人が死んだ後、どうなるのか・・・身体の機能が停止した後、痛みや感覚はどうなるのか・・・。今、生きている私達には解らないことです。
ですが、生きている以上、必ずすべての人が老いて病んでそして死んでいくということに変わりはありません。人はみんないつか死ぬもの、それは遅いか早いかの差でしかないわけですから、死んだ後、自分の身体や感覚がどうなるのかが気になるというのも当然のことです。
出来れば楽に眠るように旅立ちたいものですが、死んだ後のことは誰にも解りません。
そんな中で、最近、人の脳内で死後に活動を始めるDNAが発見されたんです。
人の死後に活動を始める遺伝子
人が死ぬと言うことは、身体の機能が停止するということ。よく「聴力が最後まで残る」なんて言われますが、それも死後は徐々に失われていくはずです。
人の死とは何かという、哲学的なものではなく一般的には身体の機能の停止=死という言い方ができるでしょう。機能が停止したはずの人の死後・・・当然、脳の機能も徐々に失われていくはずなのですが、死後の脳内で活動を開始するDNAが発見されたんです。
ゾンビ遺伝子なんて呼ばれるこの遺伝子を発見したのは、イリノイ大学のジェフリー・ローブ氏らの研究グループです。
ゾンビ細胞は以前から知られていた
人の死後に活動するゾンビ細胞は、2016年に発見されていました。
ローブ氏らは人間の精神神経障害を理解することを目的に、てんかん手術によって除去された新鮮な人間の大脳新皮質を死んだ人間の大脳新皮質と比較。DNAをmRNAに転写される際のパターンや遺伝子の発現量をRNAシーケンス (RNA-Seq)を用いて分析しました。その結果、神経系を構成する神経細胞(ニューロン)などの遺伝子が急速に活性を失っていくのに対し、一部の細胞の遺伝子は逆に活発化していきました。
そして、今回、人の脳内でも死後に活性化するゾンビ遺伝子が発見されたのです。ゾンビ遺伝子は、死後数時間にわたって活動をしたそう。神経系を構成する細胞内での動きが活発だったということですが、亡くなった人にこの遺伝子の動きがどのような効果を与えているのはか解りません。
細胞の除去から24時間経過した時点でニューロンが大幅に減少していくのに対し、グリア細胞の1種で脳と脊髄を守る免疫細胞として機能する「アストロサイト」や「ミクログリア」は除去から4時間後に活性化、12時間経過した時点で活性のピークに達したことが確認されました。
心停止後に脳が自分を守ろうとしているのか、それとも、免疫や脊髄などは最後まで機能するように人間の身体は出来ているのか・・・。
亡くなった人に聞いてみることはできないので、はっきりしたことは解っていませんが、細胞だけでなく脳内にも死後に活性化するDNAがあるというのは大きな発見です。
ちなみに・・・この死後の脳内の遺伝子を見るためには、亡くなってすぐの脳組織が必要です。今回の実験に使われた検体は本人の同意のもとに提供された者だったそうです。
ゾンビ遺伝子やゾンビ細胞がどうして、人の死後に活性化するのか、すでに機能停止して役目を終えた状態になってから細胞だけでなく脳内や遺伝子が活性化する理由が気になるところです。
‘Zombie’ genes? Research shows some genes come to life in the brain after death | UIC Today