激しく低い音、速いテンポ、金切り声のような咆哮…
へヴィメタルといわれる音楽は現代ではさらに細分化され、デスメタルやブラックメタルなど、様々なジャンルに派生しています。
そんなへヴィメタル、特にブラックメタルには、悪魔崇拝者(サタニスト)が多いのは知っていますか?
今回は、へヴィメタルと悪魔崇拝(サタニズム)の関係や、悪魔崇拝者のメタルバンドを紹介していきます。
へヴィメタルの誕生
へヴィメタルが誕生したのは1960年代。
諸説ありますが、レッド・ツェッペリンやブラック・サバスなどが起源で、ハードロックから派生したものだとされています。
ギターを強く歪ませた激しい音楽で、歌詞もより過激なものが多用されました。
サブジャンル:ブラックメタル
1980年代になると、へヴィメタルはさらに細分化し『ブラックメタル』というジャンルが生まれました。
それまでは『スラッシュメタル』といわれていたバンド・Venomのアルバム『BLACK METAL』が起源とされています。
ブラックメタルは反キリストや悪魔崇拝を謳っており、歌詞やパフォーマンスはさらに過激になっていきました。
悪魔崇拝(サタニズム)を謳ったメタルバンド
現代ではあまり意識する人はいませんが、前述したようにブラックメタルとは悪魔崇拝や反キリストをテーマにした音楽。
ブラックメタルが生まれた当初は、本当に悪魔を崇拝しているバンドも多かったのです。
ブラックメタルを中心としたへヴィメタルバンドで、悪魔を崇拝している有名なバンドをいくつか紹介します。
Mayhem(メイヘム)
ノルウェーのブラックメタルバンドで、かの有名な過激派ブラックメタル組織『ブラックメタル・インナーサークル』の始祖であり代表的存在。
ひたすら速いビートと陰鬱でドゥーミーなパートを使い分け、初期のブラックメタルの社会的地位確立に貢献しました。
ボーカリストのデッドが自殺し、その死体写真をアルバムのジャケットに使用したりと過激な事件の絶えないバンドでした。
中でもリーダーのユーロニモスは過激すぎる人物で、後にトラブルにより殺害されています。
ユーロニモスは「俺にとってサタンは身近な存在だ。俺の意見以外のサタニズムは全てまがいものだ」との言葉を残しています。
Behemoth(ベヒーモス)
ポーランドのブラッケンド・デスメタルバンド。
派手なメイクを施し、ブラストビートを多用した激しいサウンドが特徴で、後のエクストリームメタルシーンに多大な影響を与えています。
ギターボーカルのネルガルは「俺の中にはサタン(悪魔)がいる。体に流れる血を行き来し、我々の作る音楽に宿っているのだ」と発言しています。
Watain(ヴァーテイン)
スウェーデンのブラックメタルバンド。
初期のメイヘムやマーシフル・フェイトなどに影響されたサウンドで、スラッシュメタルなどに見られる速いテンポのビートと、派手なギターソロが特徴です。
ベース・ボーカルのエリック・ダニエルソンは、ブラックメタルのバンドについて独自の持論を展開しています。
いわく、「彼らは悪魔崇拝(サタニズム)を信仰しており、バンドを通して個人的な信仰活動をしている」のだとか。
本人も熱心な悪魔崇拝者で、歌詞やライブパフォーマンス、メイクなどにはその影響が色濃く出ています。
DARK FUNERAL(ダーク・フューネラル)
スウェーデン出身のブラックメタルバンド。
ギタリスト、ミカエル・スバンベリがブラックメタルを求めて本場のストックホルムで集めたメンバーが中心となり結成しました。
悪魔崇拝はもちろん、魔術や呪術をテーマとした曲も多く、音楽性は近年のデスメタルらしくかなりエクストリームなもの。
バンドのリーダーでもあるロード・アーリマンは、「サタニズムというのはアンチ宗教ということだ。サタニズムは個人の特性や信条が色濃く反映され、俺にとっては人生そのものともいえる。悪魔や魔術は、様々な目的達成のための見えざる力といったところかな」と語っています。
メタルと悪魔崇拝
へヴィメタル、特にブラックメタルでは悪魔崇拝や反キリストがテーマにされてきました。
近年では以前ほど重視されてはいませんが、メタルは往々にして反社会的・退廃的な歌詞や陰鬱な歌詞を謳うことが多いです。
メタルはデスボイス・シャウトなどのせいか歌詞が聴き取りづらいと感じる人も多いかもしれません。
しかしメタルは、数ある音楽の中でも特に作詞者の宗教観や死生観、その他思想が色濃く表れている音楽なのです。
音楽性や歌唱法が苦手でも、オカルト好きなら興味深い歌詞がたくさんあるのではないでしょうか。