星の回りをぐるりと囲む環。リングはとてもインパクトがありますよね。
特に、土星の美しい環はとても有名ですが、太陽系で環を持っている惑星はほかにもあって、木星、天王星、海王星です。
つまり、太陽系で環を持っているのはガスで構成された惑星ばかりで、地球や火星、水星や金星は環を持っていません。あればちょっとおしゃれに見える環・・・。ですが、実は火星の衛星の研究でもしかしたら「過去に火星にも環があったかもしれない」というんです。
火星はご存じのとおり、太陽系の第4惑星で地球のお隣の軌道を公転しています。
火星のサイズは、地球よりコンパクトな直径6,779 kmで地球の半分よりちょっと大きめのサイズです。太陽系では水星の次に小柄な惑星で赤く見えることからRed Planet・・・赤い星と呼ばれます。
地球と同じように岩石で構成されている岩石型の惑星です。ですが、地球のような海はありません。地球は青ですが火星は赤。そして、火星は自転軸が太陽に対して傾いているため季節が存在しています。
火星の最大等級は-2.8等級 ですから、条件が整えば肉眼でも光を観測することができます。
そして、火星にも月・・・つまり衛星があります。フォボスとダイモスの二つ。
このうち、フォボスは火星との距離がとても近い軌道を公転しており、その上、火星より自転速度が速いという特徴があります。このことから、いずれ火星に衝突するかバラバラになって火星の環になるのではないかと考えられています。
フォボスがもしかしたら火星の環になるかもしれない・・・(5000万年後ともいわれています)もしそうなったら太陽系発の岩石型惑星で環を持つという快挙!となるわけですが、火星は昔、環を持っていたこ可能性があることが、最近、判明しました。
地球のすぐ外側を公転している火星・・・今はもちろん、環を持っていません。
ですが、最近、火星の2つの衛星フォボスとダイモスの研究で「昔、環を持っていたかも」しれないというんです。
もともと、火星の2つの衛星は小惑星が火星の引力に引きつけられたものだと考えられていました。ですが、どうやら違うのではないか・・・というんです。
着目したのが、衛星の軌道です。特にフォボスの軌道は火星の赤道面の上にあり、このことから「火星と一緒に誕生したのではないか」という説が誕生したのです。
つまり、フォボスとダイモスは火星と一緒に誕生した。そして、フォボスの方は環になったり衛星になったりを繰り返していたのではないか・・・。
つまり、誕生してから
バラバラになって環になる→バラバラの環が長い時間をかけて衛星になる→またバラバラになる
というサイクルを繰り返していた可能性があるんです。
これが正しいとすれば、今はフォボスが衛星の状態。そして5000万年以内にまたバラバラになって環になり・・・バラバラの環が少しずつまとまって次のフォボスになる・・・。究極の自給自足を繰り返していた可能性が出てきました。
姿を変えて輪廻しているようなフォボスですが、仮説が正しければ今のフォボスは約2億年前に形成されたと考えられられています。
仮にこの説が正しく、またいつかフォボスが環になるとしても5000万年以内ですから、私たちがそれを見ることは残念ですがありません・・・。ただ、もし火星に大きな環があったら・・・どんな光景だったのでしょう。
太陽を回る赤い惑星の火星は、地球のお隣の惑星ということもあって、なんとなく親近感がある星です。
地球と同じ岩石型の惑星で、今は2つの衛星を持っています。ですが、この火星の衛星のひとつフォボスは今は衛星として火星を公転しているものの、以前は環だったのではないかという新しい説が浮上しました。
しかも、衛星→バラバラになって環→またひとつにまとまって衛星という自給自足で姿を変えていたかもしれないそうです!
もちろんまだ、仮説の段階ですが、2024年にJAXAがフォボスに探査機を送る予定になっていますので、またいろいろなことが解ってくるかもしれません。
参考資料:
CNN.co.jp 火星にも環があった可能性、2つの衛星の分析から浮上 新研究