“バイトが終わったら一緒にお祭りに行こうね”
その約束は果たされぬまま、夏休みの女子高生ふたりの生涯は突如終わりを迎えることに。
勉強、恋愛、アルバイト。彼女たちの夏は始まったばかりだった―。
今回取り上げる未解決事件は『八王子スーパー強盗殺人事件』。2人の高校生を含めた女性従業員3人が射殺され、迷宮入りとなった事件です。通称「ナンペイ事件」と呼ばれているので、この名称でピンとくる方もいることでしょう。
【考察シリーズ】第7弾。今回もまた、本記事筆者 テンペ・ワゾウスキが未解決事件を独自の視点やリサーチに基づいて徹底解説。記事の終盤には事件の考察を展開。謎多き未解決事件の真相に迫ります。
※本記事で記述している各情報は、筆者が精査し”信憑性が高い”と判断したものです。また、本記事のおわりに結論として示す「真相」とは、筆者による考察のことを指します。
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『八王子スーパー強盗殺人事件』の概要
1995年(平成7年)7月30日。
事件の舞台となったのは、東京都八王子市大和田町の「スーパーナンペイ 大和田店(以下:ナンペイ)」。その2階事務所内で拳銃を持った何者かに女性従業員3人が射殺された。
この事件の被害者となったのは、いずれも同店に勤める稲垣 則子さん(47歳)、前田 寛美さん(16歳)、矢吹 恵さん(17歳)。※年齢はいずれも事件当時
犯行時刻は21時15分から20分の間といわれており、僅か5分以内に行われた犯行であったと推測されている。
事件当夜、店の斜向かい(はすむかい)の公園では盆踊り大会の祭りが開かれており、殺害された前田さんと矢吹さんはこの祭りに行く予定であった。
スーパーナンペイ 大和田店
事件の舞台となった「ナンペイ」は住宅街の中にあり、比較的小規模の店舗であった。そのため、従業員はアルバイトを含め計20人ほど。決して大手スーパーとは言えないながらも、地域住民に親しまれた”地域密着型”のスーパーマーケットであった。
営業時間は午前10時~午後9時まで。この店舗の責任者であったのは、スーパーナンペイグループの専務。毎朝、営業前に事務所を開けるのは専務が行っていた。
事件の被害者
殺害された3人の被害者
稲垣 則子さん
事件当時47歳。”美人”と評判の独身であった。
稲垣さんはパート従業員として夜間に勤務。店長などの責任者は開店から出勤して夜間には店に不在のため、夜の営業時間帯には”夜間店長”として彼女が店長代理を務めていた。また事件直前のある日、稲垣さんは夜間金庫係に任命され、閉店時における売上金の取り扱いを任されることになった(それまでは専務がこれを行っていたと思われる)。
長年、飲食店を経営していた稲垣さんであったが、店をたたんで介護福祉士を志すようになる。そこで試験勉強の傍ら、同店で働いていた。
実は稲垣さんは一度店を辞めており(退職した理由は後述)、奇しくも稲垣さんが再び働きはじめたのは、事件の起きた7月であった。
店での役割や殺害状況から、周囲からの信頼が厚く責任感の強い人であったことが窺える。
矢吹 恵さん
事件当時17歳の高校2年生。店のすぐ近くに自宅があった。
子どもが大好きで、夢は保育士になることであった。青春真っただ中ともいえるこの夏休みには、友達との予定をたくさん詰め込んでいたという。
前田 寛美さん
事件当時16歳の高校2年生であり、矢吹さんとは小学生からの幼馴染であった。
前田さんは高校生活の傍らボランティア活動を積極的に取り組み、地元の老人ホームでは評判であった。”真面目で気配りができる”と周囲から好感を持たれていた。
事件の解説(時系列でみる事件当日の経過)は【パート2】にて。