若いうちから様々なことにチャレンジするというのは非常に良いことであるが、もしそれが「核」に関することだったらどうだろうか。
今回は、10代で危険な核の魅力に魅せられた人々にについて紹介する。
彼らは一体なぜ核に魅了され、その後どのような人生を歩んだのだろうか。
デイビット・ハーンは、10代で原子炉を作ろうとした人物の中でも有名だ。
残念ながら彼の原子炉は失敗してしまうのだが、そのことはアメリカにおいて衝撃的なニュースとなった。
アメリカのミシガン州で生まれたデイビット・ハーンは、小さな頃から科学に対して興味を持っていた。
その中で彼は、周期表の物質をできる限り多く集めることに熱中し始め、自宅で様々な実験を行なった。
もちろん、周期表にはウランやプルトニウムといった放射性物質も含まれている。
後に彼は親に提供してもらった小屋で原子炉を作ろうとしたものの、通常の環境放射線の1000倍を上回る放射線を放出する危険な装置ができてしまった。
あまりにも危険だと判断したハーンは、こっそりと解体することを決意。
しかし、解体作業中に警察から見つかってしまい、FBIや原子力規制委員会が動き出すほどの緊急事態となってしまった。
警察に見つかった後にハーンが辿る人生は、あまりにも悲しいものであるといえるだろう。
まず小屋があった家は有害物質の浄化が必要なエリアに指定され、全て適切に解体された。
ハーンの母親は事件後に自殺し、ハーン自身は恋人と別れた後に事件の騒動からうつ状態になってしまった。
小さな頃から持っていた科学への興味も薄れてしまい、後に海軍へ入隊するも、健康面での理由から除隊。
精神的にも不安定な状況が続き、2007年には窃盗容疑で逮捕された。
その時のハーンは被爆しているかのような顔をしており、幼少期に実験で放射性物質と接してきたことが原因とされている。
最終的に彼は39歳という若さで他界した。
デイビット・ハーンの人生はあまりにも悲しいものであったが、その一方で10代から積極的に核に関する実験を行なって注目を浴びている人物もいる。
その人物の名前はテイラー・ウィルソンであり、10代で核物理学者となった。
アーカンソー州で生まれたテイラー・ウィルソンは、まさに「天才児」という言葉がピッタリと当てはまる人物だ。
9歳でロケットを作り、12〜13歳の間に核融合炉の計画をスタート。
14歳の頃には、デイビット・ハーンのような大惨事を起こすこと無く、自宅のガレージで核融合炉を完成させた。
彼が核融合炉を作ったきっかけは、「星を作りたかったから」という至ってシンプルなものだ。
もちろん、自宅で星を作るために核融合炉を作るというのは、一般的には無理と思われることである。
しかし、そこは彼の持つ知識と自信、そして家族の理解があったおかげといえるだろう。
現在の彼は、核分野における期待のホープとして積極的活動を行なっている。
彼に関する本も「太陽を創った少年:僕はガレージの物理学者」というタイトルで販売されているため、気になる方は一度読んでみてはいかがだろうか。
また、以下の動画では彼が思う原子力の未来について語っている。
https://www.youtube.com/watch?v=jMQ9yy7e8WQ
日本では福島第一原発事故によって原子力=良くないものと囚われているが、もしかすると彼の実験によって原子力の捉え方が大きく変わる日が訪れるかもしれない。
自宅で核関連の実験を行なったのは、デイビット・ハーンやテイラー・ウィルソンだけではない。
2016年には、アメリカで双子の兄弟が寝室にて核融合炉を作製。
以下の映像では、その際の様子が撮影されている。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=198&v=hrXIp1XA3wM
彼ら以外にも核関連の実験を行う10代は何人もおり、今のところデイビット・ハーンのような大惨事は起きていないようだ。
今回は危険な核の魅力に魅せられた10代の天才たちについて紹介した。
核関連の実験はハーンのように大惨事に見舞われる場合もあれば、ウィルソンのように世界で活躍する天才となる場合がある。
もちろん誰でもできることではないが、そのような10代の天才たちによって新しい未来が切り開かれるかもしれない。
参考
https://www.ted.com/talks/taylor_wilson_yup_i_built_a_nuclear_fusion_reactor?language=ja#t-154954(最終アクセス日2020/1/2)
https://toyokeizai.net/articles/-/223206(最終アクセス日2020/1/2)
https://gigazine.net/news/20160719-diy-fusion-reactor-ama/(最終アクセス日2020/1/2)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%BC%E3%83%B3(最終アクセス日2020/1/2)