世界中に様々な陰謀説や都市伝説があります。
もちろん、日本にもいろいろな都市伝説があるわけですが・・・今回は、日本を支配している街があるという都市伝説にスポットを当てて見たいと思います。
場所は山口県田布施町というのどかな田舎町です。
山口県田布施町は、山口県の南東部に位置する静かな町です。
瀬戸内海に近く、面積は50.42km、人口は約14000人。岩国市や光市と隣接しています。決して有名ではないこの田布施ですが、実は”田布施システム”という都市伝説の舞台でもあります。
インターネットで「田布施」「田布施システム」と検索すると、田布施町に関するある噂がヒットします。それが、田布施町が実は日本を支配しているというもの。
のどかな田舎町には似つかわしくない内容にも思えます。
都市伝説や噂としてまことしやかにささやかれている”田布施システム”ですが、内容はこんな感じ
というものです。
もちろん、都市伝説ですから証拠もなにもありません。
ただ、なぜか「日本を動かしている」なんて言われてしまっているんです。
天皇が入れ替わった事実もないでしょうし、ユダヤとの関係についてもソースはありません。なのに、田布施システムという噂が広まったのはどうしてなのでしょうか。
天皇が入れ替わった?
陰謀説にしてはかなり乱暴にも思える内容ですが、田布施システムを検索するとほぼ確実に「天皇入れ替え説」についての記述があります。
この話は「明治維新の時に、田布施周辺が出身地だった当時の政府の要人が天皇を秘密裏に暗殺し、替え玉として田布施町のある人物を天皇にした」という内容です。そして、この話のつづきとして、2人の首相が田布施から排出されたというネタにつながっていきます。
国にとっての重要人物の入れ替え説は、歴史物の創作としてはありきたりな気もしてしまいますが、田布施システムの元になるのがこの天皇入れ替え説です。
実は、この話には元ネタがあるそう。明治維新に関する本で、天皇のすり替えが描かれたものがあったんです。
明治維新は、日本の歴史の中で激しく時代が動いたタイミングですから、確かに謎も多いのは事実です。
ですが、だからといって政府の要人が天皇を暗殺して、天皇が入れ替えた・・・というのはちょっと乱暴な気もしてしまいます。
田布施町はのどかな田舎町・・・ですが、田布施システムという似つかわしくない都市伝説が流れている理由のひとつに
という2人の総理大臣を排出した場所であることもあげられます。
そして、ご存じの方も多いと思いますが、岸信介さんは安倍晋三元総理や岸防衛大臣の祖父に当たる人物でもあります。
ただ、冷静になれば、政治の世界では世襲がよく行われることを考えれば、安倍晋三元総理や岸防衛大臣にまでこの話をつなげるのはかなり無理があると言わざるを得ません。
ですが、確かに人口が14000人の町から歴代の総理大臣の2人が排出されているというのは「多いよな」という印象ではあります。もともと、山口県は総理大臣を排出している人数が多い県でもありますし、薩摩や長州の時代から、政治に興味や関心がある人の歴史がある場所でもありますので、こういった噂が生まれやすかったのかもしれません。
実際に、政府の要人は様々な場所の出身者で構成されています。
田布施システムは、様々な要因が重なり合って作られた都市伝説なのでしょう。
参考資料:日本を支配する町? 「田布施システム」の謎を安田浩一が解き明かす