恐竜を絶滅させたとされている隕石の衝突ですが、衝突する天体のサイズによってはとんでもないパワーを持っていることが解っています。
もちろん、小さな隕石であれば被害は原点的で地球上の生物が絶滅してしまうことはないでしょう。ですが、サイズが大きくなればなるほど衝突のエネルギーは大きくなり、場合によっては地球環境が大きく変化し生物が住めなくなってしまう可能性もあります。
映画「アルマゲドン」では、地球に衝突しようとしている小惑星を破壊するという感動的な演出があり、そして、人類は救われたわけですが実際に兵器などを用いて天体を破壊することができるのでしょうか。
隕石の衝突の可能性は常にある
隕石の衝突なんて「そんなことまで心配していられるか」というのも確かにごもっともな意見ではありますが、隕石の衝突は私達にとって「いつ起ってもおかしくない」現象です。
例えば、小惑星アポフィスは2021年3月6日に地球から1690万kmのところを通過しました。この程度の距離であれば何の問題もないわけですが、この小惑星は度々地球に接近し、このまま小惑星の軌道に変化がなければ2068年には地球に衝突する可能性があると警戒されています。
NASAには「潜在的に危険な小惑星リスト」という地球に衝突するかもしれないリストが存在しており、アホフィスは3位となっています。潜在的に危険な小惑星(Potentially Hazardous Asteroid, PHA)と呼ばれる危険な小惑星は1331個登録されています。
そして、小惑星の軌道は変わることが多く、今は「大丈夫」と思われている小惑星でも後に軌道が変化して衝突の可能性が発生することもあります。
核兵器を使っても小惑星をなんとかすることはできない?
映画のような隕石の衝突の話ですが「ぶつかる前に解るならなんとかできないの?」と思ってしまうもの。
嬉しくない事実ですが、地球上にはとんでもない破壊力を持っている核兵器やミサイルがあります。小惑星や隕石の衝突が起りそうなら、その天体にぶつけて軌道を変えるとか、破壊してしまえばいい!と思いますよね。
実は、NASAは小惑星の地球衝突シミュレーションのシナリオを持っています。
半年後に地球に小惑星が衝突するいうシミュレーションの結果・・・科学者は次のような答えを出しました。
現実に今回の2021PDC仮想シナリオが発生した場合、半年未満の期間でこの小惑星に対応する探査機(宇宙船)を打ち上げることは、現在の技術では不可能だと結論づけました。
そこで、参加者たちは次に核兵器を用いて小惑星の爆破・破壊ができないかを検討しました。
核兵器破壊ミッションを展開すれば、小惑星衝突による被害を大幅に減らすことが可能です。
しかし、今回想定されている35~700メートルのサイズ範囲を持つ小惑星を、核兵器で破壊できるかどうか不確かでした。
結果・・・核兵器でも無理だし、探査機などでの攻撃や軌道の変更も無理だということになりました。このシミュレーションでは35~700メートルが想定されているのですが、このサイズでも核兵器や探査機を使用して落下を阻止するのは難しいというんです。
ちなみに、恐竜を滅ぼした小惑星は直径が10kmという巨大なものでした。
2020年7月23日には、直径5Kmのサイズの天体が地球に接近していましたが、4カ月前まで観測されていなかったのです。もしかすると、今、この瞬間にも地球に向かっている誰も知らない天体があるのかもしれません。