人工気象操作兵器の実験に巻き込まれた?リンマウスの大洪水

皆さんは人工気象操作という技術を知っているでしょうか?

この技術は第二次世界大戦前後から研究が始められた気象兵器と呼ばれる軍事科学の1つだとも言われており、都市伝説的に有名なものであれば人工地震兵器HAARPなどが挙げられます。

気象兵器は、1977年に国際条約でも「環境改変兵器禁止条約」として禁止条約が結ばれており、人為的に環境を変動させることを軍縮NGOの協議会において採択された実在するものです。

日本では1982年に国会において承認、批准された歴史があります。

今回紹介する事件は、そんな気象兵器の犠牲になったと言われている、1952年のイングランド、デボン州で起こったリンマウスという小さな村を襲った大洪水です。

デボン州のエクスムーアと呼ばれる荒野は、もともと乾燥地帯として知られた土地でしたが、この事件において大洪水に見舞われました。

リンマウスの大洪水とは

1952年の12月15日、通常の約250倍と言われる24時間で200ミリ以上の雨が、当時のイングランド南西部にあるリンマウスという小さな村を襲いました。

 

通常の降雨量としてはあり得ない量の雨に襲われたエクスムーア一帯は、雨水やなぎ倒された倒木、岩などを巻き込んだまま荒野を流れ、下流の谷底に位置したリンマウスの村に濁流として押し寄せました。

一夜にして村を壊滅させた濁流の推定量は9000万トンとも言われており、多くの車や30箇所以上の橋が破壊され、灯台も崩壊したとされています。

確認された死亡被害は34人、数百人が一夜にして住む家を失ったとも言われており、上流でキャンプをしていたボーイスカウトの3名も犠牲になったそうです。

この村は、イギリス人の画家、トマス・ゲーンズが「英国が誇るこの上なく美しい風景」と評したほど、のどかな美しい村であったと言います。

事件の直後、気象専門家の見解では、この数日前に大西洋に発生した寒冷前線が大きな原因になり、独特の地形と合わさることによってパーフェエクトストームになってしまったとされていましたが、事件の当事者から不思議な証言が出始めました。

不可解な目撃情報と証言

一見すると、気象状態や地形によって不運に見舞われた災害記録にも見えるリンマウスの大洪水でしたが、この洪水の目撃情報から不可解な点がいくつか示されました。

当事者によると「辺りに硫黄の匂いがしていた」といったものや「雨の勢いが尋常ではなく、痛さを感じるほどのものであった」といった証言に加えて、洪水が起きる前に数時間にわたって村の上空を飛行機が旋回していたという話が浮上しはじめたのです。

これらのことから、このリンマウスの大洪水は科学者による天候操作の実験による予定外のものであったのでないか?という噂が流れるようになったそうです。

イギリスの気象操作研究「積雲作戦」

イギリスでは、1949年から1952年にかけて「プロジェクト・キュムラス」と呼ばれる天候操作の研究が行われていたそうです。

この研究の主な目的は、人工地震ではなく”人工降雨”であったため、通常ではあり得ないと言われたリンマウスの大洪水との繋がりが噂されています。

しかし、この積雲作戦についての詳細はイギリス国防省から発表されておらず、その因果関係については証明されていません。

公文書とBBCの取材

事件後、ノース・デボンの元下院議員であったトニー・スペラーという人物が、公文書を調査したところ、重要な一部が失くなっていることを指摘、さらにBBCは実験に関係した人々への取材を行なったそうです。

実験関係者のパイロット証言によると、ベドフォードシャー州の上空を飛行しながら、降雨量を増やすために塩を散布したという発言をしているようです。

リンマウスとの位置関係としてはかなり距離がありますが、これは実験に関わったパイロット1人の証言ですから、他の地域で同じような実験が行われていたとしてもおかしくはありません。

リンマウスは実験に巻き込まれたのか?

リンマウスの大洪水と積雲作戦の直接の因果関係を証明するものは発見されていないようですが、積雲作戦というプロジェクトはこのリンマウスの洪水後に中止されており、さらに英国気象庁も1955年以降は気象実験が行われていないことを発表しています。

現在での多くの都市伝説で、気象兵器の噂は耐えませんが、技術的にも高度であり、安全面なども確保されているのかもしれません。

しかし、逆に技術的な進歩によって自然現象なのか?人工的なものであったのか?という判断は、より難しいものになっているでしょう。

自然災害は恐ろしいものですが、本当に恐ろしいのは、人為的にこういった自然現象を歪めようと考えた発想にあると思うと、人類とは一番恐ろしい生き物だと改めて感じてしまいますね…。

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オカルトマト

■2019年秋、オカルトオンライン開設 ■2019年11月、副編集長就任 ライター、Web業務歴6年。 映画とマンガと本によってオカルト脳になった人。 分からないことを知るのが喜び。 だがしかしホラーは苦手。 古代史、人物研究、神話が好みです。