彗星といえば・・・やっぱりハレー彗星という名前が浮かぶという方が多いかもしれません。ハレー彗星は、75.32年という周期で地球に接近している彗星で長い尾を引いて夜空を彩る美しい彗星です。
彗星の中では短期で地球に接近するため、タイミングによっては人生で2度見ることができるケースもあるのがハレー彗星・・・。ちなみに、次回は2061年に接近するといわれています。
最近では、2019年1月にネオワイズ彗星という彗星が接近してきたこともありました。ぼんやりと肉眼でも観測できる彗星でしたが、この彗星の公転周期は6,683年とかなり長いことが解ります。
そして、今回ご紹介するのは最近発見された彗星です。
2021年6月に報告された彗星は、推定直径が100~200kmと考えられる巨大彗星です。
太陽から43億km以上、太陽から地球までの距離の約29倍も離れた宇宙空間で、1つの物体が太陽に向かって猛スピードで突進しながら、わずかに届く太陽光をきらりと反射した。その物体は氷に似ていて、想像を絶するほど古く、巨大だった。
約4時間後の2014年10月20日未明、チリのアタカマ砂漠の望遠鏡が夜空に目を向け、南天の広い範囲の写真を撮影し、このかすかな反射光をとらえた。
彗星は氷と塵で構成される天体で、惑星などに比べてサイズが小さいため発見が難しいんです。巨大彗星ではあるものの今まで見つかっていなかったこの彗星は「バーナーディネリ・バーンスタイン彗星」と名付けられました。
100km~200kmがどのくらい大きいのか・・・ちょっと解らないという方もいらっしゃると思います。ちなみに、冒頭でご紹介したハレー彗星は最大約15km。ヘール・ボップ彗星は50~60km程度です。
仮に100Kmだったとしてもかなりのサイズ・・・ちなみにこの発見を報告したときには「電話が鳴り止まなかった」と米ワシントン大学の博士研究員ペドロ・バーナーディネリ氏は語っています。
直径が100km~200kmはあるといわれているバーナーディネリ・バーンスタイン彗星ですが、オールトの雲という太陽系の外側にある球殻状の天体の集合体からやってきたと考えられています。
ちなみに、100kmと200kmだとかなり差がありますが、最近の研究では150km程度ではないかとされています。もちろん、サイズはもっと接近してくれば解るわけで、過去最大級のサイズです。
太陽系外からやってきた、バーナーディネリ・バーンスタイン彗星は、これから10年をかけて内部太陽系に接近・・・そして、最接近は2031年とされています。
「えーー、あと10年もあるじゃん」と思ってしまいますが、宇宙レベルの話での10年は「もうすぐそこ」というレベルです。
彗星といえば、美しい尾を引いて夜空に線を引くあの姿を連想しますよね。
最大規模のサイズのバーナーディネリ・バーンスタイン彗星は果たして肉眼で観測できるのか・・・ですが、これはガスの量次第ですのでまだ解りません。
ですが、もし量が多い場合は土星の衛星タイタン程度の明るさになると考えられています。ですので、もし、運が良ければ天体望遠鏡なとがあれば観測ができるかもしれません。
過去最大級とはいう、広大な宇宙のサイズで見ればかなり小さい天体であることは間違いありません。
この彗星を見つけるために使用されたのは、ダークエネルギーカメラです。
このダークエネルギーカメラとラス・クンブレス天文台グローバル望遠鏡ネットワークを利用して世紀の大発見となったわけです。
今からちょうど10年後の2031年。太陽への最接近が楽しみな天体です。
参考資料:解説 過去最大級の彗星がやって来る、最接近は2031年
推定直径100~200kmの巨大な彗星が見つかる、2031年に太陽へ最接近