【アメリカの都市伝説】「表情のない女・無表情の化け物」は実話?

人間にはみな、表情があります。

30種類以上の顔の筋肉を動かし、喜怒哀楽の表情を作りだします。

しかし1972年、アメリカのある病院で、まるでマネキン人形のように表情がまったくない女が発見されたのです。

実際に1枚の写真も残され、海外では「The Expressionless(表情のない女・無表情の化け物)と呼ばれ、恐れられました。

今回は、そんな海外の都市伝説について紹介。実話とも作り話ともいわれる、噂の真相に迫ります。

〈表情のない女・無表情の化け物〉事件

事件は19726月、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスにある「シダーズ・シナイ・メディカルセンター」で起こりました。

病院にやって来た1人の女。女の服は血まみれで、手にはなにも持っていませんでした。

女は口を堅く閉ざし、一言も話そうとしません。

看護師ははじめ、何らかの事件に巻き込まれたのかと思い、驚きはしたものの、そこまで恐れはしませんでした。

しかし周囲の患者が慌てふためいたのを見て、状況は一変。看護師も、思わず声をあげました。

まるでマネキンのように、女にまったく表情がなかったからです。

無表情の女と病院の対応

しかも無表情の女は、口から血にまみれた「何か」を取り出し、壁に叩きつけました。

思わず目を向ける看護師。赤黒い、グロテスクなかたまり……それはなんと、猫の死骸の肉片でした。

異常性を感じた病院側は、こっそり警察に通報。警察が到着するまで女を拘束するべきだと考えます。

まずは女を病室のベッドへ連れていくことにしました。

診察を行うと言って、誘いだすスタッフたち。拘束の準備を行っている最中、女はおとなしくしていたといいます。

しかしスタッフが質問を投げかけても、相変わらず無表情で、女からの返答は一切なし。まるで人形のようで、話が聞こえているのかすらわかりませんでした。

突然の抵抗

準備が整い、スタッフたちがついに拘束をはじめようとした、その瞬間!

今までのおとなしさがウソのように、女は信じられないほどの力で抵抗してきました。

もちろん抵抗しているときも、無表情のままです。

ベッドを離れようとする女。やむをえず、男女2人の医師が力づくで抑えつけようとします。

男性医師が取り押さえた女の顔をのぞき込むと、なんと女の顔にはじめて表情が浮かびあがったのです

女は、笑っていました。

歯を見せて、笑っていました。しかもその歯は普通の人間のそれではなく、細長い針のようなものが並んでいます。

それを見た女性医師は、恐怖のあまり失神してしまいました。

「私は神だ」 そして失踪

男性医師は女にたずねました。

「お前は何者だ?」

その瞬間、警報音が響きわたりました。近づいてくる足音。きっと、警察が到着したのでしょう。

しかしその警報を聞いた女は、突如顔を上げ、男性医師に飛びかかりました。

うめき声をあげる医師の首元に、深々と突き刺さる鋭い女の歯

かまれた箇所はちょうど頸動脈(けいどうみゃく)にあたり、女が歯を抜くと鮮血が吹きあがりました。

そして女は倒れた男性医師に近づき、耳元で「私は神だ」とささやいたのです。

警察や他のスタッフが到着するも、女はすでに姿を消していました。

気絶していた女性医師は、幸いにも女に襲われることはありませんでした。この女性が女を「The Expressionless(表情がない女・無表情の化け物)」と名付けます。

この事件以降、表情のない女が姿を現すことは二度とありませんでした。

「表情のない女・無表情の化け物」は実話? 真相は?

いったいこの女は何者なのか、なんの目的で病院にやってきたのか、その後どこへ消えたのか……すべては闇の中です。

ただ1枚の写真のみが残され、人々の間で語られ、「表情のない女」はアメリカの都市伝説として有名になりました。

「表情のない女・無表情の化け物」とされる写真

引用元:Creepypasta Wiki – Fandom

ですが実はこの写真、事件とはまったく関係のない画像なんです。

『ASSIGNMENTS』(1972年初版)というアメリカの医学雑誌に掲載された写真で、写真家のスノードン卿によって1968年に撮影されました。

マネキン人形を相手に看護訓練をする研修生たちを撮影したもので……つまり、この女は本当に人形

そのため、この不気味にも見える写真から「表情のない女」の話が作られたのではないか……という説があります。

しかしその一方で、「実話だ」という説もあります。

幼いころに強いストレスを受けることで、表情がうまく作れなくなったり、言葉が話せなくなってしまうことがあります。

表情のない女も、そういった障害をもっていたのかもしれません。

薬物などの違法ドラッグ説も考えられます。

薬物依存症患者のなかには、顔面の筋肉が麻痺して表情が作れなくなってしまう例や、いびつに変形してしまうことがあります。また精神的な錯乱から異常な行動をとったり、突然暴れだすことも。

薬物依存症だったのなら、猫をかみちぎったり、「私は神だ」などと話した異常性にも、うなずけるものがあります。

ちなみにYouTubeでは、この一連の事件を再現した動画があります。

クオリティは高いのですが、ショッキングな映像も含まれますので、視聴は自己責任でお願いします。

今回は海外の都市伝説、アメリカの「表情のない女・無表情の化け物」について紹介。その真相に迫りました。

アメリカには他にも様々な都市伝説があり、オカルトオンラインでもいくつか紹介しています。

たとえば、「顔なしチャーリー」呼ばれた男性です。この都市伝説の裏に、は辛すぎる実話が隠されていました。コチラで詳しく紹介しています。

ただの都市伝説・作り話と思うかもしれませんが、表情のない人間は実際に存在します。

あなたが気づいていないだけで、表情のない女・無表情の化け物は、あなたの日常に潜んでいるのかもしれません。

夏藤涼太

神話に魔法、UMAにUFO、超能力に超古代史、最新科学に都市伝説まで、オカルトならなんでもござれのWebライター。「日々にロマンを。毎日を豊かに。日常を非日常に」をテーマに書いています。学生時代の専攻は民俗学。