昨今のゾンビブームでさまざまなタイプのゾンビが登場していますが、主人公やその家族がゾンビウイルスに感染し、人からゾンビへと変貌する過程を描いた作品があるのを知っていますか?
ゾンビ映画全体からみるとその本数は少ないものの、人間の本性や家族愛・人としての尊厳など考えさせられるものや、コメディタッチに描かれていて純粋に楽しめる作品があります。
今回はそんな「人からゾンビに変貌する過程」を見ることのできるゾンビ映画をご紹介していきますよ!
今回ご紹介する作品はどれもゾンビになる元凶は「ウイルス」ですが、感染者は主人公だけでなく、主人公の家族の作品もあるんですよ。
感染者が人からゾンビへと変貌していく段階で持つ気持ちや周囲の人々の葛藤など細かく描かれた作品もあり、中にはコメディタッチに描かれているものもありますが、ゾンビになる過程は作品やキャラクターによりさまざまな段階があるようです。
主人公・ロジャーはロス市警の刑事で連続強盗事件の捜査をおこなっていましたが、捜査していた事件の犯人がすべて「既に死んでいる」という情報をつかみ、とある製薬会社へと乗り込みます。
しかし運悪くロジャーは殉職してしまいますが、製薬会社内にあった死体蘇生装置によりこともあろうに「12時間だけ」ゾンビとして復活し、犯罪組織壊滅に乗り出すのですが…。
12時間という時間制限があるのがポイントですが、中華料理屋にあった食材までゾンビ化して動き出すなどなかなか面白いシチュエーションを見ることもできます。
後半は相棒のダグまでゾンビ化してしまいますが、12時間以内に「サルファ剤」を投与することで体内細胞の崩壊を防ぐことができるという設定になっています。そのため時間をやたらと気にはしているものの、主人公たちにあまり悲観的な気持ちがないような気も。
しかしラストシーンを見る限り、2人がサルファ剤投与に間に合ったのかは視聴者判断というところでしょうか。
出典:映画.com「スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間」
主人公・サマンサは母親と2人暮らしの女性でレズビアンでしたが、とあるパーティで出会った男性とそのときだけの肉体関係を持ってしまいます。
しかしその日から髪の毛が抜ける・目の充血・体が腐敗していくなどの症状が表れ性病にかかったのではと病院に行くも原因を突き止めることもできず、処方された薬も効果がないため症状はどんどん悪化しゾンビ化してしまうのを防げず…。
この作品でゾンビ化するのは主人公のサマンサだけですが、体調不良の原因がゾンビウイルスとはわからないのもまた怖いところ。肉体的な変化も細かく描かれていて、内臓系がやられたらどうなるかというような描写まであり、母親やレズビアンの彼女との関係など人間関係もしっかりと描いている作品です。
ラストで登場しサマンサと肉体関係を持ってしまったライリーのその後がどうなったのか気になる人は、続編の「アフター・デイズボディ 彼女がゾンビと化した世界」もチェック!
出典:映画.com「アフターデイズ・ボディ 彼女がゾンビと化した世界」
同性愛者と言っていたサマンサと肉体関係を持ったライリーでしたが、彼女が病気だったこと、彼女に襲われた友人アリスが感染していることを知りませんでした。アリスに会ったライリーは襲いかかられてしまい、誤ってアリスを殺してしまいます。
アリスの変化が気になりライリーは姉の夫が務めている病院で検査を受けることになるのですが、検査自体は問題がなかったものの、サマンサが「壊死性の性病」だったということ聞かされ不安は募るばかり。サマンサに付けられた傷が悪化していき鼻血が止まらなくなるという症状まで出始め、症状が悪化していくライリーの目の前に全ての元凶である「BJ」と名乗る男が姿を現すのですが…。
「スリーデイズ・ボディ 彼女がゾンビになるまでの3日間」の続編で、前作ラストでサマンサと肉体関係を持った男性・ライリーがゾンビ化していく様子を描いています。今回は前回ほどゾンビ化の描写がきついとは感じず、どちらかというとウイルスの元凶となったBJについて描いている部分が強いかなと感じました。
しかしラストを見るとまたここからさらに感染が広がるという未来は簡単にイメージできその後を考えると、もしも続編ができるのであればとても怖い結末になりそうです。
出典:映画.com「マギー」
人間だけでなく農作物までも腐らせてしまう「歩腐病」というウイルスが世界にはびこっている状況で、外出禁止令が出ているのを無視して田舎暮らしのマギーは都会へ行きウイルスに感染してしまいますが、マギーの親友の父親であるヴァーン医師の配慮でゾンビ化するぎりぎりまで自宅療養することに。
義母・キャロラインはとても神経質になっており異母兄弟の幼い弟と妹は親戚の家へと預けられ、親子3人での暮らしが始まりますが、病状は悪化していきキャロラインは結果がわかっている状況に耐えられず家を出てしまうのでした。
ウイルスに感染していたボーイフレンドが隔離施設に収容される様を見て思いつめるマギー、そして父親としての気持ちからどう対処すべきなのかが最善なのかと苦しむウェイド。
自分の人としての意識があるうちに、マギーはある決断をするのでした。
この作品、父親役がアーノルド・シュワルツェネッガーなのですが派手に戦うことはなく、唯一戦うのはゾンビ化したご近所さんと森でばったり出会うシーンくらい。
症状が進行しゾンビ化していくマギーの肉体的・精神的変化と、それを見守る父親の気持ちがとても重くて痛い作品です。
筆者はこの作品のラストであまりにも悲しい結末に、号泣してしまいました…。
出典:映画.com「コリン LOVE OF THE DEAD」
