惑星の中には、輪を持っている星があります。
最も有名な輪を持つ星といえば、土星・・・。大きな円盤を持つ姿でインパクトがありますよね。惑星が持つ輪っかの事は、”環”(わ)と呼ばれていて、実は土星以外の太陽系のガス惑星である木星、天王星、海王星はすべてこの環を持っています。
今回、ご紹介したいのは土星・・・ではなく、土星の17万倍もの環を持っているフォーマルハウトという星です。
フォーマルハウトは、みなみのうお座にある恒星・・・つまり、土星や木星のような惑星ではなく自らエネルギーを放つ星です。
フォーマルハウトまでの距離は25光年と、宇宙のレベルで見ればかなりのご近所さんといっていいでしょう。可視等級は1.7ですからフォーマルハウトは肉眼でもみえる星です。
残念ながら環は肉眼では見えませんが、フォーマルハウトは21個ある1等星のひとつで回りに明るい星が比較的少ないので、観測しやすい恒星です。6月から11月まで観測可能です。
フォーマルハウトも環をもつ星ですが、そのスケールが桁違い!フォーマルハウトは、太陽系のおしゃれ番長!マーブル模様の環がトレードマークの土星もびっくりの特大サイズの環を持っているんです。
フォーマルハウトの環の半径は環の1au(太陽から地球の距離)の約140倍・・・。この距離は太陽から冥王星の距離より3倍以上も遠いんです。つまり、ひとつの恒星の環のサイズがこれですから、とんでもない特大サイズの環です。土星の環もフォーマルハウトの環の前では超コンパクトサイズ・・・。
そして、フォーマルハウトを公転する惑星はこの環の近くを公転軌道としており、とても冷たく寒い惑星であることも解っています。
土星も木星も天王星も海王星も持っている環。その中でもフォーマルハウトが持っている環はサイズが桁違いなのですが、この 環の正体は塵などの粒子です。星の周囲の塵や粒子が円盤になったものが環で、実はとても不安定な状態にあって数臆年という歳月が流れた場合には、バラバラになってしまうのではないかと言われています。
もちろん、その姿を私たちが目にすることはありませんが、もしかしたら土星のシンボルの大きな環も数億年後にはなくなっているかもしれないのです。環がない土星・・・ちょっと寂しいてすよね。
特大サイズのフォーマルハウトの環ですが、そんな大きな環がどうやってできているのか気になります。
実は、フォーマルハウトの環は、一日に数千回というとんでもない数の彗星の衝突で作られていると考えられています。
環の中で彗星が衝突して砕けることで、環の形成に必要な塵や粒子が常に供給されているというのです。特大サイズの環は形成過程もとってもクレイジーです。
もしかしたら、フォーマルハウトの環の中にはたくさんの彗星や小惑星がお互いにぶつかり合いながら特大サイズの環を作っているのかもしれません。
土星もびっくりの特大の環を持つ恒星のフォーマルハウト・・・環の半径は太陽から冥王星の距離の3倍以上!土星の環の17万倍という特大サイズです。
環の正体は宇宙の塵や粒子で、長い年月が経つとバラバラになってしまうと考えられています。
フォーマルハウトの環は、一日に数千個もの彗星の衝突が環の中で起こって形成されていると考えられており、特大サイズの環の中で衝突が起こることで環の原料が常に供給されている状態ではないかとされています。
残念ながらフォーマルハウトの大きな環は肉眼で観測できませんが、フォーマルハウトは距離が近い一等星なので肉眼でその光を見ることができます。
参考資料:アルマ最初の科学観測で、フォーマルハウトの環の詳細が明らかに