外出自粛の要請が出ているという前代未聞のゴールデンウィークとなった2020年。
高速の渋滞はなし、新幹線の乗車率も低く、航空便は減便と異例だらけでした。旅行も帰省も飲み会も自粛・・・。すべては新型コロナウイルスの感染拡大を止めるためという大義のもと、日本人は一丸となりました。
自粛の要請というだけで罰則はもちろんないのですが、それでもここは和と調和を重んじる日本人。自粛の要請だけでかなり人手が減りました。
ですが、その一方で「自粛なんてしない」という人もいましたし「仕事でどうしても移動しなくてはいけない」という人もいました。
当然、営業している飲食店もあるし、他県ナンバーの車が走っていることもあります。そこで問題になったのが・・・“自粛警察”です。
自粛警察とは、外出自粛の要請に従っていないと思われる店舗や個人を一般人が監視して、警告をしたり嫌がらせをしたりする行為のことです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の要請や休業要請が始まったことで、正義感に燃えて自粛警察になってしまう一般人が増えてきたとTwitterなどで話題になりました。
他県ナンバーの車を駐車していたら「ウイルス運ぶな」と張り紙をさたというケースや、中にはあおり運転をされという悪質なものもありました。
また、営業している飲食店などに張り紙をするケースも・・・。中には脅迫めいた内容のものもあったそうですし、張り紙ではなくシャッターにペンキを塗って落書きをしたというケースもあったそうです。
マスクの転売が禁止される前は、オークションの捨てアカウントを作って嫌がらせ入札をしていた正義マンもいました。これもある種の自粛警察でしょう。
自粛警察も行き過ぎると犯罪になる可能性があります。では、どんな罪に問われる可能性があるのでしょうか。
例えば、営業しているのにわざと「営業自粛しています」というような内容の張り紙をした場合は偽計業務妨害罪になる可能性があります。お店で暴れたら場合は威力業務妨害・・・。どちらも立派な犯罪です。
威力業務妨害は刑法233条-234条の2に規定されている犯罪で法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となかなかの重い罪です。
張り紙なSNSなどへの書き込みでお店の社会的な信頼をおとしめるようなことをした場合は名誉毀損の可能性もあります。名毀損は、刑法230条に規定されていて法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金。
これは、お店の名誉は評価を社会的に落とすことが犯罪になります。もし、ここに侮辱があれば侮辱罪の可能性もでできます。
張り紙程度では器物損壊になりますせんが、物を壊したりシャッター落書きをしたりしたり場合は器物損壊罪の可能性があります。器物損壊罪は刑法第261条に規定されている犯罪で、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料です。
例え、新型コロナウイルスの感染拡大防止という大義名分があってもしてはいけないことはしてはいけないのです。
そして、自粛警察が行き過ぎて相手に精神的苦痛を与えた場合は民事での損害賠償の可能性も出てきます。
民法710条の精神的苦痛対する慰謝料・・・。嫌がらせで精神的苦痛を受けた場合は損害賠償の可能性もありますし、お店を営業を妨害した場合も損益分を損害賠償請求される可能性があります。
そして、他県ナンバーの車に対するあおり運転は道路交通法違反です。
あおり運転は犯罪ですし、それが原因で事故になった場合はもっと重い罪に問われる可能性もあるでしょう。他県ナンバーの車への嫌がらせなど持っての他ということです。
新型コロナウイルスの感染拡大で問題になった自粛警察・・・。自粛という大義名分で張り紙をしたりあおり運転をしたり・・・中には物を壊してしまうという悪質なケースもありました。
自粛しようねと仲間内や家族間で声を掛け合うのは大切なことですが、自粛警察は行きすぎ・・・。県が法律に基づいて行った店舗名公開や休業指示とは性質が違います。
行き過ぎると犯罪になる可能性もある自粛警察・・・。絶対にしてはいけない行為です。
参考資料:読売新聞 暴走する「自粛警察」、再開の動物園に脅迫電話「再開したらどうなるか」「殺すぞ」