おまじないや厄払いをするときに使う”ヒトガタ”や”カタシロ”をご存じでしょうか。
漢字で書くと”人形”や”人型”となりますが、前者の場合は「にんぎょう」とも読めるので、少し意味合いが違ってきます。にんぎょぅになると、おもちゃやぬいぐるみをイメージする人が多くなりますが、今回ピックアップする”ヒトガタ””カタシロ”はおまじないや儀式に使うもののことです。
“ヒトガタ”とか”カタシロ”ってなに?
“ヒトガタ”や”カタシロ”・・・聞いたことはあっても具体的にどんなものなのかは知らないという方も多いと思います。実は、”ヒトガタ”と”カタシロ”は似ているようでちょっとちがうんです。
ヒトガタは人の代わり
“ヒトガタ”と呼ばれるものは、人の形に切った紙や人形のことです。人形といってもリカちゃん人形のようなおもちゃのわいい人形ではなく、どちらかと言えば呪いに使う“わら人形”のほうをイメージしていただければわかりやすいかと思います。
夜中にわら人形に五寸釘を打ち付ける、ステレオタイプな呪いに使うわら人形もヒトガタの一種といっていいでしょう。
つまり、この場合「呪いたい人の代わりにわらでヒトガタをつくって五寸釘を打つ」というわけ。わら人形は呪いたい相手の代わりになるものなんです。そう考えるとわら人形ののろいってなかなかゾッとするものがありますよね。
カタシロは精霊やエネルギーの代わり
ヒトガタが人の代わりであるのに対して、カタシロは精霊や霊的なエネルギーの代わりに祭祀などで使用されるものを指しています。カタシロを最初に使い始めたのは陰陽師だったしも言われていて、カタシロも人の形に作られることがあります。
ちょっとヒトガタと似ていますが、カタシロを人の代わりに使うこともあります。よく知られているのが、流し雛です。流し雛とは、紙で作ったお雛様に病気や災いを移して水に流して清めるというもので、除霊や祓えの一種です。
紙製のものがおおく、身代わりにしたお雛様を海や川に流すことで払えが完了します。自宅に飾ってお祝いをするあのお雛様とはちょっと違うのが流し雛です。流し雛は、人の形をしていますがヒトガタというよりは、カタシロに近いものといっていいでしょう。
ヒトガタやカタシロは陰陽師も使っていた?
ヒトガタやカタシロは今でも払えや祭祀で使用されることがあるのですが、陰陽師が使っていたものとされています。どちらも、もちもともとは呪術や祭祀の道具でした。
陰陽師とは、中務省の陰陽寮というところに属していた今風に言えば公務員のようなものでした。占いや天文、暦などを扱う部署で、有名な安倍晴明もこの陰陽寮のメンバーだったんです。
陰陽師も払えや呪術の際にヒトガタやカタシロを使っていたと言われています。
式神ってなに?
陰陽師が使っていたもののひとつが式神です。式神とは、陰陽師が使う鬼の化身のこと・・・つまりヒトガタやカタシロとはまた別のものです。
式神は、しきふだと呼ばれることもあるのですが、能力がある陰陽師がこれを使うことで霊的な力を宿したり、鬼をよびだしたりできると言われていました。
安倍晴明を主人公にした陰陽師でも、安倍晴明が式神を使うシーンがありますが、式神は霊的なエネルギーを使役するためのもので、ヒトガタやカタシロとはちょっと違います。
参考資料:Wikipedia
人形はヒトガタなのか
呪術や払えに使うヒトガタやカタシロと人形・・・。感覚的には全く別物ですが、人の形をした人形を捨てるのが「ちょっと捨てづらい」ということってありますよね。
怪談話の題材になることもありますし、髪が伸びる日本人形があるお寺を話を聞いたことがあるという方もいらっしゃるでしょう。おもちゃの人形とヒトガタやカタシロが同じかと言われるとそれはNO。ですが、では、なぜヒトガタやカタシロを人の形にするのでしょうか。それは、人の形にすることで、人の代わりをするという一種の呪いをかけているからです。
つまり、おもちゃとして作られた人形でも、人の代わりができることもありますし、魂を宿したり、心霊現象を起こすこともあるんです。
人形を捨てるときにはちゃんと供養してから捨てた方が・・・いいかもしれませんね。
まとめ
ヒトガタやカタシロは呪術や払え、祭祀に使うもので陰陽師も使っていたと言われています。
陰陽師はヒトガタやカタシロ以外にも、鬼の化身である式神も使っていました。式神はヒトガタやカタシロとは少し違うもので、霊的なエネルギーを宿す媒体でした。
ヒトガタやカタシロは人の形をしている事が多く、人の形にすることで人の代わりができるという一種の呪いがかかったものです。
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