今回は「タイムリープ入門」の最終回として、タイムリープの鍵となる「明晰夢」を見るための現在最も効果的とされるテクニックと、実際に私(BTTP)が明晰夢を見た体験記をご紹介する。
明晰夢は夢の中で「今夢を見ていることに気づく夢」で、慣れてくれば夢の内容を自分の思うままにコントロールすることもできる。
明晰夢の科学的な研究は、1970代後半から1980年代にかけて、米スタンフォード大学の心理生理学者スティーヴン・ラバージ博士によってはじまった。
※明晰夢の歴史は、タイムリープ入門(4)~夢をコントロールする方法(明晰夢)~を参照。
2017年にオーストラリア・アデレード大学心理学部のデンホルム・アスピー博士が実施した実験では、特別な装置を必要とせず、博士の考案した「明晰夢テクニック」で、参加者の46%以上が1週間以内に明晰夢を見ることに成功した。
今回はアスピー博士のテクニックがどのようなものかを簡単にご紹介する。
まずその前に、明晰夢をトレーニングする上で遭遇する可能性の高い、「ヒプナゴジア」と「睡眠麻痺」という普段の睡眠ではめったに経験しない現象から説明したい。
ヒプナゴジア
「ヒプナゴジア(入眠時幻覚)」は眠る直前や金縛りのときに見る奇妙な幻覚で、体外離脱(幽体離脱)もヒプナゴジアの一種と言われている。
眠りに落ちる直前や、夜中にトイレなどで目覚めて2度寝するときに起こることが多い。
ヒプナゴジアに入ると、知らない女の人が身体の上に乗っていたり、
カラフルなパターンが見えたり、声が聞こえたり、異常な感覚を感じたりする。
でもご安心を。
ヒプナゴジアはまったく無害な現象で、逆にヒプナゴジアを見た後、明晰夢に入るケースがたびたび報告されている。
つまりヒプナゴジアは明晰夢のチャンスなのだ。
ヒプナゴジアになったら、恐れずリラックスして、ただ受動的にその珍しい現象を観察してほしい。
まもなくあなたは眠りに落ち、明晰夢を見られるだろう。
睡眠麻痺
「睡眠麻痺」はいわゆる「金縛り」として知られている。
睡眠時、われわれの意識下で動かせる随意筋のほとんどは動かせなくなるが、通常それに気づくことはない。
ただしまれに、まだ私たちが目覚めている間に麻痺が起こることがある。
この状態では動いたり話したりできないが、見たり聞いたりすることはできる。
このときヒプナゴジア(幻覚)や、息苦しさをともなうこともある。
睡眠麻痺は身体が動かせない分、ヒプナゴジアよりも恐怖を感じやすい。
だがやはり無害な現象で、ほとんどの人が1分~2分すると落ち着く。
ちなみに仰向けの姿勢で眠ったときに起こりやすく、横に向いて眠ると起きにくい。
覚えておいてほしいのは、「ヒプナゴジア」や「睡眠麻痺」に遭遇しても、とにかく落ち着いてリラックスすることだ。
この2つの現象を理解した上で、明晰夢テクニックの説明をはじめよう。
※統合失調症のような心因性障害やナルコレプシーのような睡眠障害を患っている方は、睡眠に悪影響を与える可能性があるのでご遠慮ください。
明晰夢を見やすい時間帯
まず前提として、明晰夢はREM睡眠のときに見る可能性が高い。
「REM睡眠(Rapid Eye Movement sleep)」は、眼球がすばやく運動しているときの睡眠状態で、眠りはじめてから1時間30分ごとに起こりやすく、とくに5時間ほど経過した後のREM睡眠は長時間になる。
途中で目が覚めて2度寝するときは、より早くREM睡眠に入ることができる。
なおテクニックによって睡眠時間が短くなるので、いつもより15分~30分早めに寝るか、翌朝いつもより余裕のある時間を作っておいた方がいい。
明晰夢テクニックの進め方
(1)まず夢の中でやってみたいことを考える。
※空を飛んだり、好きな人に会いにいくなど。
(2)眠ったあと5時間後に目覚めるようにアラームをセットする。
※朝方の2度寝のチャンスを狙うため。
このときアラームをベッドから出なければオフにできない位置におく。
※アラームを切って再びすぐに眠ってしまうのを避けるため。
夜中に目覚めたとき、電気をつけてトイレに行ってもOK。
(3)アラームで目覚めたら、目覚める直前に見ていた夢を思い出す。
※1~2分とにかく集中して思い出す。
どうしても思い出せないときは最近見た夢の内容でもいい。
そして「次に夢を見ているとき、夢を見ていることを思い出す」と呪文のように何度も自分に言い聞かせる。
