種多様な妖怪が描かれており、様々な漫画やアニメのモチーフにもされてきた百鬼夜行。
(ひゃっきやこう・ひゃっきやぎょう)
具体的な意味は知らずとも、百鬼夜行という名前はご存知の方が多く歴史は長いですが言葉だけでみると意外と身近な存在となっています。
しかし百鬼夜行が「死を招く妖怪」たちとして恐れられていたことや、「多くの絵巻物」があることを知っている方は少ないのではと思い今回執筆に至りました。
知れば知るほど面白い妖怪たち。本記事では百鬼夜行について紹介していきます。
百鬼夜行は実に多くの文献や絵巻物で名前が出てきており、平安時代に書かれた「今昔物語集:こんじゃくものがたり」や室町時代に描かれた作者不明である「百鬼夜行絵巻」など幅広い年代に説話などで名を響かせていました。
とくに平安時代では「百鬼夜行に出会うと死に追いやられる」という噂が広がり、間違って遭遇してしまわないように出現するとされた丑三つ時には外出をしないように心がけていたようです。
ちなみに平安時代中期の「口遊」や中性の「拾芥抄」には百鬼夜行が出現する日程が書かれており
1月・2月:子(ね)日
3月・4月:午(うま)日
5月・6月:巳(み)
7月・8月:戌(いぬ)
9月・10月:未(ひつじ)
11月・12月:辰(たつ)
であるとされています。
しかし満月の日や嵐の前など環境的に特別な事象がないのにも関わらず、正確な日を指定しているのはその日に起きる出来事をできるだけ大衆に知られたくなかったのではないかと感じますね。(個人の見解です)
百鬼夜行に運悪く出くわしてしまう説話がいくつかあるのですが、助かった人達は必ず呪文やお経を唱えるなど何らかの行動をとっており難を逃れていたそうです。
とくに有名な呪文に「拾芥抄」で書かれていた「カタシハヤ、エカセニクリニ、タメルサケ、テエヒ、アシエヒ、ワレシコニケリ」があり、唱えることによって被害が及ばないと考えられていたとのこと。
上記の呪文には酒に酔ったなどの意味が含まれているそうですが、素面でないことを装ってごまかそうとしたのかどうかはハッキリしておりません。
現代の百鬼夜行というと漫画作品である「ぬらりひょんの孫」などが有名になったため、百鬼夜行=様々な妖怪の群れという見解が一般的になりましたが、「宇治拾遺物語」では100の鬼たちに遭遇したことを「百鬼夜行にあふ事」として書かれておりますので必ずしも様々な妖怪というわけではないようです。
また大鏡には平安時代時代に活躍した公卿・歌人である藤原師輔が
・蘇我入鹿
・蘇我馬子
・蘇我倉山田石川麻呂
・山背大兄王
・大津皇子
・山辺皇女
などの藤原氏を恨んで死んでいった者たちの行列に遭遇し、尊勝仏頂陀羅尼を唱えたことにより事なきを得たという説話が残っています。
百鬼夜行には幽霊も載っているケースがありますので、説話としてマンネリ化しないように味変をしているのかなと感じますね。
百鬼夜行に関する絵巻物や文献には多くの種類があるため、決まった妖怪がいるわけではありませんが多く共通する妖怪たちがいますので一部紹介します。
・小豆洗い
・あかなめ
・河童
・天狗
・猫又
・かまいたち
・ぬらりひょん
・牛鬼
上記以外にも全く聞いたことのない妖怪たちが多く存在しており、個人で所蔵している絵巻物などを含めますと覚えきれないほどの種類が存在していることでしょう。
また先ほども紹介したように鬼の群れや恨みを持った者たちなどの百鬼夜行もありますので、様々な形があるのだなと理解していただけると幸いです。
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