これまでの映画監督で最高の1人を挙げるなら?
この質問に対し、必ず候補に入る映画監督「スタンリー・キューブリック」。
映画好きでも、
などなどから、
キューブリック映画を観るきっかけが無い。
とも、
観たけど意味不明。
とも言われがち。
かくいう私も、最初はそうでした(笑)。
ですが、
なんか凄い監督!
というイメージは、なんとな~くお持ちではないでしょうか?
でも、何が凄いか分からない……。
それでは、お教えしましょう。
スタンリー・キューブリック監督の、類まれなる「逸話」と「凄さ」について。。
キューブリックは、病的なほどの完璧主義者でした。
監督としての仕事だけでなく、
といった映画製作過程のすべてを自分一人でこなす、こなさないと気が済まない人物でした。
そして、それらすべてをコントロールできる知識とスキルを、キューブリック監督は持っていたようです。
完璧主義ゆえに、納得できるまで何テイクも撮影し続けるのが、キューブリック監督の撮影スタイル。
ギネスブックに載ったテイク数は、ホラー映画『シャイニング』撮影時の、132回!!
132回「アクション!」と「カット!」を繰り返すほどに、とにかく納得できるまで撮影し続ける監督でした。
ちなみに、この撮影はさほど重要なシーンでなかったうえ、結局本編に使われなかったそうです…こだわりが凄すぎる……。
キューブリック監督いわく、
「撮影時間があるのだから、時間の許す限り撮影しなければもったいないではないか。」
とのこと!
まァ、一理あります。
一理ありますが、なんでもないシーンに132テイクも撮影を繰り返すのは、映画に対する異常な愛情を感じずにはいられません…。
通常、映画製作時に俳優やシーンを撮影する日数は、90日~120日ほど。
撮影以外は、
と呼ばれる撮影前後の期間がほとんどを占めます。
さて、キューブリック監督が図らずもギネスブックに載せた撮影日数はというと……、
トム・クルーズ主演『アイズ・ワイド・シャット』の、約400日(休暇含む)。
休暇を入れたとはいえ、撮影に1年以上費やす映画は、普通あり得ません。
自主制作ならともかく、商業映画においては今後一作品も現れないであろう、あり得ないレベルの出来事です。
彼の完璧主義は、作品内に留まりません。
作品外の、たとえば、
といった部分にも、最大限の力を注いだといわれています。
1964年『博士の異常な愛情』以降の作品は、日本語訳の再英訳を校閲するという徹底した監修を行っていました。
それほどに、自身の作品を完璧な形で見てもらいたかった、ということですね。
キューブリック監督を一言で表すなら、「開拓者」。
キューブリック監督が手がけた作品は、
などなど、ジャンルがバラバラで一定していません。
しいて挙げるなら、立て続けに公開された、
これらが「SF三部作」と呼ばれることから、SF映画のイメージがある人は少なくないはず。
ただし、
だからSFが一番得意。
とも、
手がけていないジャンルは苦手。
ということも言えないのです。
キューブリックの作品には、どれも『そのジャンルのイメージをガラッと変える』ほどの革命が起こっているのです。
という宇宙規模の哲学的なテーマを取り上げておきながら、作中のセリフや説明はほぼ無し。
SF超大作映画でありながら「視覚情報から物語を感じ、体感してほしい。」という、究極の視覚表現に挑んだ野心的な作品でもあったのです。
今の映画を見慣れているほど、『2001年~』は圧倒的に不親切で理不尽で、意味不明な作品です(笑)。
原作者を未だに怒らせるほどのストーリー改変と、それに反する大ヒットを記録した映画『シャイニング』。
当時は『エクソシスト』のような超常現象系のホラー映画が主流でしたが、『シャイニング』は、
人間こそ最も恐ろしい。
ということを突き詰め、それまでのホラー映画の流れを変えてしまった作品なのです。
あまりにもエグすぎる性的・暴力的表現を映しながら、商業的・評判ともに大成功を収めた『時計じかけのオレンジ』。
公開直後(1972年)のイギリスでは、「『時計じかけのオレンジ』が原因で殺人事件が起こった」として、上映が一切禁じられました。
キューブリック監督が亡くなった1999年になりようやく再上映が実現したほど、人や社会に(悪)影響を与えた映画でした。
大人数の俳優とスタッフを集めて、製作期間をできるだけ短縮して費用を抑えて、監督以上にプロデューサーが権限を持つ今の映画界では、彼のような監督はまず現れません。
時代が生んだ類まれなる映画監督でありながら、時代を超越し続けた天才監督が、スタンリー・キューブリックなのです。
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