アジアで大人気の観光地として、世界各地から多くの観光客が集まるタイ。
近年では住みやすい国としてセミリタイアした人々が移住先として選んでいるという一面もあります。
しかし、そんなタイには気味の悪い観光スポットがあることをご存知でしょうか。
今回はタイのB級スポットとして名高いシリラート医学博物館のミイラについて紹介します。
公開日:2019年10月8日 更新日:2020年1月30日
奇妙な展示物まみれの博物館
バンコク中心部から西部へ向かったところにあるシリラート医学博物館。
気味の悪い博物館として知られ、館内には奇形の標本や骸骨などが展示されています。
その中でも代表的なものが、シーウィーという人物のミイラです。
ミイラと聞くと神聖なものというイメージがあるかもしれませんが、シーウィーは例外。
なぜなら、彼には恐ろしい過去があるためです。
病弱な男からタイ史上最悪の殺人鬼になるまで
シーウィーは、1932年に中国の貧しい地域で生まれました。
もともと体が弱い上に障がいを持っており、気がつけばいじめられっ子に。
そんな時、ある老人がシーウィーに対してこのようなことを告げました。
「人間の心臓と肝臓を食べれば、強くなれる」
教えてもらったシーウィーは、早速動物の心臓と肝臓を食べ始めます。
教えてもらった内容では人間の心臓と肝臓でしたが、この頃のシーウィーには人を殺すことはできませんでした。
その後、第二次世界大戦が勃発。
シーウィーは兵士としてベトナムで戦ったものの、飢えと痛みによって精神が崩壊。
ここでついに、シーウィーは戦争で亡くなった兵士から内臓を切り取って食べることになります。
ただ、彼の精神は戦争が終わると落ち着きを見せます。
第二次世界大戦が終わると、シーウィーはタイに引っ越して港湾労働者に。
最初は問題ありませんでしたが、次第に仕事の疲労や異国の文化に馴染めずに再び精神が崩壊。
そんな中で、彼は「人間の心臓と肝臓を食べれば、強くなれる」という言葉を思い出します。
彼はその言葉の通りに、タイで子供6人を殺害しました。
殺した子供の中には、実際に内臓を食べたケースも。
数多くの幼い子供の命を奪ったシーウィーは、1956年に逮捕されました。
祖国からも移住先からも見捨てられた男の行く末
タイ警察は彼を祖国である中国に返そうとしました。
しかし、中国側はあまりにも恐ろしい犯罪者だった故に拒否。
結局タイで裁かれることになり、死刑が言い渡されました。
タイでも恐ろしい人物として判断されていたため、判決書には「処刑後に供養する必要はない」という異例の内容が記載されることに。
その結果、シーウィーは処刑後にミイラとしてシリラート医学博物館に展示されてしまい、気味の悪い観光スポットとなりました。
「人食殺人鬼」として映画化
シーウィーの人生は、のちに「人食殺人鬼」というタイトルで映画化。
もちろん映画として楽しませるため脚色されている部分もありますが、ホラー映画ではなく社会派映画と評価する人もいます。
なぜなら、「人食殺人鬼」ではタイでの差別問題や貧困問題なども取り上げられている一方で、グロテスクなシーンや怖がらせるシーンが控えめだからです。
日本語版もあるため、気になる方は一度見ていてはいかがでしょうか。
ちなみにスッキリとした終わり方ではない(駄作という意味ではありませんが)ため、後味の悪い映画が苦手な方にはおすすめできません。
シーウィーが見られるのは残りわずか
タイのB級スポットとして密かな話題となっていたシーウィーのミイラですが、2019年に火葬されることが決定しました。
近年、シーウィーはタイ語が苦手だったために濡れ衣を着せられたという説が浮上。
殺人自体も1人だけで、それ以外は嘘ではないかという声さえ挙がっています。
ネット上では「数十年に渡ってミイラとして晒され続けたシーウィーを火葬して、彼の尊厳を回復させよう!」という意見が広まり、1万人もの署名が集まりました。
シリラート医学博物館を管理する病院は、その署名を受けて火葬を決意。
現在は、火葬するための手続きが行われており、博物館の顔となっていたミイラがもうそろそろで撤去される予定です。
恐ろしいミイラもいれば尊敬されるミイラもいる
ここまではシーウィーのミイラを紹介しましたが、タイにはシーウィーとは反対に尊敬されるミイラもいます。
タイ南部に浮かぶ楽園の島、サムイ島。
ここのワットクラナム寺院には、多くの人々が祈りに来るミイラがいます。
ミイラの名前はルアン・ポー・デーンであり、50歳から修行を始めた高僧。
画像引用元:サムイ島
彼は亡くなる前にミイラとして祀ってもらいたいことを弟子に告げており、その内容通りに堂々と寺院内に飾られています。
ミイラとして40年以上経っていますが保存状態は非常に良く、はっきりとミイラの様子を確認できます。
ただし、目だけグロテスクという理由からサングラスをかけており。観光客としてはユニークなミイラと思えるかもしれません。
まとめ
今回は、バンコクのB級スポットであるシーウィーのミイラについて紹介しました。
まもなく撤去される予定のため、気になる方は早めにバンコクへ行ってみましょう。
中国の薬膳に「同物同治」というのがあるそうです。これは体の悪い部分と同じ部分の物を食べることによって回復を図るもの
(肝臓が悪ければレバーを食べるなど)
なのですが、それをまさか同じ人間を使って
やってしまうなんて…今でも胎盤食という形でカニバリズムがありますが、シーウィーはとんでもないヤツですね。