これはかつて、東京都西部のスーパー従業員3人が射殺された『八王子スーパー強盗殺人事件』に関する記事の【パート8】です。本編をお読みになる前に、ぜひとも【パート1~7】をお読みください。


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事件の容疑者

犯人とほぼ同一の指紋を持つ日本人 "1億分の1の男"


2015年2月18日付けの毎日新聞が、「約10年前(2015年当時から)に死亡した日本人男性の指紋と、犯人が残した指紋がほぼ一致したことが判明した」と報じた。この事実に関する詳細は次のとおり。
捜査機関は特殊な薬品を使い、現場に残されたガムテープの粘着面から犯人のものと思われる指紋の一部の採取に成功。これを警視庁が保有する1,000万人以上の指紋データベースと照合、すると8点の特徴点が一致する指紋データが検出された。このように8点の特徴点が一致する確率は"1億人に1人"といわれており、これはもはや同一人物と断定できるレベルである。とはいえ、警察や司法当局は同一人物と断定できる基準を「12点」と定めているため、この人物を本事件の犯人と断定するには至らなかった。

ちなみに、この"1億分の1の男"の素性が明らかになっている。というのも、この指紋照合の件のずっと前から男は捜査線上に浮上していたからである。
本事件が起きる1か月ほど前、男の息子が交通事故を起こして被害者から多額の損害賠償金を請求されていたという事実がある。男はその支払いに困っていたことから、強盗事件である本件の容疑者として初動捜査の時点から警察にマークされていたのである。
さらにこの男は事件発生当時、「ナンペイ」と同じ多摩地区に住んでいたほか、現場で目撃された不審車両と同じ車種(色も同じ)を所有していたことから、警察に事情聴取されていた。

事件当夜 目撃された不審車両

事件当夜に何度か目撃された不審車両はいずれも白。車種はトヨタの「チェイサー」であるとみられている。(モデルは定かではない)

こうしてみると非常に疑わしい1億分の1の男であるが、男の出勤記録から事件発生時のアリバイが成立している。ちなみに、この男はタクシー運転手であった。
さらに、DNA鑑定では犯人と一致しないことから、"少なくとも"実行犯ではないとの見方が強まっている。尚、男は本事件から間もなくして60代で病死している。

"1億分の1の男" なぜ警察のデータベースにその指紋情報が?

日本において、警察に指紋データを採られているのは犯罪歴のあるものに限られる。つまり、この男には前歴があるということ。実はこの男、本事件の前に盆栽の窃盗容疑で逮捕されている。男はその際に指紋を採取されていたのである。

閉店間際のカップル


事件から23年目となる2018年7月、警視庁は本事件に関する新たな情報を公開した。
それは事件当日、閉店間際の「ナンペイ」で買い物をしたカップル(前出)についての情報である。このカップルは焼きそば、お好み焼き、果物などを購入し、本事件における不審車両の特徴と一致する白い車で去っている。
警察はこの2人が犯人を目撃した可能性を示唆し、2人の所在を追っている。警察はこのカップルの特徴をホームページに公開し情報提供を求めているが、現在においてもその身元は判明していない。(2020年7月現在)

閉店間際のカップルについて

警察はこのカップルを犯人目撃の可能性を持つ参考人として扱っているが、内部的には容疑者として見立てていることが考えられる。

「参考人」とは
事件に関する情報を知るが故に、捜査機関が行う取り調べの対象となる人のこと。また、被疑者以外の人のことを指す。よく似た言葉に「重要参考人」があるが、これとは異なる。
ちなみに重要参考人は、事件において嫌疑が濃厚な者のこと。重要参考人は取り調べが開始されるまでは「重要参考人」、開始後には「被疑者」となる。つまり重要参考人は被疑者とほぼ同義である。

謎の女


これは先述した"閉店間際のカップル"に関する情報と併せて公開され、新たな容疑者のひとりとして浮かび上がった人物である。
この女は事件前に「ナンペイ」の事務所に出入りしていたとされている。ちなみに、事務所内の灰皿に口紅が付着した吸い殻が残されており、"事務所に出入りしていた女"とこの吸い殻の主は同一人物であると考えられている。吸い殻から採取したDNAは、従業員や店舗に出入りする業者の人間たちのものとは一致しなかったためである。
この女に関しても、その身元が分かっていない。

 


パート9】に続く。いよいよ考察パートに入ります。