手稿とは、天才画家レオナルド・ダ・ヴィンチが遺したメモのこと。
ダ・ヴィンチは、いわゆるメモ魔でした。
当時はスマートフォンなんてありませんから、パッと思いついたことをすぐつぶやいたりできないわけです。
とにかくなんでもメモに残す人でした。
メモ魔というと、
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「どうせ自己啓発系でしょ~?」
って思うかもしれませんが、かの有名な『モナ・リザ』や『最後の晩餐』といった絵画も、日々の人間観察とスケッチあってこそ生まれた傑作なんですよ。
気になったことすべてをメモに書き留めていたからこそ、世界一有名な絵画は生まれたのです。
上の本には、
メモは世界を覆すアイデアを生む。
みたいなことも書かれていますが、ダ・ヴィンチもメモ魔、もとい手稿魔だったことを考えると、メモの魔力って本当にあるんだと思います。
この「手稿」について、魅力を探っていきましょう。
メモ魔ダ・ヴィンチはおよそ40年間手稿を書き続け、その総数は約15,000ページにものぼると言われています。
現存するのは、そのうちの1/3にあたる約5,000ページ。
この5,000ページに、
この世の全学問が網羅されているんじゃないかって思うほど、ダ・ヴィンチが興味をかき立てられたあらゆるメモが残されています。
その中には、
といった時代を先取りした発明からちょっぴり異常に感じるスケッチまで、本当にたくさんのメモが残されています。
もし消失した2/3が現存していたら、今の世界はどう変わっていたのかワクワクしますよね。
かと思いきや、「コーヒーおいしかった」みたいなTwitterのつぶやきぐらい大したこと無い一言もあったりするあたり、まさに何でも書き残すメモ魔だったことが伺えます(笑)。
ダ・ヴィンチはその生涯のうち何度かメモを体系的にまとめようとしたそうですが、ページ数が膨大すぎることから、彼が生きているうちに内容ごとに分けまとめることはできませんでした。
ダ・ヴィンチの死後、すべての手稿は弟子のフランチェスコ・メルツィに相続され、その後様々な形で編纂され現在は10篇に分けられています。
そのうちの代表的な4種類の手稿について、簡単にご紹介していきます。
年代(推定) | 1478年~1518年 |
収蔵 | アンブロジアーナ図書館(ミラノ) |
内容 |
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アトランティコ手稿を書いた当時のダ・ヴィンチは、30歳前後。
これだけ多岐にわたる興味と、上の画像のように精巧に描く緻密さには恐れ入りますね。
年代(推定) | 1487年~1515年 |
収蔵 | フランス学士院(パリ) |
内容 |
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かの有名な「ヘリコプター(人間を乗せて空を飛ぶ機械)」は、この手稿に描かれています。
“ダ・ヴィンチが遺したメモ”というと実現可能に思えますが、あくまで彼なりのアイデアを書いただけで実現不可能な発明も多々あります。
年代(推定) | 1506年~1510年 |
収蔵 | 個人(ビル・ゲイツ) |
内容 |
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個人が所蔵している最も有名な手稿が、現在ビル・ゲイツが所有する「レスター手稿」。
1994年11月11日のオークションにて3080万2500ドル(2019年の物価で約5億7000万円)で落札され、世界で2番目に高値で売れた本となりました。
など後世に発表された理論や説を先取りする革新的な内容も書かれていますが、それより何よりサラリーマンの生涯年収の3倍もの売却額に目が行ってしまいます…(笑)。
年代(推定) | 1505年 |
収蔵 | トリノ王立図書館収蔵 |
内容 |
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といった、ダ・ヴィンチの類まれなる観察眼を駆使した「鳥の飛翔」に特化した手稿です。
人が空を飛ぶという太古からの夢を、ダ・ヴィンチは鳥を観察することで実現させようとしていました。
このほか、
上記6種類の手稿にも、ダ・ヴィンチを語るうえで重要な内容がたくさん書き残されています。
レオナルド・ダ・ヴィンチというと、どうしてもモナ・リザのような絵画に目が行きがち。
しかし手稿こそ、
を読み解くことができる、ダ・ヴィンチマニアにはたまらない作品でもあります。
ダ・ヴィンチからするとただのメモですが、私たち凡人からするともはや一流作品並みの価値があるものなのです。
ダ・ヴィンチに興味を持っていただけたら、まずは作品より「手稿」を知ることから始めてみてください。
歴史的天才の素顔が垣間見える、面白く貴重な体験になりますよ。
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