ばかばかしいと思うかもしれないが、これが一番効果的で重要なことだ。
途中で仕事の予定とか学校のことを考えてしまったときは、心をいったんリセットして、もう一度「夢の中で自分が夢を見ていることを思い出す」と自己催眠のように言い聞かせる。なるべく身体は動かさない。
(4)リアリティテストを実行する。
やり方は、片方の手のひらに、もう一方の手の人差し指を押し込む。
もちろん目が覚めていれば人差し指が手のひらを突き抜けることはない。
だが夢の中では突き抜けてしまう。
夢の中で人差し指が手のひらを突き抜けるイメージを想像してみる。
(5) 「夢の中で夢を見ていることを思い出す」と繰り返しながら、眠ってしまえばチャンス。
途中で再び目が覚めてしまったときも、この言葉を自分自身に繰り返す。
(6) ヒプナゴジアや睡眠麻痺が起こってもあわてずリラックスして、明晰夢を見るチャンスだと前向きにとらえる。
※明晰夢に対する前向きな期待感が重要。
明晰夢を維持する方法
せっかく明晰夢が見られたとしても、慣れないうちはすぐに目が覚めてしまう。
目覚めてしまわないように次の3つを実行する。
(1)まず落ちつく。
興奮するとすぐに目が覚める。
(2)リアリティ・テストを行う。
片方の手のひらに片方の人差し指を押し込んでみる。夢の中なら人差し指が手のひらを突き抜ける。
(3)夢を安定させるために両手をはげしくこすりあわせる。
このとき「これは明晰夢だ」と繰り返し自分に言い聞かせる。自分の手の感覚に集中することで意識を夢の中に閉じ込めることができる。
周囲が暗くなってきたら目覚めてしまう予兆なので、すぐに手をこすりあわせる。
完全に暗くなっても1分間は続ける。実際にはまだ夢を見ている可能性がある。
リアリティ・テストに1度成功すればかなり夢を安定させられる。
(4)「偽の目覚め」に注意。
明晰夢を見てベッドで目を覚ましても、実際にはまだ夢の中にいるときがある。
何か普段と変わったところがないか、自分の身体や周囲を観察し、リアリティ・テストをしてみる。
もし人指し指が手のひらを突き抜ければ、再び明晰夢に戻ることができる。
さて、最後に私が実際に体験した明晰夢をご紹介したい。
明晰夢体験記
私がはじめて明晰夢を見たのは、トレーニングをはじめて2週間後、なかなか見ることができずにあきらめかけていた夜だった。
4時半頃目覚めた私は、リアリティテストをして2度寝した。
最初はどこか高い山の上から湖を見下ろしていた。普段の夢と明らかに映像が違う。
鮮やかで、湖がとてもきれいだった。
そこから田舎道を下りていく。自分の意志では体がコントロールできず、何かにひっぱられているようだ。
田舎の家屋が並んでいる。人が誰もいないのが気になった。
突然地面にひっぱられてうつ伏せに。地面の砂利を見つめていた。
景色が変わって現在の寝室。目が覚めたと思ってリアリティ・テストをすると、人差し指が手のひらを突き抜けた。
まだ明晰夢が続いていると確信し、目が覚めないように両手をこすり合わせると、確かに手のひらの感触を感じた。
服を着替えて車に乗り込む。
突然夕方に。車を降りて細い路地を抜けると、きれいな桜の咲く丘に出た。
映像がすごい! 4Kのハイビジョンテレビみたいだ。
空を見上げると夜になりたての星空が広がっていた。
桜の下に人影を見つけて近づいていくが、様子が変だ。
その瞬間身体がひっぱられて目覚める。
だがまだ睡眠麻痺の状態で身体が動かせない。
もう一度明晰夢にチャレンジしようとリアリティテストを試みる。
ヒプナゴジアらしき幻覚を体験。目がギョロっとした外人女性が現れる。
幻覚とはわかっていても気味が悪かったので、目覚めることを決意。
足のつま先から動かせるようになり、起きた。
特筆したいのは明晰夢の鮮やかさ。これは言葉では説明できない。
4Kテレビの中に自分がいるようだった。
明らかに普段の夢とは違う。
夢の細かな部分もかなり覚えている。この映像を体験するだけでも明晰夢を見る価値がある。
※夢の中のイメージに近い写真を選んで加工してみたが、まだまだ明晰夢の景色とはほど遠い。
ぜひ皆さんも明晰夢を体験してください。
今夜、明晰夢のチャンスが訪れるように!
【おまけ:明晰夢に効果的なサプリ】
●ビタミンB6
寝はじめに深い眠りに入ることで「REMリバウンド効果」を発生させ、朝目覚める前のREM睡眠の時間を伸ばすことができる。