世界中で死者が復活し人間を襲うというカオスな状況で、ロンドンも例外なく市民がパニックに陥っており、主人公・コリンも騒動に巻き込まれてしまいゾンビになってしまいます。
人からゾンビへの変化が進んでいくにつれ人としての意識がぼんやりとしていくコリンでしたが、「どうしてもあそこに行かなければ」という強い衝動から、満足に動かない体でかすかに残る記憶を頼りに移動しますが…。
ゾンビ化映画はいろいろあるものの、この作品はゾンビウイルスに感染してしまうと人間の時の記憶が少し残る程度で、動きも遅く体を満足に動かすこともできない状況。そのため本人の気持ちの描写は少なめですが、実際にゾンビになるとどういった変化が起きるか見ることができますよ。
コメディタッチで描かれている作品で、「皆が人を襲っているのに参加してみた」とか、実の姉が助けてくれたのに姉だとわからず食べてしまったなど、ブラックジョーク的なシーンが多いです。
最終的に目的地にはたどり着けるものの、なぜその場所に行かなければと思った理由を知ったとき、とても切ない気持ちになることでしょう。
ゾンビまみれになったとある小さな町で、主人公・マイクは人間のときの記憶や意識を保ったまま肉体だけが死んでしまうという、中途半端な「半ゾンビ状態」になってしまいます。
町中で自分と同じ境遇のブレントと出会ったときに、恋人に婚約指輪を渡しそびれていたことに気付き、2人は恋人に指輪を渡しに行きますが、ゆく先々で状況に応じてゾンビや人間の「ふり」をしていたものの腕利きのゾンビハンターに目を付けられてしまい…。
「中途半端なゾンビ状態」と他作品ではあまり見られない視点で作られた作品ですが、ゾンビ、人間どちらにもなじめない状況が何とも可哀そうだなと思いつつ、それぞれの特徴を使い分けることが可能なので立ち回り次第では便利な存在かもと思う人もいることでしょう。
なんとこの映画制作費がたったの45ポンド(日本円で約5,800円)という低予算映画ながらも、細かな部分までしっかりと作り込まれています。
他のゾンビ映画作品へのオマージュもあり、主人公たちがちょっとおバカでコメディタッチのハチャメチャ展開、そして何よりハッピーエンドで終わるのでゾンビ映画が苦手という人でも楽しめる映画ですよ。
ゾンビウイルスが蔓延するも、とあるたんぱく質を利用したワクチンが開発されていました。ワクチンを打ち忘れると48時間以内にゾンビになってしまうため、一度使用を開始すると一生使用しなければならず、ワクチンを利用している感染者は「リターンド」と呼ばれ区別されていました。
主人公・ケイトはリターンド治療をおこなう病院に勤務、その恋人アレックスはリターンドという状態。仕事柄ワクチンが不足してきているのを知っていたケイトは、こっそりと関係者からワクチンを横流ししてもらいいざというときのために自宅に保管していました。そんなとき2人は親友のジェイコブ夫妻を自宅に呼び、アレックスのことを打ち明けますが…。
こちらの作品は主人公の恋人がウイルス感染者、ワクチンも開発済みという状況ではあるものの肝心のワクチンが不足するとどうなるか、というシチュエーションを描いています。
アレックスのために手を尽くすケイトですが、友人の裏切りなどにより追い詰められ、最悪の選択をせざるえなかったケイトの姿に感情移入してしまい、涙する人も多いのではないでしょうか。
出典:映画.com「トウキョウ・リビング・デッド・アイドル」
ゾンビが発生した東京で、アイドルユニットに所属している主人公・神谷ミクはゾンビにかまれてしまいます。ゾンビにかまれると72時間でゾンビ化するうえに、強制収容され抹殺されるという絶望的な運命が決まっているのでした。
逃亡したことからミクは全国指名手配犯になるも、生き残るために巷でうわさになっている「ゾンビ血清」探しを探偵とはじめますが警察をはじめゾンビハンター、そしてゾンビたちが襲い掛かり…。
日本のB級映画作品で、ツッコミどころ満載なため好みは完全にわかれますが、生き残りたいというミクの心理描写も見え隠しますし、低予算映画ではあるもののアクションシーンもしっかりとしている作品です。
主人公・屑山下衆太郎(くずやま げすたろう)は、幕末の京都で作られた特別警察「新選組」のお荷物侍で芸者にうつつを抜かしていましたが、武器商人・カウフマン商会の積み荷で逃走していたゾンビ・ジョージにかまれてしまいます。
ジョージは新選組に捕縛され、カウフマン商会から差し向けられた唐人(とうじん)エックスが新選組のもとに向かいますが、すでに京都の町にゾンビウイルスは広がっていて…。
「バナナマン」の日村勇紀さんが主演の日本のゾンビ映画ですが、ホラーでありながら怖いという雰囲気は全くありません。ゾンビのジョージと坂本龍馬が親友になったり、お笑い要素が強い作品です。
ジョージにかまれた屑山下衆太郎はゾンビ化するのが早くゾンビになる前もおバカなので、あまり変化はないようにも見えるという人もいるかもしれません。しかしよく見比べてみるとゾンビ化した後は明らかに思考能力が落ちているのでおバカさが増しています。
人からゾンビになる点に焦点をあてた作品をご紹介しましたが、気になるものはあったでしょうか?
普段映画をあまり見ない人は、ゾンビ映画はシリアスで怖いものばかりと思っているかもしれませんが、今回ご紹介した作品のようにコメディ路線のものも多いですし、ストーリーもしっかりしているものが多く感情移入しやすいですよ。
オカルトオンラインではこのほかにもゾンビ映画やホラー映画特集記事を掲載しているので、視聴作品探しの参考にどうぞ!
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