地球にぶつかる小惑星の軌道を変える?NASAが軌道変更実験を実施

「地球に隕石が衝突したら・・・」

衝突する天体のサイズによっては、人類はもちろん、地球上のほぼすべての生物が死滅してしまう可能性もあります。

ずっと昔の地球で反映していた恐竜を絶滅させたのも宇宙からの小惑星の衝突が原因だったといわれています。

地震や台風のように身近な現象ではありませんが、実際に地球に隕石や小惑星が衝突するという危険はいつもあるもの・・・。地球に衝突したらする可能性がある天体は宇宙空間にたくさんありますし、まだ、見つかっていない天体もあるでしょう。

その危険を回避するための方法としてNASAが「軌道変更実験」を実施しています。

NASAが小惑星の軌道変更実験をしている

「地球に衝突しそうな小惑星を破壊して軌道を変える・・・」

いつかそんな映画があったような気がしますが、今回、ご紹介するのは映画ではなく本当に小惑星の軌道を変更させることができるのかを実験しているという話題です。

 

この実験をしているのは、NASAでDART計画という名前がつけられています。

(CNN) 米航空宇宙局(NASA)は、地球に接近する小惑星の軌道を変えさせる「DART」計画の実験機を、11月23日に米カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げると発表した。2022年に小惑星に衝突させ、軌道の変化を見極める。

引用:小惑星に衝突させる宇宙船11月に打ち上げ、軌道変更実験実施へ NASA-CNN.co.jp

あのNASAが本気で実験をはじめたようなのです。

この計画のターゲットになるのは、ディモーフォスという衛星でディディモスという地球近傍天体の周囲を回っている星です。

ちなみに、地球近傍天体というのは、地球に接近する軌道で動いている天体の総称で地球に接近するため衝突の危険がある天体です。当然、NASAはこの地球近傍天体の調査に力を入れています。

さて、今回の軌道変更実験ですが、そのターゲットになっディモーフォスの直径は160メートルです。

ちなみに、100メートルサイズの天体が衝突した場合は、地球滅亡とまではいかないかもしれませんが、地表に直径1キロのクレーターが形成され周囲数十キロが爆風などで被害を受けるとされてます。

地球の大きさからすれば、100メートルはたいしたことがないように思いますが、実際に衝突したら大変な被害が出るサイズです。

 

DART計画では、このディモーフォスの軌道を変えることができるのかを実験します。

実験はいつどんな風に行われるの?

もちろん、この計画が実施されたら世界初の地球を防衛するための実験ということになります。

ターゲットのディモーフォスは2022年9月に地球から約1100万キロのところまで接近しますので、このタイミングでDART実験機を衝突させて「ターゲットの軌道が変化するか」を実験します。

このDART実験機は、今年の11月23日に米カリフォルニア州にあるバンデンバーグ宇宙軍基地から打ち上げられる予定。

つまり、来年の9月に衝突させる予定の実験機をすでに今年の11月には打ち上げるということになります。

 

その後、望遠鏡などで衝突の瞬間や実際に軌道を変えられるのかといったデータを収集することになるのでしょう。

ちなみに、このターゲットのディモーフォスは時速約2万4000キロというとんでもない速度で動いてします。160メートルのターゲットにピンポイントで衝突させることができるのか、そしてどの程度軌道が変わるのかはもちろん、現時点では不明。

ただ、この実験が成功すれば、早い段階で地球に衝突しそうな天体を発見できれば、軌道を変えることも本当にできるようになるかもしれません。

人類が誕生してから、幸運なことに大きな被害をもたらすような小惑星の衝突はありませんでした。だからこそ、私達はここまで発展してきたのですが、この先、本当に映画のような隕石や小惑星の衝突がないとは言い切れません・・・。

NASAがこのような実験を始めた理由も気になるところですが、まずは、実験が上手くいくことを祈りたいですね。

参考資料:小惑星が8月末に地球に最接近…今後に備える「地球防衛会議」の衝突回避策とは?