ロヒンギャを襲った悲劇…なぜ彼らは迫害されるのか

ロヒンギャと呼ばれる人たちを知っていますか?

ロヒンギャ難民の問題はネットニュースで取り上げられていますが、今だ解決していない問題です。ロヒンギャはなぜ迫害されるのでしょうか。ロヒンギャを取り巻く環境とミャンマー軍の弾圧の実態をご紹介します。

 

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ロヒンギャとは

画像:Pixabay

ロヒンギャ(Rohingya )は、もともとミャンマーの南西に位置するラカイン州に住んでる人々でした。タイではロヒンヤと呼ばれています。

ロヒンギャは、民族なのかそれとも宗教が同じ人々の団体なのか、明確ではない人たちと定義されています。ミャンマーの人の多くがロヒンギャは移民で自分たちと同じ国の国民ではないと考えているそうです。ロヒンギャという呼び名は正式な物として認定されておらず、国際赤十字ではロヒンギャという言葉は使われていません。

 

ロヒンギャはイスラム教を信仰しており、農業や商いをして生計を立てている人が多くいます。今はミャンマーからの弾圧から逃れるために難民になって難民キャンプで生活している人も多くいます。推定で80万人のロヒンギャがいるといわれていますが、正確な数は把握できていないのが現状です。

参考資料:“Who Are the Rohingya?”. About Education (2014年)

              バングラデシュ南部避難民※ 救援金の受け付けを開始、日赤の医療チームを現地派遣”. 日本赤十字社

    ビルマ西部:ロヒンギャ問題の背景と現実 – 一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター

 

ロヒンギャを取り巻く過酷な環境

 画像:Pixabay

ロヒンギャがなぜ弾圧されているのか…もちろん色々な原因や理由がそこにはあるのですが、ロヒンギャはミャンマーとバングラデシュの両方の国にまたがって生活をしていたそうで、ミャンマーでは「不法滞在者」とみなされています。一方のバングラデシュでは、ロヒンギャはあくまでも隣国からの難民ですので、ロヒンギャには母国と呼べる国がないのが実情です。

ミャンマーではロヒンギャは不法滞在者ですので移動の自由など国民に認められるいろいろな権利や自由が与えられていません。そのため日雇いなどの仕事にしかつけず経済的にもかなり厳しい状況に追い込まれていまいます。

その上、ミャンマー軍からの弾圧の標的になっており、略奪や破壊行為、虐殺まで起こっています。

参考資料:ロヒンギャの村に極秘潜入。ナショジオ賞作家が見た、厳しい現実 – 三井昌志

ミャンマー軍がロヒンギャにしたこと

画像:Pixabay

ロヒンギャが住んでいたラカイン州で2016年に警官が襲われる事件が発生します。そして、ラカイン州政府幹部はこの事件の犯人はロヒンギャであるとしてロヒンギャを攻撃の対象にしました。

女性が暴行されたり、銃で丸腰のロヒンギャを脅したり、家を燃やされて殺されたロヒンギャもいました。男性は惨殺され女性は強姦…1500旨以上の家が焼き尽くされました。

国連人権理事会ではこうしたミャンマー軍の行為を問題視し2017年のミャンマー軍の作戦はジェノサイドの疑いがあるとしてミャンマーを非難する声明を採択し、正式に「ジェノサイド」だと断定されました。それでもなお、ロヒンギャに対する弾圧やロヒンギャの問題は今も解決していません。

 

 

参考資料:ロヒンギャの悲劇…男は虐殺、女はレイプされ、村は焼き払われた

 

母国を持たないという悲劇

女性への暴行や強姦、殺人、子供やお年寄りも容赦なく攻撃の対象となり、ロヒンギャの住む家が焼き討ちにあったという報道も数多く目にします。

ミャンマーからもバングラデシュからも国民とみなされいない…母国がないことがこれだけの悲劇を生んでいるのです。ミャンマーとバングラデシュを行き来して生活してきたロヒンギャは、両国ともから「不法滞在者」や「難民」としてしか扱われておらず、母国がありません。

母国がないということは、主権国家が守ってくれないということです。守ってくれる国家がない…想像がなかなかできないかもしれませんが国の庇護があるからこそ、私たちは普通ら生活ができていますし、外国で旅行を楽しむこともできるのです。

元々今のミャンマーの前身であるビルマはロヒンギャを保護していたのですが、1982年に法律が改正されて以降、ロヒンギャから国民としての権利がはく奪されてしまいました。そして2019年の今もロヒンギャを自国民として保護する国はありません。

 

参考資料:“Exclusive: Rohingya women say Myanmar soldiers raped them amid crackdown on militants”. ロイター

GLOBE+

 

まとめ

ロヒンギャの悲劇の原因はひとつではありませんが、彼らを守る国家がどこにもないことが悲劇の原因です。

ロヒンギャに対する作戦はジェノサイドだと断定されましたが、断定されたところで問題の解決にはいまだに至っていません。

保護してくれる国家がないということは、人権などの基本的な権利を保障されず弾圧や迫害の対象となれば逃げるしかないということです。少し前に「日本死ね」なんて言葉が国会で取り上げられましたが、それでも日本が死ねばいいと思えるのでしょうか。

母国が死ねばいい…とつぶやいていも間にも、国連で「ジェノサイドだ」と断定している間にも、たくさんのロヒンギャが死に直面しているのです。

 

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Miiko

ライター歴約10年 法学系院卒 得意記事は、歴史・スピリチュアル・法律等々 福岡の隅っこでコーヒー片手に執筆中