ブラックホールはとにかく重力がすごい天体で、宇宙にある…ということはなんとなく知っているという人も多いのではないでしょうか。
ブラックホールと言われると、宇宙空間に穴が開いていて吸い込まれるようなイメージを持ってしまいがちですが、ブラックホールはおそらく穴ではありません。ブラックホールの正体はものすごく質量があって(重い)重力が半端ない天体のことです。
2019年4月10日に合成ながらも世界で初めてブラックホールの撮影に成功したニュースは世界を駆け巡りました。オレンジ色のぼんやりした光の中に真っ黒な部分があるあの画像…。撮影されたブラックホールの直径は約1000億kmと、太陽系を飲み込むほどの巨大ブラックホールです。
恐ろしい規模のブラックホールが宇宙には存在しているのですね…。
画像:Pixabay
ブラックホールは、質量が重い恒星が超新星爆発を起こした後に残る残額だと考えられています。
ブラックホールになるためには、かなりの質量が必要。質量が太陽の約30倍は必要と言われています。太陽やもうすぐ超新星爆発を起こすんじゃないかと話題のベテルギウスはブラックホールになるには質量が足りず、中性子星という天体になると予想されています。
[char no=”2″ char=”すぱもん”]ねえ、質量ってなに??[/char] [char no=”4″ char=”Miiko”]うーん、解り易く言うなら重さかな[/char] [char no=”2″ char=”すぱもん”]重さ…[/char] [char no=”4″ char=”Miiko”]例えば、質量が重いとね・・・。地球の同じサイズだけど太陽より質量が重いってこともありえるんだよ[/char] [char no=”2″ char=”すぱもん”]へーーーそれすごいね!大きさじゃなくて、重さってことかー[/char]ちなみに…ですか、我らが太陽は決して質量が小さい星というわけではありません。もちろん宇宙には太陽よりずっと質量が重い恒星がたくさんあります。ですが、今、確認されている恒星の多くは太陽より質量が小さい恒星の方が多いのです。
画像:Pixabay
その太陽よりももっと重い星だけがブラックホールになれる…つまり選ばれた恒星だけがブラックホールになれるんです。
銀河の中心には巨大なブラックホールがあると考えられていますが、りょうけん座にあるM106という銀河の中心には、太陽の3,600万倍ものブラックホールがあるのではないかと言われています。ものすごい質量…。これが事実なら圧巻としか言いようがありません。
参考資料:Wikipedia
画像:Pixabay
さて、ブラックホールの重力でゆがめられて、光さえも逃げられなくなる境界線があります。ご存知のとおり、光は宇宙で最も速いのですが、その速さに重力が勝ってしまうんです。だから、光が抜け出せない!この境界のことを“事象の地平面”といいます。事象の地平面は情報伝達の限界…つまり、観測できる限界でもあります。
この事象の地平面を超えたものは絶対にその外には出られません。あとは、中に落ち込んでいくのみです。それは光であっても同じこと…。地球に住んでいる私たちの常識をはるかに超えたエネルギーがあるんです。
2019年に撮影されたブラックホールの画像は、事象の地平面も捉えられたとても貴重のものです。
画像:Pixabay
しかし事象の地平面といわれても、なんだか、よく解らない言葉ですよね。実は、空間や時間は重力と質量で歪むと考えられています。そして、光の速度に重力が近づいていく物体を外から観察すると時間の流れがゆっくりに見える・・・。相対性理論で言われている時空の歪みもこれのことです。
宇宙には重力が強い天体はたくさんありますが、光が逃れられないほどの重力があるのは、今のところブラックホールだけです。
私たちは、時間や空間が歪むものだと思って生活をしていません。実際に、地球上ににいて、時空が歪むことなどほとんどありません。ですが、宇宙空間には、厳密には時間というは存在しません。だから、単位は時間ではなく「〇光年」という距離の単位です。つまり、宇宙空間では光が届くことで時間が支配されているともいえます。その証拠に、今、夜空を見上げて見ている光は近いものでも数分前、遠いと何万年も前の星の姿です。
ですが、強い引力で光ゆがめられると、光が届くスピードが変わります。そして、ブラックホールに光が飲み込まれて事象の地平面に落ちると光はそこから出ることができなくなります。これが、時空の歪み…。つまり、引き寄せる力が強すぎると時間も空間もぐんにゃりと曲がってしまうんです。ちょうど、細いゴムをピーンと張って、それにバスケットボールを乗せたようなイメージでしょうか。
地球の上でゆったりと過ごしているとなかなかわからないものですが、私たちを支配している”時間”という概念は宇宙のスケールではまったく通用しないものということです。
なんとなく知っている…聞いたことがあるブラックホールですが、ブラックホールが持っているパワーはものすごいものがあります。あるシュミレーションで小型のブラックホールが太陽系に突入したら…というものがあったのですが、ごく小規模のブラックホールでも太陽系の惑星の軌道をあっと言う間に変えて、太陽系をぐちゃぐちゃにしてしまいます。
光も逃れられない引力を持つブラックホールと事象の地平面…。宇宙の壮大なスケールを考えるとちょっと怖くなってきませんか?