世界地図を見ると、中国のエリアに「新疆ウイグル自治区」という場所があるのが解ります。
今は”中華人民共和国”のなかのひとつの自治区とされているウイグルですが、実は、以前は東トルキスタンというひとつの国でした。ウイグルは、中国の人民解放軍によって侵略された土地です。最近になって、ウイグルでの弾圧が国際的に問題とされるようになりましたが、中国がウイルに侵攻して長くの間、日本を含めた国際社会はウイグルを助けることはありませんでした。
ウイグル族は、中央ユーラシアに居住する遊牧民です。中国やカザフスタンなどに居住している民族で、イスラム教を信仰している少数民族です。
言語はウイグル語、ラクダや羊の肉を使った伝統的な料理はかなり美味しいと言われています。ウイグルの起源についてはいろいろな説がありますが、ある説によると9世紀にまでさかのぼることができるそうです。
1949年10月13日、人民解放軍はウイグルに侵攻を開始します。
それまでは旧ETRが統治していたのですが、1949年の夏ごろから人民解放軍はウイグルに様々な圧力をかけていました。政治的な下準備を粛々と進めた中国は、1949年10月にウイグルに軍を進め、翌年の春までにウイグルの広大な土地をすべて制圧しました。
抵抗する動きもありましたが、人民解放軍の圧倒的な力にはかなわず、ウイグルの土地は中国の手に落ちました。
そして、人民解放軍はウイグル族を弾圧するようになります。
画像:Pixabay
人民解放軍のウイグル侵攻は、明確に国際法違反といっていいでしょう。人権侵害や迫害も報告されていますし、そもそも武力で無抵抗なウイグル族の土地を奪う事は、現在の国際法のルールにも、そして、国連のルールにも反していると考えられます。
ですが、日本のマスコミは中国がウイグルに対してどんな侵略行為をしたのか、どんな弾圧をしているのかを報道することも問題提起することもほとんどありません。現実的に、ウイグル、そしてチベットで中国がどれだけひどいことをしているかを知らない人がいるのも事実です。
国がルールを破ったときに召集されるのが、国連の安全保障理事会です。
安保理と呼ばれる会議なのですが、この安保理の決議には法的な拘束力があるとされていますが、常任理事国の(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア)はそれぞれ拒否権を持っていて、拒否権を行使した場合、安保理の決議は否決されます。
つまり、仮に他の国が「人民解放軍のウイグル侵攻はルール違反だ」と主張しても、中国が拒否権を行使すれば意味がないのです。
ウイグルも、そして、チベットにも言えることですが、この問題を議論することや取り上げることがとてもデリケートなものとして認識されているのは、この問題が反中国・反中国共産党のアイコンのようになってしまったという点もあります。
中国では、言論の自由がなくインターネットでの発言も制約されています。そんななかで、いけないことをしているウイグルやチベットの問題は反中国・反中国共産党を掲げる一部の人たちの間では政府を糾弾するための丁度良い問題という側面があるのです。
そうなれば、中国政府がその問題に関する発言や活動を制約することになり、反発を強めるウイグル族やチベットの住民に対しての弾圧はますます厳しいものになっていくのです。
現在の国際的なルールでは、侵略は禁止されています。
ですが、人民解放軍は侵攻しただけで侵略はしていない…と主張する人もいます。たくさんの人が暴力にさらされて命を危険がある中で言葉の定義などどうでもいいように思えるのですが、何が侵略で何が侵攻のなかをはっきりさせない限り、人民解放軍の蛮行を非難することができないのです。
国連決議3314では
というのです。
つまり、早い話が、侵略と侵攻について、ぼんやりとしてはっきりきまっていないんです。
「侵攻と侵略の定義が解らないから見過ごされる」そんなことがあって言い訳ではないのですが、現実に起こっているのです。
[char no=”2″ char=”すぱもん”]これってなんかひどくない?[/char] [char no=”4″ char=”Miiko”]うん、本当にひどい話[/char] [char no=”2″ char=”すぱもん”]香港の運動もこれに似てるの?[/char] [char no=”4″ char=”Miiko”]ちょっと違う部分があるけど、香港や台湾の人が中国の驚異を感じている背景にはチベットやウイグルの現実があるんじゃないかな[/char]中央ユーラシアの民族で東トルキスタンという国で静かに暮らしていたウイグル人・・・。ですが、人民解放軍によって制圧され今でもウイグル人は迫害を受けています。
ウイグル人に対する中国の弾圧の内容については、また、次回の記事でご紹介していきます。