【映画バンク・ジョブのモデル】近代イギリス史上最大の謎!ロイズ銀行強盗事件

映画「オーシャンズ11」などに出てくるようなクライム・サスペンス、もしくはコナン・ドイルなどに代表される推理小説のように、大胆かつ不敵な犯行はあまり現実味がない主観で見られるからこそエンターテイメントとして割り切って楽しめると思いますが、1971年9月11日にイギリスで起こったロイズ銀行強盗事件。

まさに「事実は小説より奇なり」を地でいくような不可思議な事件でした。

日本では3億円事件が未解決事件として、未だに多く取り上げられることがありますが、このロイズ銀行強盗事件の被害額は当時にして300万ポンド(約25億円)、現在の日本円にして約540億円(1ポンドを180円として計算した場合)というスケール違いの被害額です。

この事件には不可思議な点がいくつかあり、1つはこれだけの被害があったにも関わらず、事件発生から僅か数日でイギリス政府から「D通告」と呼ばれる報道規制がなされた事や、犯人は犯行現場に「シャーロック・ホームズを呼んでこい」という内容をスプレーで走り書きしていたことなどが挙げられます。

実際に、この事件はあまりにも不可思議な点が多かったことから映画「バンク・ジョブ」の元ネタにもなっています。

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ウォーキートーキー事件、またはベイカー銀行強盗事件の概要

この事件の舞台となったロイズ銀行はロンドンのメリルボーン・ロードとベイカー・ストリートが重なる交差点にありました。

 

犯人グループはこのロイズ銀行からファーストフード店を1軒挟んだ「ル・サック」という革製品店を借り上げて、銀行の地下金庫へ約13メートルに及ぶトンネルを掘っています。

トンネルの入口は約45センチ、深さは約1.5メートルほどの位置に掘られており、数週間かけて用意周到に計画されたものだったことが後の捜査で明らかになったそうです。

ウォーキートーキー事件という呼称は、犯行時に犯人達が無線通信で会話をしていたものを、アマチュア無線の愛好家が偶然にも傍受し、警察に通報したことが由来になっているようです。

当時、ロンドン市内には約700軒もの銀行があったことから、警察は総力を上げて特定を試みたものの、結局その場で犯人達の場所を特定することは出来ませんでした。

当時としても約300万ポンドという巨額の被害が出たため、マスコミは一斉に報道したものの、数日後には一切の報道が行われなくなりました。

これはイギリス政府が命令した「D通告」によるものです。

イギリス政府の出したD通告とは?

D通告とは、政府による機密保持のための報道禁止通告の通称であり、通常はいくら規模が大きくても銀行強盗などの事件で使われるようなものではありません。

国家レベルの安全を脅かすような大事件でしか通常は使われることのない「D通告」がロイズ銀行強盗事件に発令されたことで、この事件はさらに謎の多いものになりました。

ロイズ銀行には何が隠されていたのか?

イギリス政府が「D通告」を出したという事は、国家の安全が脅かされるほどの「何か」が貸し金庫の中に隠されていたと考えられます。

この「何か」を巡って当時の人々から様々な憶測を呼ぶことになり、この事件はさらに都市伝説化しはじめました。

一説によれば、イギリス王室のスキャンダル写真であったり、他にも大物セレブの盗撮された写真であったという説もありますが、結局事件から40年以上経過した現在でも真相は謎に包まれたままです。

ロイズ銀行強盗の犯人はコナン・ドイルの愛読者だった?

この犯行の手口はコナン・ドイルの短編小説である「赤毛連盟」という作品と類似していた点や、現場にスプレーで走り書きされた「シャーロック・ホームズを呼んでこい」という大胆な犯行声明から、模倣犯であった可能性が指摘されています。

実際には、事件からしばらく経過した1973年に、この事件の犯人として4名の男が逮捕されていますが、その後の裁判などの記録も一切残されていないようで、これも「D通告」による影響だとも言われています。

謎のまま終わった巨額銀行強盗事件

イギリスでも史上最大の謎といわれている「ロイズ銀行強盗事件」は、こうして真相が闇に葬られたまま、現在に至ります。

おそらくは、銀行強盗であったことから金銭強奪が目的であったものの、偶然目にしてはいけない「何か」を目にしてしまったことによってイギリス政府は「D通告」を発令し、その真相は明かされなかったのだと思います。

銀行の貸し金庫は、単純に金銭だけではなく、貴重品などを預かる場所でもありますから、偶然実行犯が選んだ銀行に絶対に触れてはいけないものが存在していたのでしょう。

D通告が出されたのは事件発生から数日後であったことから考えても、犯行現場が「ロイズ銀行」であったことを特定してから政府が動いていることはほぼ間違いないでしょう。

この事件を元ネタにしたフィクション映画である「バンク・ジョブ」では、エリザベス女王の娘であるマーガレット王妃のスキャンダル写真が発見されたという物語になっていますが、フィクションはあくまでもフィクションです。

D通告が一旦発令された以上は真実が公表されることはないであろう事件の1つですね。

参考

オカルトマト

■2019年秋、オカルトオンライン開設 ■2019年11月、副編集長就任 ライター、Web業務歴6年。 映画とマンガと本によってオカルト脳になった人。 分からないことを知るのが喜び。 だがしかしホラーは苦手。 古代史、人物研究、神話が好みです。