人間を振り回す獣の妖怪【二選】

古来より日本には人に関わり、人を騙したという逸話の残っている妖怪が存在している。

今回は、そんな数多くの妖怪の中から、有名な猫又、そして古代中国でも悪女の代名詞【妲己(だっき)】について紹介する。

老猫が化けて出た「猫又」

画像引用元:https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%8C%AB%E5%8F%88

一見すると普通の猫だが、よく見ると尻尾が二股に分かれているれっきとした妖怪。

大きさはこの絵のような普通の猫のサイズの個体、1.5mほどのとても大きい個体まで居る。

そしてこの妖怪のルーツは面白く、なんと年老いた飼い猫(20歳ほど)が化けるとこの猫又になるのだ。

猫の平均寿命は16歳なので、20歳というとかなり長寿だ。(人間で言うと96歳ほどに相当する)それほど生きると、何かしらの霊力を得るのだろうか?

基本的には怪奇現象を起こし人を惑わせる、人を攫って食ってしまうものとされており、あまりいいイメージはないようだが、中には生前飼ってもらっていた飼い主に恩を返す心優しい猫又も居るそう。

猫又という妖怪は、性格も行動も大きさもかなりの個体差があるようだ。 猫又の伝承に「猫又の火」というものがある。

とりあえずこれを読んでほしい。

以下Wikipediaより引用

  ある武家で、毎晩のように正体不明の火の玉が出没していた。大きさは手毬ほどで、床から高さ3寸(約9センチメートル)ほどの空中を漂っていた。寝ている家人の部屋に入り込むこともあった。 また火が現れるだけでなく、人がいないはずの部屋で物がひとりでに動いたり、夜に眠っていた者が、朝になると寝ている姿勢が正反対になっていた、といった奇妙な出来事も起こるようになった。 この武家の主人は、こうした怪事件に怯むような者ではなかった。しかし噂が広まり、それを迷惑に思った主人は、火の玉の正体を暴こうと考えていた。 そんなある日のこと。主人が庭に出ると、年老いた猫が頭に赤い布をかぶって立っていた。これを怪しんだ主人は、弓矢で猫を射落とした。主人が猫の死骸に近づくと、それは5尺(約1.5メートル)もの大きさで、尻尾が二股に分かれた怪猫だった。この怪猫の死後、それまで家で起きていた様々な怪異は一切、起こることはなかったという。 

出典:猫又

というものだ。 この伝承の猫又は比較的大きい個体で、怪火を起こす等の怪奇現象を起こし人を惑わせる猫又だったようだ。

他にも猫又に関する伝承は色々あるので、是非調べてみてほしい。

ちなみに「化け猫」という猫又に似た妖怪が居り、 よく猫又と同一視されており、実際その区別は曖昧である。

強いて言うなら猫又は必ず尻尾が二本で、化け猫は尻尾が必ず二本とは限らないので、尻尾を見れば少しは区別がつくかもしれない。

妲己

画像引用元:妲己

妲己は、正確に言えば妖怪ではない。

中国の王朝殷の最後の王「紂王」のお妃様である。

この「紂王」という男は素手で猛獣と戦い勝利し、部下の諌言を逆に論破してしまうというまさに「文武両道」を体現したかのようなすごい男だった。が、その強さが仇となり、紂王は増長してしまう。

気づけば、文武両道の体現したかのような強き男は神事を真面目に執り行わない、民に重い税をかけ私腹を肥やす暗君になっていた。

画像引用元:妲己

そして、この増長に拍車をかけたのが、この妲己である。

紂王は妲己を溺愛し、妲己の言うことならなんでも聞いたそうだ。紂王に増税をさせ自身のポケットマネーにする他、猛火の上に多量の油を塗った銅製の丸太を渡し、その熱された丸太の上を罪人に裸足で渡らせる「炮烙」という刑罰を見世物として楽しむために考案し、罪人が焼けた丸太に必死の形相で掴み渡ろうとするもついには耐え切れずに猛火へ落ちて焼け死んでしまう様を見て紂王と笑い転げる、男女を裸にしてお互いに追いかけさせる様を肴に肉と酒を堪能する(酒池肉林)など、贅の限りを尽くした。

しかし、もちろんこんな暗黒の時代は長く続かなかった。

紂王の暴虐が許せず、紂王を討つために兵を挙げた「武王」という男が現れたのだ。

紂王の兵は70万、対して武王の兵は5万以下だったが、紂王の兵の大半は奴隷であり戦意を持たないどころか暴虐の限りを尽くす紂王を討とうとする武王を歓迎する者までおり、結果紂王はもちろん、「紂を滅ぼす者はこの女なり」と紂王の堕落を促進した妲己も一緒に首を切られた。

….とかなり長くなってしまったが、これが史実の妲己という人物である。

画像引用元:妲己

どうだっただろうか? 紂王の妃という立場を悪用し、民を不幸に陥れた毒婦だというのが一般的な評価だろう。

古代中国の殷王朝は中華の歴史の中で初めて成立が確認されたとする最古の国でした。この殷王朝末期に起こった歴史の出来事を面白く脚色したのが、明の時代に書かれた「封神演義」という小説です。中国には三大奇書、もしくは四大奇書として挙げられる「三国志演義」や「西遊記」といった有名な物語があるため、封神演義そのものはあまり取り上げられる事が少ないです。しかし、日本でも週刊少年ジャンプに連載されていた藤崎竜の「封神演義」によって面白い話だと認知されるようになっていきました。ただし、この封神演義に関しては意...
【封神演義】殷の妲己は史実でもサイコパスだった? - オカルトオンライン|都市伝説・オカルト・怖い話・心霊スポット

しかしこの妲己、民間伝承では「本物の妲己を殺して体を乗っ取った『九尾の狐』という妖怪」と言われている。

画像引用元:九尾の狐

九尾の狐とは、その名の通り尻尾が9本生えた狐の姿をした妖怪で、『周書』や『太平広記』などでは天界から遣わされた神獣である、とされているが、反面妲己の件のような「美女に化け人を誑かす妖怪」という面を持っている。 神より遣わされ、吉兆とされていると同時に国をめちゃくちゃにする悪しきものとされているのだから、いい意味でも悪い意味でもかなり影響力の強い妖怪と言えるだろう。

なんと、この「九尾の狐」という存在の影響は中国だけでなく日本、中国、朝鮮、ベトナムにまで及んでいる。 気になった方は是非調べて見て欲しい。

まとめ

これらの他にも「動物霊」など、動物、獣はスピリチュアル的視点から見てもとても興味深いものが多くある。

今回の話は紹介する妖怪も少なく内容もアンバランスなものになってしまったように感じだが、それでも読んでくださった方には感謝している。

バサラ

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