南極は究極の局地ともいえる場所。
南極点を中心とした南極大陸と周辺の島や南極海の総称が南極です。南極大陸は、3000万年かけて降り積もった雪が凍ってできた、分厚い氷に覆われた極寒の大陸。その厚みは1000~2000メートルの層になっています。
そして、当然ですが、その周囲の海も極寒です。
その南極の海底で新しい謎の生命体が発見されたそうなんです。
南極海は、南極大陸の周囲を取り囲んでいる海で世界で4番目に広い海です。面積は約20,327,000キロ平方メートルで、最深部はサウスサンドウィッチ海溝南部のファクトリアン海淵の水深7,434m。そして、平均深度も約4,000mという深く冷たい海です。
その南極の海ですが、当然ですがすべての調査が済んでいるということもなく、まだまだ未知の場所も多く残されています。
当然、水温も低く、塩分濃度の高いわけで、南極海は生物が生存する環境としてはかなり厳しい南極の海ですが、その南極の海で新しい生命体が発見されたというんです。
めちゃくちゃ冷たい海底に新しい生命体を発見したのはイギリスの南極研究所です。
生物にとって極めて厳しい環境での大発見は、2月15日の『Frontiers in Marine Science』にも掲載されています。
棚氷の下は日光が当たらず、水温もきわめて低いため、生物はなかなか寄りつきません。
また、調査も難しいため、ほとんど研究もされないエリアでした。
一般に、棚氷下の調査は、氷土に穴を開けて、撮影装置を降ろしていく「ボーリング調査」となります。
これまで、魚やクラゲのような移動性の生物が見つかっていますが、固着性の海綿生物は前例がありません。
しかし、今回のボーリング調査では、氷の下890メートル付近の海底にて、岩石に付着した生物が発見されたのです。
新しい生命体が発見されたのは、南極のフィルヒナー棚氷という場所。ウェッデル海の南部にある巨大な氷の塊です。
このような棚氷の下の海底はとても温度が低く、生物が生存する環境として厳しいだけでなく調査も難しいため、今までほとんど調査がされていませんでした。
今回はこの氷をボーリングしての調査が行われたのですが、分厚い氷のした890メートルの場所で岩に張り付いた生命体がいたというんです。魚やクラゲのような移動する生物ではなく、固着した生物が発見されるのはものすごく珍しいことですから、今回の発見は世紀の大発見と言っても良いでしょう。
今回、棚氷の下から発見されたのは
海綿状生物が17匹と、ホヤ、ヒドロ虫、フジツボ、刺胞動物、多毛類
この生物がどうやって棚氷の下にたどり着いたのか、そして、何を食べて生きているのかはまだ謎に包まれたままです。
この場所は、水温が低いだけでなく太陽光も届かない真っ暗な海ですから、植物の光合成が行われません。また、他の生物も少なく、栄養源が極めて少ないそうです。
生き物にとって、とんでもなく過酷な場所であることは間違いありませんが、どこからか必ず栄養を取っているはず・・・。暗く寒い海の岩に張り付いた生命体はどこからきたのでしょうか。
謎に包まれた南極の生物・・・私達が知らない生き物がたくさん住んでいるのかもしれません。
参考資料:Mystery Lifeforms Have Been Found in The Hostile Darkness Beneath Antarctica