第二次世界大戦で旧ソ連の天才的なスパイ「リヒャルト・ゾルゲ」が日本で諜報活動の末、日本軍が北進しないという情報をソ連に送った「ゾルゲ事件」と、リヒャルト・ゾルゲの妻として埋葬されている日本女性の話をオカルトオンラインでもご紹介しました。
そして、同じ頃、シベリアで抑留された日本人がいました。帰国できない中でその男性はある女性と出会いその女性は「スパイの冤罪」をかけられた日本人と結婚して献身的に支えたのです。
[amazonjs asin=”4907727313″ locale=”JP” title=”クラウディア 奇蹟の愛”]蜂谷 彌三郎さんは滋賀県出身の陸軍の軍人でした。戦争の混乱の中で彼は裏切りにあい、身に覚えのないスパイ容疑で逮捕されてシベリア抑留を経験するという悲劇に見まわれます。マッサージや理容の技術を身につけてなんとか生き延びた蜂谷さんには、日本には奥さんと娘さんがいらっしゃったそうですが、釈放された後も帰国を許されずソ連から出国できませんでした。
帰れない…のであれば、ソ連で暮らすしか道は残されていません。蜂谷さんはソ連国籍を取得して生活を始めます。そして、同じように無実の罪で逮捕されたことがあるクラウディアという女性と知り合って結婚しました。
画像:PIXABOY
クラウディアと蜂谷さんはとても仲むつまじい夫婦だったそうで、蜂谷さんはクラウディアと生涯を共にする決意を固め、無縁墓地なんかも見に行ったそう。クラウディアは「日本人スパイの妻」と言われても全く気にすることなく蜂谷さんを支えました。
参考資料:Wikipedia
画像:PIXABOY
クラウディアとの生活を送る中でも、蜂谷さんは日本語を忘れないようにするために、日本語の歌を唄うなどして言葉を忘れないように努力していたそうです。
そして、クラウディアも蜂谷さんが帰国できるように尽力します。
戦争が終わった後も蜂谷さんは日本に残してきた自分の家族に連絡をとることができませんでした。冤罪で逮捕された経験からロシアの秘密警察を警戒していたそうです。
ですが、戦争が終わって長い時間が経った1996年に蜂谷さんは日本にいる自分の家族が無事でいることを手紙で確認します。
参考資料:Wikipedia
クラウディアと蜂谷さんが結婚したのは1962年、蜂谷さんの家族の無事が確認されたのが1996年…ですから約40年クラウディアと蜂谷さんは夫婦としての時間を過ごしました。
ですが、クラウディアは蜂谷さんが帰国できるようになったときにあらゆる手続きをして、自ら進んで最愛の夫が帰国するための準備をしたそうです。
一方の蜂谷さんは長年自分を支えてくれたクラウディアを1人にして日本に帰国するつもりはなかったそうです。日本には一時帰国をして日本にいる妻と娘に再開したらまたロシアに戻るつもりだった…わけです。
が、クラウディアがこれを拒否し蜂谷さんはクラウディアを残してひとりで日本に帰国したのです。
一方で、蜂谷さんが日本に残してきた奥さんは、大戦中から蜂谷さんの帰国を信じて女手一つで娘を育てて独身のまま待っていました。1997年に蜂谷さんと奥さんの久子さんは再開を果たします。
参考資料:新・へっぽこ時事放談
画像:PIXABOY
クラウディアは蜂谷さんが帰国するときに、手編みのセーターを渡していたそう。そして荷物の中に手紙を忍ばせていました。
その手紙には「他人の悲しみの上に私だけの幸福を築き上げることは、私にはどうしてもできません」と書かれていました。国際電話の縁は切らないで欲しい…クラウディアが望んだのはそれだけでした。
久子さんにとってもクラウディアにとっても、蜂谷さんが最愛の人だったことは言うまでもありません。クラウディアは蜂谷さんと暮らした家にその後も独りで住み続け、死の一週間前に「声が聞きたい」と望んだそうですが、その頃、蜂谷さんも体調を崩して病床にあったため声を聞くことはできなかったそうです。たくさん思い出が詰まった家に一人残されたクラウディア…蜂谷さんも帰国後ずっとクラウディアのことを気にかけていたそうです。
クラウディアは37年間の思い出が詰まったロシアの自宅で息を引き取ります。そして、蜂谷さんはロシアと日本、2人の妻の死後、この世を去りました。どんな思いでクラウディアは最愛の夫を見送ったのか、そして、帰国後の蜂谷さんや妻の久子さんの気持ちは想像することもできません。
引用:産経新聞
単なる恋愛ストーリーでは片付けることができない
蜂谷さんとクラウディア、そして久子さんの生涯はドラマや小説にもなりました。
リヒャルト・ゾルゲが自分が愛した日本人女性が、罪に問われることがないように司法取引をしたのではないかといわれていますが、それと同じ頃にロシアでスパイ容疑で逮捕された日本人を愛して支えたクラウディアと、夫の帰りを50年信じて待ちつづけた妻がいたのです。
今頃、3人はきっと天国で微笑んでいることでしょう。
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