1933年を始め2020年までに航空機による事件事故は70件以上発生しています。
今回紹介するのは民間航空史上初の破壊工作が行われた航空機事件についてです。
この事件の犯人の特定や逮捕には至っておらず、いまだに未解決のままです。
今回の記事では、そんな「ユナイテッド航空チェスタートン爆破事件」について詳しく紹介していきたいと思います。
1933年10月10日、ユナイテッド航空ボーイング247は大陸横断便として運行していました。
ニュージャージー州ニューアークを起点に最終目的地はカリフォルニア州オークランドでした。
途中経由地であるクリーブランドを離陸しシカゴへ向かっている途中、インディアナ州チェスタートン郊外で突然墜落。
飛行中の現地時刻は午後9時15分頃でした。
目撃者によると爆発音と共に高度1000フィート(約300メートル)で飛行機が突如炎上し地面に向かって急降下していき激突しました。
さらに、物凄い爆発音が聞こえたと証言しました。
墜落した機内には、合計7名が搭乗しており、搭乗内訳は以下の通りです。
・乗客4名
・乗員3名
この事故による生存者は0名であり、全員がこの墜落事故に巻き込まれて亡くなってしまいました。
犠牲者のうち1人の女性客室乗務員「アリス・スクリブナー(Alice Scribner)」は初の飛行機事故によって亡くなった女性客室乗務員となってしまったのです。
後に、この事故の調査が検死官と大学によって始まります。
現地ポーター郡の検死官事務所とノースウェスタン大学などが墜落した飛行機の機体証拠物件の分析から、この機体は破壊工作によって墜落したと断定されました。
その分析によると、ニューアークで機のコンパートメントに積まれた茶色いバックの中に、次元発火装置のついたニトログリ線と思われる爆発物が発見されます。
これによって機体の後部胴体が分断され、燃料タンクがおしづぶされて炎上し、墜落したと結論づけられました。
なお、捜査当局はこの機体は破壊工作による事故だと断定できたものの、犯人を特定し逮捕するまでには至りませんでした。
誰1人とこの事件では起訴されませんでした。
今回の事件で使用された爆薬ニトログリセリンは、衝動感度が非常に高く、少しの衝撃で爆発を起こします。
そのため、普段はアセトンや水などを混ぜて感度を下げるかゲル化して取り扱うそうです。
ニトログリセリンは驚くことに約8℃で凍結し、14度で融けるのです。
一部が凍結すると非常に感度が高くなり、液体の時よりも弱い衝撃でも爆発しやすくなるのです。
また、加熱や摩擦によって爆発するためダイナマイトの原料にもなります。
このニトログリセリンは血管拡張作用があるため狭心症の薬にもなります。
医薬品で使用する場合ニトログリセリンを添加物を加えて爆発しないように加工を施しています。
しかし、それらを加工して爆薬を作ることは科学的に可能な話なのです。
決して行わないように・・・。
・朝鮮戦争中に、冬の韓国の寒冷地で発射薬にダブルべース火薬を用い感度が上がり小銃弾が爆発を起こした。
・フィリピン航空434便爆破事件(使用された薬品がニトログリセリン)
・ユナイテッド航空チェスタートン爆破事件
当時の捜査技術と証拠や目撃情報の少なさから、この事件を解決するのは難しかったのでしょう。
今になっては犯人もこの世にはいないでしょうし、この事件は解決することはありませんね。
この事件事故によって犠牲になった方はご冥福をお祈りいたします。