デザイナーベビー・・・という言葉をご存じでしょうか?
デザイナーベビーとは、まだ生まれる前の受精卵の段階で遺伝子操作を施して、見た目や運動能力、知能などの特徴をコントロールすることを指しています。
「かわいい子がうまれるならいいじゃない!」
「自分の子を天才にしたい」
なんて思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、このデザイナーベビーって実はとっても危険・・・倫理的にもかなり問題があるとされてきました。今回は、デザイナーベビー・・・遺伝子操作についてのちょっとぞっとする話しです。
遺伝子操作で生まれてくる子供の特性をコントロールできる・・・なんてまるで映画やアニメの中の話のように思えますよね。実際に、遺伝子操作で子供の特性をコントロールすることは不可能ではないところまで研究が進んでいると言われています。
瞳の色や肌の色、特定の病気に対する抗体を持ち合わせた子供を作ることは可能・・・。そして、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、中国で遺伝子操作をした子供が生まれているんです。
2018年の11月に中国の南方科技大学の賀建奎副教授が「ゲノム編集で遺伝子操作をした双子が誕生した」ことを明らかにしました。
この双子には、ゲノム編集でAIDSに耐性を持たせた状態で出産されルルとナナという名前がつけられました。この双子の存在は、中国当局もすでに把握しています。そして、このときに知能を高める知能増幅も行われたのではないかと疑惑が向けられました。
この事件では世界保健機関も動きをみせたほか、日本医師会をはじめとした各国の学会が非難しました。
特定の病気に耐性を持った子供をつくったり、知能増幅した子供が生まれることをなぜ非難するの?別に良いじゃん!と思う方もいらっしゃることでしょう。
確かに、そこだけ聞けば「別に良いじゃん」「私もそんな子供が欲しい」なんて思うかもしれません。
でも、ゲノム編集という技術で「人をデザインする」ということが果たして倫理的に許されるのか・・・という問題があります。命をデザインする・・・それを許してしまったら経済力のある人だけがその技術を使った優れた子を残すことができるようになり、世界はますます格差社会になっていくことが懸念されます。
また、ゲノム編集をしたヒトとそうではないヒトの間にも格差が生じることになります。今生きているヒトのほとんどは、ゲノム編集をしていないヒトですが、今後、生まれてくる子供に対してゲノム編集をすることが当たり前になったら・・・人類は旧世代と新世代2分されるという事態に発展しかねないのです。
そして、そもそもヒトの遺伝子情報は長い時間をかけて進化して過程で今の状態になっているのです。それを技術があるからといって書き換えることで何が起こるのかを予想できる人は誰もいません。遺伝子操作が原因で、他の障害や性質が表れる可能性を否定できませんし、ウイルスや細菌、病気に対する抵抗力が遺伝子操作で変わってしまっている可能性もあります。
人権という観点から見たときに「失敗でした」では済まされないのです。
中国で誕生したゲノム編集をした双子についてですが、大々的に発表されて世界中で議論を呼んだもののその後どうなっのかは公表されていません。2018年に誕生しているわけですから、2020何になる今年で2歳になるハズですが、その姿は確認されておらず、どこで誰と過ごしているのか・・・遺伝子操作の影響が出ていないかなどもすべて解らないままです。
中国政府は、無断でゲノム編集をした子供を誕生させた事態を重く見て、この副教授の研究を停止させる措置を執りました。そして、大学も、この副教授を解任・・・。そして、とうとう2019年には遺伝子操作で子供を誕生させた研究者に懲役3年の有罪判決が出されました。
「倫理に反する」として国際的に批判された研究に対して、中国もはっきりと「NO」という立場を明確にしたのです。実は、この双子の赤ちゃんとは別に、遺伝子操作をした子供を妊娠している女性がいることも明らかにされていましたが、この女性も「中国政府の監視下にある」という噂はあるものの、その後の経緯については謎のままです。
参考資料:中国・遺伝子操作ベビーの誕生から1年、博士は行方不明、双子の健康状態も不明
遺伝子操作でデザインした子供・・・映画やアニメのようですが、現実にそういったことをできる技術があることは間違いありません。ですが、遺伝子操作に関しては、倫理的にかなりの問題があります。
中国で生まれた双子の赤ちゃんはどうなったのでしょうか・・・。
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