東日本大震災の津波を被害を受けた福島第一原子力発電所の事故以来、日本では「脱原発」や「再生可能エネルギー」という言葉をよく聞くようになりました。太陽光発電や風力発電などのエコな気がしてしまう発電方法が見直されはじめ、至る所に太陽光発電のパネルが置かれるようになりました。そして、脱炭素社会というエコでクリーンなエネルギー源への注目も相まって、太陽光発電や風力発電はますます存在感を増しています。
太陽光発電で発電された電気を電力会社が買い取る仕組みもできていますが、そのあおりを受けて電気代が値上げされるという事態にもなっています。
再生可能エネルギー・・・太陽光発電や風力発電のことですが、このような方法での発電にはコストがかかります。そして、そのコストは当然ですが電気代に上乗せされるということになるのです。
2021年4月から再生可能エネルギーのコストなどが理由で家庭の電気代も値上げされました。
太陽光や風力など、再生可能エネルギーの普及のため、家庭の電気料金に上乗せされる負担額が、2021年度は1,000円以上値上がりして、初めて年間1万円を超える。
中略
経済産業省によると、2021年度の買い取り費用は、全体でおよそ3兆8,000億円で、標準的な家庭の場合、年間の負担額は1,188円値上がりし、1万476円となり、初めて1万円を超える。
問答無用での値上げ、しかも年間で1万円を大きく超える額が値上げされることになりました。なかなかの負担になる金額ですが、再生可能エネルギーの普及で今後、ますます家庭の負担が増える可能性もあるというのです。
再生可能エネルギーといえば、太陽光発電。
郊外に行くと空き地などに太陽光発電のパネルが設置してある風景をよく見るようになりました。太陽光だからエコ・・・確かにぱっと聞くとそう思えるかもしれません。ですが、よくよく考えてみると太陽光発電だからエコというのもちょっと安易なのかもしれません。
都市部から離れた場所でよく見られる太陽光発電ですが、このパネルを設置するために山肌を大きく造成している風景をよく目にします。
ほんの少し前までは「木を植えよう」とか「緑を増やそう」と言っていたのに、再生可能エネルギーのためなら山の緑を削って太陽光パネルを置いてもそれは「エコ」なのですから、大きな矛盾がありますね。
山肌が削りとられてしまったあの風景を痛々しいと感じる人も少なくないはず。緑を守ろうと声を上げていたはずなのに、今となっては太陽光発電のために緑をどんどん削って自然を壊しているとうわけです。
脱炭素社会はそもそも温暖化を防止するためのものだったはず・・・二酸化炭素を酸素に帰る緑を削るというのは本末転倒な気もしてしまいます。
山の緑を削って太陽光発電パネルを置くことにも問題があるように思えますが、あの太陽光発電パネルを製造する時にも環境負荷がかかることを忘れてはいけません。
パネルの製造には水酸化ナトリウムやフッ化水素酸といった腐食剤の使用が欠かせない。また製造過程で水や電力が消費されるため、温室効果ガスの排出は避けられず、廃棄物も出るのが実状だ。
エコでクリーンなはずの太陽光発電パネルですが、作るときにやっぱり環境負荷がかかるんです。そして、設置場所を作るためにさらに環境破壊をしているというのが今の現状です。
そして、そのエコでクリーンに見える方法での発電のコストを家庭の電気代で賄う・・・。これを再生可能エネルギーだと言ってしまうことそのものが矛盾しているのかもしれません。