北欧神話でもっとも物語をかき乱す存在となるのが、神族でありながら巨人の血も引いている『ロキ』です。
トールなどの強力な神とも仲の良かったロキでしたが、子にはフェンリル、ヨルムンガンド、ヘルなど、神々に敵対する存在が多くいました。
神々の所有物であるオーディンの『グングニル』やトールの『ミョルニル』などの持つ強力な武器はロキが悪知恵を働かせて作らせたものです。
また様々な場面でその狡猾さを活かして活躍するところもありますが、ラグナロクにおいてはオーディン達と敵対することになります。
画像引用元:ロキ
ロキは一般的にイタズラ好きの神として知られていますが、最高神であるオーディンとは義兄弟の仲でした。
アースガルズという神の世界に厄介なことを持ち込んで来る一方で、トールなどの窮地を救ったりなど、掴みどころのない性格に描写がされていることが多いのです。
さらに、オーディンの愛馬である『スレイプニル』は、ロキが牝馬に化けた時に出来たロキの子供でもあります。
もっとも仲の良かったトールはロキの知恵によって何度も窮地を脱出しているのです。
そんなロキが神々と決定的に分裂するキッカケになったのが、オーディンの息子であるヘズを騙して、バルドルという神を殺害したことでした。
画像引用元:ロキ
ロキの陰謀によってバルドルを殺害したあとも、ロキは変身を使ってバルドルの復活を阻止しようと動きます。
さらに『古エッダ』に記述されているエピソードでは、神々の宴に乱入したロキがその場にいた神々の過去の罪や恥となる話を糾弾したとも言われています。
これらの行き過ぎた行為を見かねた神々よって、ついにロキは捕らえられてしまいます。
ロキは巨大な岩に自分の息子であるナリの腸で縛られて幽閉され、蛇の毒液を顔に向かって落とされるという拷問にかけられます。
この時、ロキの妻であったシギュンが毒を防ぐために器を持って毒液を防いでいます。
しかし、器がいっぱいになると一瞬それを捨てに行かなければいけないため、ロキの顔に毒液が当たってしまうのです。
この時に苦しむロキの影響によって『地震』が発生しているとも。
こうした責め苦を受けたロキはラグナロクにおいてアース神族を滅ぼすために、巨人族を率いてアースガルズに攻め込むことになります。
終末の日であるラグナロクでは、アース神族に完全に敵対し、巨人族のリーダー格として軍団を率いる立場になります。
アースガルズには巨人族の侵攻を見張っているヘイムダルという神がおり、『ギャランホルン』という角笛を持っています。
ヘイムダルの角笛はラグナロクの訪れを知らせるものだと言われており、ロキの襲撃を察知したヘイムダルは角笛を高らかに鳴らします。
これに気付いたロキはヘイムダルと交戦し、相打ちとなって両者ともに消滅してしまいます。
ロキがオーディン達と敵対した理由についてはハッキリと明言されていませんが、おそらくは前述した『岩に拘束されて顔に毒を落とされた』というエピソードが関係しているのではないでしょうか?
考えてもみれば、いくら神々の暴露話をしたとしても、そんな仕打ちを長い間受ければ恨みを買うのも仕方ないですよね。
北欧神話においても非常に目立つ存在であるロキは、様々なエンターテイメント作品などのモデルにもなっています。
特に有名なものは、マーベル・コミックに登場するヴィランである『ロキ』です。
映画、アベンジャーズのシリーズなどにも登場するマーベル・コミックのロキは北欧神話のロキをモデルベースにキャラクターが構成されています。
アベンジャーズのシリーズでは『最強の敵』としても、描かれているのでアクション作品が好きな人は是非チェックしてみて下さい。