

テンペワゾウスキ