「宇宙のことを考えていると怖くなって眠れなくなった」とか「宇宙の外側ってどうなっているのか」とか「もしかするとすごく大きな世界と小さな世界は同じなんじゃないか・・・」なんて考えたり。
宇宙というスケールでものを考えていると、何が何だか解らなくなってきた!という経験をしたことがあるという方もいらっしゃるかもしれません。
今回、スポットを当てるのは”マルチバース”というひとつの考え方についてです。宇宙は複数存在し、だから奇跡や超能力も存在するというオカルトチックなだけど、物理的にも決して矛盾はしていないという考え方です。
マルチバース・・・多元宇宙論とは
複数の宇宙の存在を仮定した理論物理学による論説である。物理的に観測不可能な様々な事象を数学や物理学を元に理論構築し、既知の観測や観察とともに予想された物理理論の一つ
というもの。
つまり、今、私達がいる宇宙以外にも複数の宇宙が存在しているという考え方です。その宇宙の集合体のことを多元宇宙と呼んでいるのです。
つまり、宇宙の果ての外には別の宇宙があるということ。たくさんの宇宙が存在している別の空間があるという考え方でもあります。
マルチバースは、スケールの大きさ、そして、今の私達の技術力では到底確かめようがないことを推察しているもの。ですから、証拠もなければ確証もない。オカルトやスピリチュアルに近い、理論的ではない空想の世界の話のように捉えられることが多い考え方でもあります。
ですが、このマルチバースは決して理論的に破綻しているというわけではないそうなんです。
SF的な空想の世界話のように思えるマルチバースですが、実は物理学者の中にはマルチバースを提唱している人がいるんです。
米カリフォルニア大学バークレー校教授の野村泰紀さんです。野村さんはマルチバースについて次のように語っています。
私たちが今生きているこの宇宙は、あまたある宇宙の1つにすぎません。最新の物理学で考えていくと、自然な帰結として導き出されるようになっています。
今から10年以上前に国際学会でマルチバース理論について発表したところ、議長から「哲学的な発表をありがとう」と言われたこともあります。彼には科学的な理論に見えなかったのかもしれません。
最新の物理学という側面から考えてもマルチバースは自然だというのです。どうして、物理的に考えてマルチバースが自然なのか。それは、宇宙が膨張しているということが解っているからだそうです。
皆さんもご存じの通り、宇宙は膨張していることが今から20年以上前に解っています。この発見をした学者はノーベル賞を受賞しました。そのくらいのすごい発見だったのです。
宇宙は重力があるはずですから、物質はお互いに引っ張り合っています。そのことから考えると宇宙は膨張せず、むすろその引き合う力で収縮するはすです。そして、宇宙の7割は真空と言われているのですが、膨張しているはずなのに物質のエネルギー密度がほとんど変化していないというのです。
膨らんでいるなら、密度が変化するはず・・・ですよね。
このような現象をすべて説明できるのが、マルチバース。つまり、宇宙が複数存在しており、その複数の宇宙の集まり”多元宇宙”があるという考え方です。
想像もできないほど、大きな宇宙の中でそのスケールを考えることもほとんどせずに暮らしている私達からすれば途方もないスケールの話ですが、マルチバースは少なくとも絶対にないとは言い切れないのです。